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5/31 ニュースなスペイン語 Pagar en efectivo:現金払い

現金払い(pagar en efectivo;pago en efectivo)は、今後、消費者の権利(derecho)となり、企業はこれを拒むことが法律で禁じられ、違反した場合(infracción)には罰金(multa)が課せられる――。

このように定めるのは、先週の土曜日に施行された(entra en vigor)改正消費者保護法(Ley General para la defensa de Consumidores y Usuarios)である。

スペイン版PayPayの「Bizum」が広まったお陰で、現金払いの機会がめっきり減ったということを昨年、書いた。

また、現金メインだったチップ(propina)や教会へのお賽銭(cepillo)も電子決済に移行してきている。また、デジタルマネーが普及したことで、ATMの設置数も減少の一途をたどり、最近ではビットコイン対応のATMも出現した、なんて話も紹介したことがあった。

事業者にとっては、「現金による支払いを拒否すること(negativa a aceptar el pago en efectivo como medio de pago)」が法令違反ということになるのだが、もちろん、無制限ではない。但し書きとして、「税法および不正防止と撲滅の規則が定める範囲内において(dentro de los límites establecidos por la normativa tributaria y de prevención y lucha contra el fraude fiscal)」が付く。つまり、犯罪に発展しそうなケースでは現金払いを拒否できるという。例えば、偽札を使おうとするケースなどが真っ先に思い浮かぶ。

違反の度合いによって、軽度(leve)、深刻(grave)、極めて深刻(muy grave)に段階があり、軽度のケースでさえも、150ユーロ(約2万円)から1万ユーロ(130万円)の罰金が課され、しかも、罰金額は「さらに2〜4倍に増額できる(pudiéndose sobrepasar estas cantidades hasta alcanzar entre dos y cuatro veces)」 というから、事業者にとってはかなりキツイ。

国はどうしてこんなにしてまで、現金決済(者)を優遇するのか。

背景には、まず、世界には銀行口座を持たない人々(desbancarizados)が16憶人ほどいるという事実がある。当然、こういう人たちはオンライン決済はできない。

もうひとつ、スペインの地方(ámbito rural)では、まだ、日々の生活は現金によっており、デジタル決済からは完全に排除されてしまう(diaria depende del efectivo y, por lo tanto, quedarían totalmente excluidos)という厳しい現状もある。

スペインには「デナリウス会(Plataforma Denaria)」という社会運動団体がある。この団体は現金払いを「ユニバーサルな権利(derecho universal)」と位置づけ、様々なキャンペーンを打ってきたが、この団体からは、本改正法について、歓迎の声が上がった。

デナリウス会は今後、ハザードマップ(mapa de riesgo)を策定し、地理的、経済的、社会的、文化的な各側面から、お金から取り残されている(exclusión financiera)地域を可視化するプロジェクトを推し進める。

日本ではまだ、現金払いを客の権利とまでする動きはないが、近い将来、スペインと同様の法律改正があるかもしれない。

写真はイメージ。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20220528/poder-pagar-efectivo-se-convierte-derecho-su-prohibicion-puede-conllevar-infraccion-hasta-10000-euros/2353560.shtml