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#27 隈研吾の公共建築が建ったとき、FM担当はどう向き合うのか?

NPO法人 自治経営の川口(岡山県津山市のFM担当&建築大好き公務員)です。

今回は、公共建築とも深い関わりがある建築家が手がける建築物、それも日本を代表する建築家である隈研吾さんが設計した公共建築を題材に取り上げてみたいと思います。

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さて、本題に戻りましょう。

最近は2000年前後と比較して、公共建築の設計を有名建築家が手がけるケースはかなり少なくなってきています。
行政の財政状況が非常に苦しくなっていることが大きな要因でしょう。
今所有しているストックの維持管理だけでも四苦八苦しているのに、今の時代に建築家に依頼して新しく建てるなんてもってのほか、という台所事情だと思います。


そんな中、隈さんの公共建築は以前にも増して、色んなまちに建築されるようになっているように感じます。
僕が住んでいる岡山県でも隈さんの建築はどんどん増えていて、昨日は倉敷市の真備地区に新しくできたまびふれあい公園に行ってきたので、その実直な感想にも触れながら、今回のテーマを深掘っていこうかと思います。

こちらが「まびふれあい公園」

隈さんが設計者として選ばれるプロセスを探ってみる

隈さんが公共建築の設計者に選ばれるケースはいくつかのパターンに分けられると思いますが、概ね下記の3つのパターンあたりが多いのではないでしょうか?

コンペやプロポーザルを通して熊さんが選ばれるパターン

これは一番王道のパターンですね。
大きな投資を伴う公共建築では、誰に設計を任せるのか?というプロセスを透明化する必要があります。
特に新庁舎などは市民の注目を集めやすいので、大抵の場合、設計概要を複数社の競争によって決定するコンペプロポーザルによるケースが大半です。(余談ですが最近コンペは流行っておらずプロポが多いです)
安倍政権時代にザハ・ハディドさんの設計を中止にして、やり直しになった新国立競技場のプロポなどが有名ですね。

新国立競技場のプロポ時の技術提案書(日本スポーツ振興センターHPより)

首長と隈さんが親密な関係で、トップダウンにより決定されるパターン

これも結構ありそうですね。
同じまちの中に複数の隈さん建築があるようなところでは、結構こういったプロセスが多いのではないでしょうか?
隈さんの建築でまちづくりみたいな文脈で建てられるものも最近では増えているので、隈さんにまちの未来を託すといった感じでしょうかね。

地元の有力者から隈さんが推されて決定されるパターン

例えば、僕が住んでいる隣町の真庭市では、CLT材のトップランナー企業がありますが、そういった流れもあるでしょう。

グリーンナブルヒルゼン(真庭市)=CLTがふんだんに使われた建築

昨日見にいった倉敷市のまびふれあい公園は地元の有力者が隈さん推しだったという話もあります。(真相は分かりませんが)
いずれにしても世界的建築家である隈さんのファンは世の中にゴマンといます。
そのファンが行政にも大きな力を持っていて、ぜひ隈さんに設計してほしいといった声を届けて実現するといったパターンも結構多いのではないかと思います。

本来、重要なのは建築ではなく、そこで営まれる中身

これは隈さんの建築に限らず、すべての公共建築に言える大事なことです。

本来、正しい手順としては、必要な中身(コンテンツやサービス)をセットアップした上で、それに見合った建築デザインで包んでいくといったプロセスです。
ただ残念ながら、建築家に依頼することがゴールになってしまい、中身が空っぽというケースが世の中にはたくさんあります。
人気のない妙に立派な公共施設・・・こういったの結構ありますよね。

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