【教育×ゲーミフィケーション】「タブドリLive!」が生み出す新しい学びのカタチ
ゲーミフィケーション協会監事の田中(以下、JGA田中)でございます。今回は、代表理事の岸本とともに東京書籍株式会社(東京都北区)を訪問しました。そこでお話を伺ったのは、同社の担当者である嶋田将人さん、日野綾香さん、そして開発先の株式会社キッズプロジェクトの設樂昌宏さん、新井孝徳さんです。彼らが手がける「タブドリLive!」は、子どもたちが学びを楽しむための工夫が随所に凝らされたデジタル教材。今回は、その開発背景やゲーミフィケーション要素、そして現場からの反響や今後の展望について、じっくりとお話をお聞きしました。
「子どもたちにとって学びをもっと楽しく、もっと身近なものにしたい」――そんな想いから誕生したのが、教科書会社・東京書籍による新しい学習サービス「タブドリLive!」です。
概要:
ひとりでも みんなでも もっと学べる Live!型ドリル教材!『タブドリLive!』は、児童・生徒が学習意欲を維持しながら、サービスを使うすべての仲間とともに、楽しく学べる新しいデジタル教材です。学びをサポートする仕組みを数多く設けているので、学習が苦手な児童・生徒であっても、モチベーションを保つことができます。 日本e-Learning大賞2024受賞。
タブドリLive!
https://tabdri.jp/service/
ゲーミフィケーションとの出会い:楽しさを届けたい想い
今回はまず、東京書籍の担当者にお話を伺いました。元々、教科書会社がデジタル学習サービスを展開する際、「勉強=真面目」の枠にとらわれがち。しかし、開発チームは常に「子どもたちに学びの楽しさを届けたい」という気持ちを持っていました。メダルやバッジといった要素はあったものの、従来は中途半端な取り組みにとどまっていたそう。過度なゲーム化は教育現場で抵抗を受けてしまいますが、それでも「学ぶこと=苦痛」でなく「学ぶこと=ワクワク」を目指したいという意欲は絶えませんでした。
開発のきっかけ:現場の声が後押し
前作の「タブレットドリル 」では、ドリルを児童・生徒が黙々と取り組むだけのスタイルでした。しかし現場の先生方からは「子どもが喜ぶ教材が欲しい」という声があり、またコロナ禍やGIGAスクール構想の後押しもあり、ユーザー数も拡大。そんなタイミングで、提案を持ちかけたのが外部パートナーのキッズプロジェクト社でした。ユーザー増加によるシステム刷新と、現場ニーズを同時に満たすチャンスと捉え、タブレットドリルを大幅にリニューアルする新規開発へ繋がりました。
開発の難しさ:30~40人体制の大規模プロジェクト
「タブドリLive!」の開発は時には30~40名規模という大プロジェクト。コンテンツ制作、バックエンド開発など、多岐にわたる部門連携が不可欠でした。また、これまでこの規模のプロジェクトが企画されたことはなかったので、進行のノウハウもなく、最初はとても大変だったことを覚えています。その他、社内でのゲーミフィケーションへの理解は、商品をリリースしてから、ようやく進んできたなと思っているところです。
制作上の工夫:ゲームとは違う「学びの世界」の演出
また、キッズプロジェクト社からは、制作段階でのさまざまな工夫点も教えていただきました。商業ゲームとは異なり、学校で導入される教材はユーザーが自分で選ぶとは限りません。そのため、幅広いユーザー層に対応できるバランスが求められました。特別な支援を要する児童・生徒への配慮が必要だったり、低スペック・低速度ネットワークへの対応だったりなど、学校ならではの多様なユーザー環境も開発上配慮する必要がありました。他にも例えば、音を出せない教室環境では音声演出を抑え、その代わりに画面遷移時のアニメーションで「楽しさ」を表現。シンプルながら、孤独を感じさせないコミュニケーション空間を目指し、子どもたちに「ここは自分の学び場なんだ」という感覚を育てる工夫をおこないました。
現場の反響:自主的に学ぶ子どもたち
いざ導入してみると、子どもたちは嬉々として「タブドリLive!」を開き、学習を始めるように。学習した翌日にもらえるポイントを確認したり、獲得した実績を友達と自慢し合ったり、時には雨の日の休み時間に自主的に勉強することも。こうした行動は、まさにゲーミフィケーションが目指した「自走的な学び」そのものです。先生方からは「 強く促さなくても子どもが進んで取り組む」「採点作業の手間が減る」など、教育現場の効率化と子どもの積極性が向上した、との声も寄せられています。
今後の展望:さらなるリニューアルと多様なニーズへの対応
来年4月には大型リニューアルが予定されています。月次目標の達成でアバターパーツが手に入るなど、さらなるゲーミフィケーション要素を盛り込み、学びへのモチベーションアップを目指します。また、小学生から中学生、不登校の子どもへの対応まで幅広い学習者層にアプローチし、「どんな子どもも、自分なりのスタイルで学べる場」を整えることが今後の大きな課題でしょうか。
まとめ
「タブドリLive!」は、教育現場とゲーム的要素の融合による新たな学びのかたちを提示しています。単なる教材提供ではなく、子どもが自分から手を伸ばす「学びの遊び場」を作り上げるための試行錯誤と工夫。その先には、子どもたちが楽しみながら成長できる、より豊かな教育の未来が広がっているのではないでしょうか。
#東京書籍#キッズプロジェクト&#タブドリLive!#世界を神ゲーに #日本ゲーミフィケーション協会 #ゲーミフィケーション講座 #ゲーム要素 #モチベーションアップ #jgamifa #gamification