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脱キラキラ公務員宣言

洞口 文人/FUMITO HORAGUCHI
特定非営利活動法人自治経営 副理事長
仙台市 都市整備局 営繕課 技師

コラムの依頼をいただき、何についてコラムを書こうかあれこれ悩んでいたところ、異動の季節4月ということもあり、多くの公務員が異動し、新たな部署で自分がどうしていこうか悩んでいる季節かと思い、今回のコラムのテーマを着想した。

 それと同時に、瀧本哲史さんの名著である『君に友だちはいらない』を読み直し、自分自身も仲良しこよしグループをつくり、何も生み出していないのではないか自分の反省も踏まえてコラムを書きたいと思う。

 役所に関わらず、大組織の中で何か新しいことを始めようとする時、自分自身がファーストペンギンでなければならない。大きな強敵にもしかしたら、潰されてしまうかもしれないという中、真っ先に海へと飛び込み、多くの群衆を率いるファーストペンギンである。

 だからこそ、ファーストペンギンはキラキラと輝き、場合によっては周りから「意識高い系」「変態公務員」と揶揄される。

 しかし、ファーストペンギンが飛び込み、後ろを見たら誰も群集がついてこなかったらどうだろうか?!これは、ファーストペンギンではなく、群衆を率いることのできない一匹狼ならぬ無駄死にする無駄死ペンギンだ。

 または、無駄死ペンギンになることを恐れて、組織の中では大人しく過ごし、そのフラストレーションを外部活動に求め、閉じたコミュニティの中で過ごす穴ぐらペンギンまでいる。(そんなペンギンが南極に本当にいるかは知りませんが。)

 組織の中で、そんなペンギンならぬ「そんなヒト」を見た経験があるのではないか?!

 私は無駄死ペンギンに何度かなってしまった経験があるし、穴ぐらペンギンになりかけたこともある。笑

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今回のコラムでは、キラキラ公務員に憧れるあまり、ファーストペンギンではなく、組織の闇に吸い込まれ、穴ぐらペンギンになっていないかを、やや自省的な意味も込めて僕なりに分析していきたいと思う。

 私がリノベーションまちづくりや公民連携事業と出会ったのが、2014年。かれこれ6年以上が経ち、2017年度まで担当とし「せんだいリノベーションまちづくり」や仙台市の定禅寺通における公民連携事業を進めてきた。新米公務員の時から公民連携と出会い過ごしてきたため、全国の変わった公務員の方との出会う機会にも恵まれた。

 特に一回り以上離れた先輩公務員と出会うことが多く、その先輩公務員たちが他都市でどう動かしているのかをよくよく観察することができた。みな、よく笑い、よく呑み、よく食べる人間味のある公務員たちの一言に尽きる。

 内部で本当に評価されているかは謎だが(笑)、確実の庁内で企画を通し、推進する力を持っている。なので、どこに異動してもへっちゃら、やらなければならないことを見つけ、コツコツとインプットを続け、組織の潮目に変わる瞬間を見極め、一気にアウトプットする飛び込む「ファーストペンギン」である。

 一方で、よくありがちな「キラキラ公務員」の場合は異動になり、自分が思うような部署に異動ができなかったり、公民連携などの楽しい部署から外れたりすると、「あいつは何であそこの部署に!!そして、オレは何でこんなところに飛ばされるんだ!!」と不平不満を言い、そして、「オレはこんなところにいたらダメになる!!」と言って、課外活動に精を出す。特に「キラキラ公務員」は持ち前の行動力で、課外活動の仲間との活動は楽しく、特に民間からは「洞口さんは、変態公務員だから、やっぱり違うよね~」とか誉め言葉なのかよくわからない誉め言葉をいただき、妙に安心感を得てしまう。そう、「キラキラ公務員」はどんどん、本来自分が頑張らなければならない組織の仕事から離れて、企画を通せる公務員ではなくなり、「穴ぐらペンギン」になってしまう。

 私自身も公民連携を庁内に幅広く伝えるネットワークをプライベートでつくり、「公務員タスクフォース」と名で活動してきた。自主的な勉強会だけでなく、職員向けのセミナーを自分たちで企画して、勤務時間外に開催してきた。また、他都市の職員向けに公民連携視察ツアーを開催し、収益を得て、それらをメンバーの中で都市経営プロフェッショナルスクールに通うメンバーに対して10万円の補助を出してきた。

※公務員タスクフォースについては、公民連携事業ケーススタディブック2019 vol.03に詳しく掲載されている。

 また、本コラムを出しているNPO法人自治経営の活動はさらに面白い。全国の実践者と、何かの機会で集まる度に夜通し議論し、これからの日本の自治について考える。

 こんな課外活動が増える度に、「あ~、こんなメンバーで役所でも仕事ができたらな~」と嘆いてしまう。

 本コラムを読んでいる方は、最近、飛び出せ公務員!と言った言葉も流行っているぐらいだから、役所から飛び出た活動をして、逆に自分の職場でのフラストレーションが顕在化しているヒトは少なくないはずだ。

 では、こういった課外活動に精を出すことが悪いのかというと、そうではない。ネットワークを作ることは大事なのだが、問題は、そのネットワークが個人個人が独立して闘えるハブになっているかがとても大切だ。そうでないと、内輪の集まりなってしまい、自分の職場は面白くないと決めて、リノベーションまちづくりや公民連携といった既に面白いと分かっているものに対して、自分の唯一の救いとなる休息所、居心地の良い場所になってしまう。

 図A(出展:瀧本哲史氏『君に友達はいらない』)のように、自己経営力のないヒトたちの群れたネットワークとなり、ネットワークの大小に関わらず、漠然と面白いことをしたい迷える子羊たちがつるみ、縄張りをつくるため、発展性がなく、つまらないネットワークになる。いくらやったつもりでいても、事業が固定化しているため、改革的な動きは生まれず、動きはあっても、内部の中の小さな小さな改善的な動きがせいぜいだ。

そう、穴ぐらペンギンは群れても何も変えられないのである。

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図A 出展:瀧本哲史氏『君に友達はいらない』

 そうではなく、図B(出展:瀧本哲史氏『君に友達はいらない』)のように、個人個人が個人事業主のように独立して、闘い、新たにプロジェクトを動かすこと、そして、そこで新たな仲間を見つけ頑張ること、そこに小さなクラスターが生まれ、その集合体をつくることを目指すべきである。

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図B 出展:瀧本哲史氏『君に友達はいらない』

 だから、リノベーションまちづくりや公民連携から得た経験や課外活動から得た経験やマネジメント力を、逃げ道にするのではなく、新たな挑戦への勇気と知恵にすべきである。

 きっと何かを頑張ってきたからこそ、新たな職場では、あなたを色眼鏡を付けてみてくるはずだ。時には執拗に起案文に赤入れされ、時には話すらまともに聞いてもらえない。

でも、そんな時だからこそ、キラキラと輝く課外活動に逃げるキラキラ公務員にはなって欲しくない。ゼロスタートと割り切り、コツコツと学び、潮目が変わる瞬間を見逃さずに新たな挑戦に飛び込める強かさを持ったファーストペンギンを目指そう。

 自らが、ファーストペンギンとなり、群衆を率いるファーストペンギン同士の同盟組織をつくり、大きな社会変革を起こそうではないか。

プロフィール
洞口 文人/FUMITO HORAGUCHI
特定非営利活動法人自治経営 副理事長
仙台市 都市整備局 営繕課 技師
公民連携プロフェッショナルスクール 2期修了

1985年宮城県生まれ。法政大学大学院工学研究科建設工学専攻修了。建築設計事務所を経て、地元宮城県にUターンし、2013年仙台市役所に入庁。都市再開発課に配属され、従来のスクラップアンドビルド(ハード型再開発)に頼らずに、利活用されていない空間を利活用する(コンテンツ型再開発)を提案。その後、プロジェクト化し、「せんだいリノベーションまちづくり」を行政職員という立場から企画・推進した。2015年には、せんだいリノベーションまちづくり計画の策定、2016年から公民連携プロフェッショナルスクール(現在の都市経営プロフェッショナルスクール)に奥山市長(当時)の命により受講し、定禅寺通における公民連携プロジェクトをSENDAI COFFEE STANDをオープンさせていた本郷紘一と連携し、『GREEN LOOP SENDAI』を推進した。
2018年度には、営繕課に異動。公共施設の断熱化による莫大な維持管理費の削減と営繕工事から公民連携事業への変換を目標に健全な都市経営に取り組んでいる。
また、プライベート活動では、せんだいリノベーションまちづくりのビジョンにもなった『せんだい洛中洛外図』の製作、築 60 年の古民家を購入し、断熱リノベーションと共に周辺の緑道公園を再生させた『複合民家実験住宅 -TateshitaCommon-』、仙台市の公民連携職員ネットワークと職員育成、公民連携に取り組む民間のフォローアップをしている『公務員タスクフォース』を旗揚げした。
また、公民連携プロフェッショナルスクール、都市経営プロフェッショナルスクールを修了生たちと特定非営利活動法人自治経営を設立した。



サンキュ〜
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ヒトづくりと地域事業から日本の「自治」を変える組織、NPO法人自治経営です。 https://www.jichikeiei.com 全国にいるアライアンスメンバーによる地域事業の活動紹介やその考え方をコラム形式で掲載しています!