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私の求めていたファンタジー少女漫画!「ミオの名のもとに」感想

※このnoteは、核心に触れない程度ですがネタバレ(1〜4巻)を含みます。

月間少女漫画誌「りぼん」で連載されている「ミオの名のもとに」が最高だった!という思いの丈をぶつける文章です。

これを書いている2022年4月初旬現在では、4巻が発売されたばかり。

本誌の連載は最終章に入ったようなので、全6〜7巻くらいになるのかな。

私はコミックス派なので、4巻までを読んだ状態です。

簡単なあらすじ紹介

表紙の通り、主人公(ミオ)が人魚のファンタジー漫画です。1巻のあらすじ(amazonから抜粋)したものを載せておきます。

孤独な人魚姫は秘密を抱えた青年と出逢う──
人間とは少し違う力や姿を持った“能力者”がいる世界。人間主義国の《ブログニグ》に生まれた姫・ミオは人魚の能力者だった。存在を秘されながらも、隣国の王子との婚約のため、人間になる治療を受ける日々。そんなある日、異国の青年・ユウリに正体を知られてしまい…?
生きる意味を問う本格派ファンタジー、開幕。

もうちょっと補足を加えると、ミオたち能力者は突然変異のような形で生まれてくる描写なので、血筋は関係なさそう。ミオの両親も人間です。

他にもオオカミやキツネなど、動物の能力を持った能力者もいれば、岩の能力者や花妖精など、さまざまな能力者が登場しています。

ミオの国、ブログニグは能力者を「呪い」と捉え、差別し、排除することを当然としている国で、能力者が生まれた場合は幼児(新生児レベルかも?)の段階で他国に追放されてしまいます。

ミオは隣国アクアティアのチカ王子との婚約があるため、ブログニグにいることを許されている状態。とはいえ、人間主義国の姫が能力者であることはとてもじゃないけど許されませんので、名前と存在は公表はしているものの一度も城の外に出たことがないし、父である王からの扱いも冷たいという、なかなか悲劇のヒロイン的な設定です。

チカ王子との結婚を半年後に控えたある日、新しい教育係としてアクアティアから来たのがユウリ。2巻の表紙の人です。

普段はもっとシンプルなシャツを着てるキャラなのですが、表紙なので王子風なおめかし。というのも、このユウリ、正体はチカ王子なんです。(1話の時点で読者にだけは明かされてるので、そんな重大なネタバレではない...はず)

ミオは「人魚である」というアイデンティティーを否定され続けた結果、「自分が人魚でなくなれば全てがうまくいく」と考えるようになり、自己肯定感も低く、自分の意志というものをほとんど持っていなかったのですが、ユウリに人魚であることを肯定されたことから、「能力者 = 呪い」という考えは間違っているのではないか?と思い始めます。

もちろん人間主義国でそんな考えは許されるはずもなく、色々あった末にミオとユウリはブログニグを出て、素性を隠した状態でアクアティアを目指すことに...というのが大体のあらすじ。

ミオも人間主義国の姫でありながら能力者である、というめちゃくちゃ訳ありなキャラクターですが、ユウリはユウリで超絶訳あり。

チカ王子はすごーく優しくていつも笑顔、キラキラ金髪のいかにも〜な王子様ですが、ユウリの時は黒髪、表情もそんなに変わらないし、口調も態度も甘くはありませんので(ミオには丁寧語だし、甘さがないだけで優しいです)、ミオはユウリの正体に全く疑問を持たず。

アクアティアを目指すのであれば、ユウリはさっさと素性明かすなり、国から迎えを要請するなりすればいいじゃん?と思うのですが、それが出来ない(しない)理由はちゃんとありそうだなあ...という匂いがプンプンします。4巻までではユウリの過去や現在の状況が断片的にしかわからないのですが、なかなか重そう...。

シリアスファンタジーと恋愛のバランス

「ミオの名のもとに」は、ジャンルでいえばファンタジーなのですが、ほのぼのとした可愛らしいファンタジーというよりは、ちょっぴりシリアス気味のファンタジー。

とはいえ、掲載誌が「りぼん」ですので、めちゃくちゃ暗くて救いがないとか、グロい描写があったりとかそんなことは全くなく、あくまで「小中学生が主なターゲットであることを考えるとテーマが重くて、少女向けレベルの(重要)シリアス要素が前面に出ている」程度。

全体的なテンポがいいので、シリアス展開も長くは続きませんし、ミオがとにかく良い子で品があるし、長くウジウジするタイプでもないので、読んでいてストレスが溜まりません。(実は最初のうちは沈むことも多かったですが、旅を通して成長しているのが感じられるので、なお好感!)

ミオがユウリとの出会いと旅を通して、自分の存在を肯定してあげることも物語の大きな主題になっているので、現代人に刺さるテーマになっているなと思います。人間と能力者の共存というのも、多様性を認めることの重要性が叫ばれつつもなかなか受容されない現代に刺さるテーマですね。

そんなストーリーも良いのですが、何よりガッツリファンタジー100%の物語ではなくて、恋愛要素がきちんと盛り込まれているところが最高なんです!

私は基本的に恋愛物の少女漫画が好きです。中でも、丁寧に作り上げられたファンタジー世界や、(架空含め)王国ものが大好き。さらには、ちょっとくらいシリアスな方がテンションが上がります。

でも、ファンタジー作品として素晴らしい作品は恋愛要素が薄かったり、逆に恋愛要素が強くてファンタジー要素が設定程度で物語の主軸にならなかったり...素晴らしい作品ではあっても、私のストライクゾーンど真ん中ではない...。

さらには、明るいほのぼの系ファンタジーも悪くはないのですが、(少女漫画の範囲内の)重め展開が刺さりまくるので、そういう作品をつい求めてしまいがちで...。

その点、「ミオの名のもとに」はファンタジーと恋愛のバランスが最高!!しかも適度にシリアス!好きなポイントしかない!!

最初のうちはファンタジーの面が強かったですが、だんだんミオとユウリの恋愛も加速してきていて、全てにおいて最高です。

ミオは慕っているチカ王子と結婚できるのは素直に嬉しいと思っているけれど、ユウリに少しずつ惹かれている状態。まだ恋愛感情だとはっきり自覚しているわけではないので、あたふたしている感じなのですが、読者目線からすると「いや!チカ王子とユウリ同一人物だから!!早く好きって自覚しちゃえ!可愛いな!!」と全力で推したくなる構図。

ユウリ側は、ミオに恋愛感情がどこまであるのか微妙な感じですが、少なくとも大事にしている...のは行動で伝わります。

口調も態度も甘々ではないですが、ミオが人魚であることを肯定し、常に冷静で頼りになり、ここぞというときは絶対にミオを守ってくれる、ファンタジーのヒーローとして素晴らしすぎます。個人的に黒髪なのも高ポイント。

ミオはユウリに物理的にも精神的にも助けられているのですが、実はミオもユウリを物理的にも(ユウリの反応的に)精神的にも助けているシーンが多々あって、お互い助け合っているんですよね。色んな意味で支えあうカップル...最高です。

ユウリの行動原理が謎に包まれているので、実際に二人がどうなっていくのかは、これからの展開に期待です。まあ、何もなくても結婚することは決まってるようなものなんですが... 。

私は元りぼんっ子(りぼん読者の総称)ですが、作品の雰囲気としてはりぼんよりコバルト文庫系の少女小説が近いかなあ。ファンタジー×恋愛系だと白泉社にたくさんありますが、LaLaとか花ゆめの雑誌自体は買ったことがないのでなんとも言えず...でもなんとなく、白泉系のファンタジーとも違うような。

(作品としては良作だと思いますし、私はすごく好きなんですが、「りぼん」の作品としては読者人気を心配してしまう...。)

王族が主人公であるファンタジーとして

何度も書いてますが、ミオはブログニグという国の王女です。

とはいえ、人魚であるが故に他国どころか城の外に出ることすら許されなかったため、第一話の段階では自分が国を守る使命を持った王族である、という意識が低い状態でした。

「人魚であるということと同時に、姫であることもミオ自身から切り離せない」(ニュアンス)とユウリに諭され、人魚としての自分だけではなく、姫である自分の役割も意識するようになるミオ。

旅の中では姫であることを伏せていますし、そもそも政治的なエピソードは今の所ほとんど出てこないので、そこまで深くは掘り下げられていない要素ではありますが、個人的にこの王族である要素に触れるのと触れないのでは、物語としての深みも、納得感も全然違うと思っていて、初期からきちんと触れられているのはもう、信頼感しかない!

「王族としての責任」みたいな話の展開は大好物なので、もうどんどん好きになる...。

人物はもちろん、背景と衣装が好き!

今更ですが、この作品は原作と作画が分かれている漫画で、作画を担当されているのはたしろみや先生。

たしろ先生はデビュー当時から応援していてとても好きな漫画家さんだったので、たくさん絵が見れて嬉しい...。

ミオやユウリ、その他キャラクターたちもすごく可愛くかっこよく、素敵に描かれているのですが、背景や衣装がとっても好き!

作画に専念されているせいもあるのか、いわゆるファンタジー世界観の背景も綺麗だし、違和感なく素敵。美しい街並みの描写や小物、作品の都合上重要な水の描写も綺麗なタッチで描かれているのでうっとり。

そしてミオの衣装や髪型もいちいち可愛くてときめきます...。

ミオが人魚で、手の甲のあたりにも鱗がある関係上、長袖×ロングスカートが基本の服装なのですが、ゴテゴテしすぎないレース使いが本当に可愛いんですよ!!襟付きシャツの登場も多くて、品の良い格好がとっても好き...。

いかにもりぼんっぽい、可愛くてキラキラで、丁寧な線の絵柄が本当に好き!たしろ先生の絵が世の中にたくさん出て、複数巻のコミックスまで出るようになって、本当に嬉しいです...。

ただの華やかファンタジーより"もうちょっと"欲しい方に

「綺麗な絵」「こだわりを感じる細部」「きちんと練られた設定」「清涼感のあるストーリー」「主人公の成長」「恋愛要素」など、個人的に少女漫画に求める要素が全てドストライクに詰め込まれた漫画が現れてくれた!最高です!!

実は連載当初から存在は認知していてずっと気になっていたのですが、完結してから一気読みしようかなーなんて考えていました。

でもたしろ先生のTwitterをフォローしているので日々日々気になっていて、もうこれは早く読みたい!となり購入。予想以上に最高すぎたので早く買ってよかったです。いやむしろ、もっと早く買えばよかった。

期間限定とのことで具体的にいつまでかはわからないのですが、ジャンプ+で一話が読めるので(登録不要)、気になった方は読んでみて欲しいです!

個人的萌えポイントをぶつけただけの文章なので布教になるのか微妙だなと思っていますが、少しでも読者の方が増えたらファンとしても嬉しいです。

どの層に刺さる漫画なのか言葉にするのは難しいんですが、「あくまで少女漫画だけど、題材としてファンタジーの漫画が読みたい」方や、「少女漫画や少女小説の類が好きだけど、華やかなだけじゃなくてシリアス面も描かれていると嬉しい」方あたりでしょうか...。(ちなみにですが、私が人生一好きな作品はコバルト文庫の「伯爵と妖精」です。参考になるかな?)

あとは試し読みしてみて、ミオやユウリが好きになった方。

ミオは王族の生まれなので衣食住には全く困らない生活だったとはいえ、父親から疎まれ、周りの人全員に恐れられ、人魚であることを否定され続けて育ったとは思えないほど心が綺麗な女の子です。

性格を一言で言うなら「大人しい・穏やか」になると思いますが、でも芯があるし力強いエネルギーがあるんですよね。言葉の選び方も品があってすごく好き!

素敵な漫画に出会える幸せ

素晴らしい漫画に出会えることはとっても幸せ。ミオの名のもとにをこれからも楽しみつつ、新しい漫画との出会いも大切にしたいなと思います。

...というわけで、オススメの少女漫画や少女小説があれば教えてください!なろうの西洋ファンタジー系もよく読みますのでなろうでも嬉しいです!笑

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