チャド・マレーン『世にも奇妙なニッポンのお笑い』

オーストラリア出身のよしもとお笑い芸人、チャド・マレーンの初となる著書。

実は、チャドさんのネタは「とんねるずの細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」での「F1中継のエンディングとその直後のCM」しか見たことがなかったので、その人となりを知ることができたことも含め読んでよかったと思ったので、少しメモしておく。

ツッコミもあるあるネタも 日本にしかない!?
笑いを求めて三千里。故郷オーストラリアから日本で芸人になるためにやってきた若者が飛びこんだのは、世にも稀なる芸道だった! 不自由にも見える芸人の上下関係の秘密から、「ツッコミ」「どつき」「ひな壇トーク」などの特殊性、そして“笑い”を翻訳して海外に届けることの難しさまで。苦節20年、お笑い界の荒波を生き抜いてきた外国人漫才師が、日本のお笑いの本領と秘めたる可能性をしゃべり倒す!
[内容]
第一話 オーストラリアの田舎者、日本のお笑いにハマる
第二話 ツッコミは日本にしかいないんかい!
第三話 ところ変われば笑いも変わる
第四話 若手貧乏芸人サバイバル・ハイウェイ
第五話 東京でお笑いをやるということ
第六話 師匠の背中と先輩の押し入れ
第七話 ここが違うよ、日本とオーストラリア
第八話 笑いを翻訳するのは難しい
第九話 日本のお笑いは世界に通じるか

たまたまホームステイに来た日本のテレビで「ガキの使いやあらへんで」を観て、「これは」とお笑いの道に入ることを決心したそうだ。

確かにちょっと前に学会で話した海外の人は、日本のcrazyなテレビ番組は面白くてyoutubeで観たと言っていた。

しかし日本語を勉強していると思っていたのに身に着けていたのは大阪弁だった、なんてことが本当にあるんだろうか。正直、個人的には面白さが理解できていない「サイレント図書館」シリーズが外国でうけて、現地の人らだけで同じような番組を作っているというくらいだから、不可思議なことは時々起きるのかもしれない。

よそ者の視点でみた漫才や文化の解説も興味深い。大阪は地球上で唯一おもろいやつが上の都市、という指摘自体が面白い。ぼんちおさむに弟子入りし、オーストラリアのflatな文化から離れ、そこからすれば一見不合理にも思われる上下関係文化の合理的な点を理解したという。文化のgapを冷静に見つめたことがのちにお笑いの翻訳という仕事にもつながっていく。

改めて日本文化の強みを探索する目的で読み始めたところ、軽い語り口で読みやすく、するすると読み終わってしまった。こんな世の中だからこそ、笑いは必要だと思う。是非。


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