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ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート行って生まれ変わった

タイトルがすごいですが、単なるコンサートの感想です。感動しまくったので。

さて、ジーザス・クライスト=スーパースター(以下JCS)コンサート!それはもう、公演発表の時点でワクワクが止まらず、チケットの先行抽選も意味ないのに受付初日に済ませたことです。

前回公演はおそらくリサーチ不足で、気づいたときには売り切れとかだったと思います、あんまり記憶にない...。

JCSは好きなミュージカルだし、そもそもアンドリュー・ロイド・ウェバー(以下ALW)の音楽はどれも大好きだし、何より私の中で生歌聞きたい人No.1、大好きで憧れのラミン・カリムルーがイスカリオテのユダで出演する!!!これはもう絶対に見たい!!

そして先行抽選でまさかの1階4列目(シアターオーブの1階1列目は存在しないので実質3列目)のほぼセンターを当てるという、時たま発揮する運の良さが出てくれて、素晴らしい環境で見ることができました。

前置きはこのくらいにして、感想書いていきます。公演終了前にアップしたかったので、結構勢いで書きなぐり...。

1幕

そもそもコンサート形式の舞台って行ったことがなかったのでどんなものなのだろうと思っていたのですが、簡単に言うと、舞台セット、衣装、演出などをミュージカルとは変更して、ナンバーだけで再構成した舞台でした。

そうは言っても、ちゃんと「役」として登場して歌うし、表情等の演技もある。JCSは元々セリフがない作品なので、違いは舞台セットと衣装くらいかな?という感じです。

JCS含めてALWのミュージカルってセリフで進行するシーンほぼ0なものばかりなので、コンサート形式向いてますね。

セットもあの荒野ではなくて、ジャングルジムのような鉄骨で出来たセット。役者がそこを動き回りながら歌うのでめちゃくちゃかっこいいです。

衣装などもミュージカルとは違って、完全に現代物の洋服でした!ジーザス、マグダラのマリア、ペテロ以外は全身黒が基調の衣装で、ロックらしく革っぽいパリッとした生地も多そう?

女性アンサンブルは網タイツの方もいて、結構露出も激しい、セクシーな感じです。

ジーザスは白シャツ。マグダラのマリアは生成りのドレス。ユダはヨレヨレの黒シャツだったんですが、最後胸元がはだけるレベルでヘタってしまっていて(超セクシー)、あれはもう1公演1枚レベルで用意されてるのかな...?

さて一幕、最初っからとんでもなくかっこよかったです!オーバーチュアの途中からアンサンブルが登場してワクワクが最高潮に達したところで、ラスト、「スーパースター」のメロディになったところでパッとステージ上部にライトが当たると、いつの間に立っていたメインキャストがお目見えするという演出。ありがちとはいえやっぱりかっこいい...!

憧れのラミンが突如目の前にいたのでもう興奮マックスでした。

そしてそのまま「Heaven On Their Minds」へ。

もう、なんていうか、最初っからすごいところに来てしまった...!というか。一応持っていたオペラグラスもメガネもいらない位置に神がいるんですよ。そして生歌を浴びるように聴けるんですよ。こんなに幸せなことってありますか?

憧れのラミンは写真で見たままで、歌声はCDで聞いたものより胸に響いてきて、伸びやかで力強い。大好きな声です。夢みたいでした。

もちろん、ラミン以外の方も素晴らしく。まずアンサンブルの皆様が最高でした!

歌が激うまなのはもちろんのこと、一つ一つの動きがキレッキレでセクシー。ジーザスへの熱狂っぷり、力強さがビシビシ伝わってきて、まさかたった10人しかいないなんて到底思えません...!

他のキャストも一人一人書きたくなってしまうくらいもう本当に素晴らしい。ジーザスは後で触れたいので一旦おいておくとして、一幕で目立つのはやっぱりマグダラのマリア、カヤパ、アンナス。

JCSでのマグダラのマリアの描かれ方ってなかなかすごいなと思っているんですが、今回コンサートでは衣装がおへそもちらっと見えそうなドレスだったこともあって余計に「こりゃ元娼婦ですわ...」という感じ(偏見)。

セリンダの美しく色っぽい歌声はジーザスじゃなくても全てを忘れて眠ってしまいたくなりそう。格好も歌声もどこか色っぽいのに、俗物的な「エロさ」みたいなものは感じられなくて、かといって聖母というほど神聖な感じもしなくて。

ジーザスのことを純粋に「一人の男性」として見ているというのが歌声を通して伝わってきました。完全に「恋」なんですよね。

カヤパとアンナス、キーが正反対な役柄で好きなんですが、お二人とも素晴らしかったです!

カヤパを演じる宮原さん(日本人の方はやっぱり敬称つけたくなる...)のどっしりとした歌声。融通効かなそうで、残虐そうで、でも多分、本当はすごく真面目なんだろうな...というカヤパでした。

普段オペラ座の怪人ばかり見てる私は、ここまでのガッツリバス音域を長く聞く機会が少ないので、低音好きとしてめちゃめちゃ嬉しかったです。本当に人間の喉から出てるの!?というくらいどっしり低いのに、しっかり響いてずーんと胸に来るんですよね。

そしてアンナス!アンナスを演じるアーロン・ウォルポールがですね、もう本当に素晴らしい。さっきから色んな人に素晴らしいばかり言ってますが本当にみなさん素晴らしいんですよ。語彙力が足りない。

アンナスって音域が難しい役だと思うんですが、そんなことも忘れさせるくらい聞き惚れてしまいました。そしてすごい神経質そうなんですよ!部下が仕事ミスったらめっちゃ怒りそう!(笑)

たぶん声が高めなのと、1音1音針に穴を通すみたいに正確な音をビシビシとついてくるからだと思います。アンナスのナンバー的にそうしてるんだと思いますが、音の移動が直線的で迷いがない感じ。最高です。

高めの声質がめちゃくちゃ好きでした。高いのに全然キンキンしてないんですよね。あんまり日本人俳優で聞かない声質な気がするんです。昔、音楽の授業で聞いたソロのテノール歌手とかで似たような声質を聞いたような、聞いてないような覚えがあります。骨格の問題なのかなぁ。

ミュージカル版とガラッと変更しているのが演出。

曲によっては客も一緒に手拍子、手を左右に振ったりなんてこともあり、そのへんはライブコンサート感があってよかったです。

しかも、そうやって観客も民衆に見立ててくるんですよ。

一番顕著なのが「Hosanna」のナンバーで、ここで左右に手を振るのですが、その様子をみたカヤパとアンナスが驚き、軽蔑、焦り、怒りなどが混ざったすごい表情ででこっちを凝視してきます。

「こんなにジーザスの信奉者いるの?こいつら正気?(やっぱジーザス危険だわ、殺そう)」みたいな目でこっちをガン見してくるので面白かったです。

あと触れておかねばならないのはヘロデ王。出番は2幕後半まで来ないのですが、基本的にずーーっと舞台上の方にセットされた玉座に座って、様子を見守っています。

「見守っています」といってももちろんJCSのヘロデ王はアレなので、めちゃくちゃな態度(笑)

そもそもまっすぐ玉座に座ってないし、足は組むし、その組んだ足も肘掛けにのっけるし、頬杖ついてめちゃくちゃだるそう。

でもナンバーによっては楽しそうにしてるときもあります。一番可愛かったのはやっぱり「Hosanna」。

アンサンブルと観客の手振りのリズムに合わせて一緒に首を傾けてみたり、肘掛けに乗せた足でリズムを取ってみたり。でも、最後の方は飽きたのか、完全にそっぽ向いて(頭も後ろを向いて)ふて寝みたいになっちゃってました。可愛いかよ!

歌が少ないからこそ、こうやって出てくれるのは嬉しいですね。

さて、前回の公演見ていないのでなんともですが、今回はあまり役者同士が接近する・密着する演出はできるだけ避けていたように思えました。

マリアとジーザスもそんなに接近しないし、民衆もジーザスを取り囲んで救いは求めない。アンサンブルも、もうちょっとあの人前に出てくればいいのに!と思うくらい離れているときもありました。

だたそれはそれで、演出としてあり。ジーザスに近づきたいけど近づけない人たち。慕って自分を信奉している民衆や弟子が沢山いても、精神的には孤独なジーザス。マリアはそんなジーザスを愛していて癒やしてあげたいと思っても、結局は彼を理解できないし心の奥まで理解できない。

そんな孤独感が見える形で表現されているようで、これはこれでいいなーと思いました。民衆に囲まれて物理的に身動き取れなくなってるのも好きですけどね。怖くて。

2幕

1幕はユダが裏切りをカヤパ・アンナスに約束する「Damned For All Time / Blood Money」でおわり。これももうラミン、カヤパ、アンナスがエグすぎてもうアドレナリンが止まりません。

ユダが「そんな、金なんて!」という動揺、心の揺れ動き、ジーザスを裏切るか裏切らないかの瀬戸際の表情、動きの表現に興奮しました。

わーユダが裏切っちゃった!後半どうなるの〜!?って感じで、意外と区切りいいですね。2幕の最初が「The Last Supper」になるし。

さて、とにかく2幕はジーザスについて語りたい。

とにかくもう「Gethsemane」がやばいんです。

ジーザス役のマイケル・K・リーがもうジーザスそのものにしか見えません。魂の叫びと言うんでしょうか。すごく楽譜に忠実に歌ってるのに、でもとても音楽的に表現されていて、そしてビシビシと感情が伝わってくるんですよ。

そしてその歌がすさまじく上手い。うますぎる。

いやもう、「上手い」とか「素晴らしい」とか「エグい」とか「すごい」とか「神」じゃ表現しきれない上手さなんです。「めちゃくちゃ素晴らしかったです!」とかいうのが失礼に当たるのではというくらい。

上手さの頂点をつきぬけちゃってる感じです。このマイケルの歌声を評価できる日本語が存在していないんですよ。

もちろん、他の役者さんもうますぎて語彙力不足に陥るくらい素晴らしいんですけど、マイケルのジーザス、特にゲッセマネはもう私の脳みそを破壊しに来てると思いました。

というかもう破壊されました。私は完全にここで一回マイケルの歌声に殺されました。完全に魂が昇天。そのぐらい素晴らしかったです。

もちろん、歌だけじゃなくて立ち振る舞いや表情の演技も最高。

ゲッセマネは人間的な弱さを見せるシーンでもあるので、それなりに表情豊かに苦しむんですが、その後はなにがあってもずーーっとほぼ真顔に近い顔。

でも真顔なわけではないんですよね。すべてを受け入れて、達観しているような、でも心の奥では死に対する恐怖がまだあるような、絶妙な表情をずっと突き通すんです。

なにかきっかけがあれば崩れそうな、脆い顔をずっと続けている。そして直立不動。別に背筋がピンとしているわけではないけれど、静かに、真っ直ぐ立っているだけ。

表情と動きは最後、「Crucifixion」になってやっと、崩れました(確か)。

そう、39回鞭に打たれてもあんまり表情変わらないんですよ!ジーザス!

コンサートの演出では十字架を背負うことも、引きづられることも、鞭に打たれることも、十字架にかけられることもありません。

ジーザスは基本的に舞台中央に立って、ただただ死を、神の御心が果たされるのを待っているだけ。ヒートアップしていくのはまわりだけで、ジーザスはちっとも変わらないんです。

個人的な解釈ですが、ゲッセマネ後の舞台上にいるジーザスは肉体としてのジーザス=クライストではなく、ジーザスの内面(精神)なのかなと思いました。

ゲッセマネで死ぬことを受け入れた(一応)後のジーザスの心は、もう何があっても揺らぐことはない。感情が凪いでいる様子を具現化しているのかなと。

でも最後、いざ十字架にかけられて、人間として死を迎えるその間際になると、どうしても恐怖心が出てくる。聖書に書いてあるイエス・キリスト(本物の方)が死ぬ間際に発した言葉とか態度と比べるとすごく弱気なジーザス。

この時の舞台上のジーザスは動くし(少しですけどね)、表情も辛そうだし、表現が豊かです。

舞台上で表現していないとはいえ、物理的には十字架にかけられているはずなので、忠実に再現するならむしろ動かない方がいいシーンだと思うんですけど、ここもやっぱりジーザスの心情を表現しているのかなと思います。最後の最後になってゲッセマネの時のような感情の揺れ動きがあるジーザス、解釈一致すぎる。

最後は天の国への階段を登るように(聖書的には天の国に登る前にまず復活するんで、これは天の国に行ったという表現とはまた違うとは思いますが)、重い足取りで階段を登り、舞台セットの上部へ。

最後はキャスト全員で下からジーザスを見上げて、完。

いやあ、素晴らしかったです...!

ゲッセマネでの素晴らしい歌声で私が一度殺されたと書きましたが、ゲッセマネで殺されてゲッセマネで生き返ってます。

素晴らしい舞台は、人を昇天させるけど、その素晴らしさで新しく生まれ変わらせてもくれるんですね。

素晴らしい舞台を見た後のあの独特な高揚感を言葉にすると、多分こういうことなんだなと今回気づくことができました。色んな思いや現実を抱えて劇場に行くけど、劇場を出るときには、頭の先からつま先まで、純粋な感動で満たされた新たな自分となって生まれ変わっている。

だから舞台は素晴らしいし、やめられないですね。

というタイトル回収でしたが、もうしばらくお付き合いください。

ジーザスのことは一通り書いたので、ジーザス以外の2幕の感想を。

先ほど、ジーザスが「ゲッセマネ以降ほとんど動かない」と書いたのですが、実は例外があります。

そう、ヘロデ王のナンバーです!

ヘロデ王は2幕後半になってやっと出番があるのですが、とっても楽しそうに「ハアーイ!」と言いながらこちらに向けて手をあげ、拍手を強要(笑)し、すごくウキウキで歌い始めます。

やっと聴けたヘロデ王役の藤岡さん、歌声はもちろんなんですが、享楽的、でも冷酷なヘロデ王の感じが素晴らしかったです。

そして曲の途中ではジーザスにすごく近づいて絡む場面も。その時ジーザスは若干引いた顔で、ちょっぴりのけぞってヘロデ王から距離を取ろうとしていました。

鞭で打たれても動じないジーザスを動じさせるヘロデ王すごい...。

最初のうちは本当に楽しそうに「ワインを水に変えてみろ」とか「プールの上を歩いてみろ」とか歌っていて、間奏ではまたもや観客に拍手を求めた後、「会えて嬉しいよ〜」的なことを英語でニッコニコで言ってくれるくらい上機嫌。ジーザスが奇跡なんて起こせないだろうと馬鹿にしていて嘲っているというより、新しいおもちゃをもらった子供のような上機嫌っぷり。

もちろん最終的には、奇跡が起こせないどころか何も話さないジーザスに激怒しめちゃくちゃに罵るのですが、上機嫌から激怒までのグラデーションがすごく自然でびっくりしました。

突然怒るわけでもなく、最後の方で段々と、畳みかけるように怒りを爆発させる感じが素晴らしかったです。気がついたら激怒してる!みたいな。

先ほど「新しいおもちゃをもらった子供のような」と書きましたが、怒ってる時はもう完全に大人なんですよね。子供の癇癪みたいな感じじゃなくて、(あんまり実権ないけど)王という最高権力者に許される怒りっていうんでしょうか。感情のままに「失せろ」と言っても許される、それがわかってるからこその怒りのぶつけ方。単に怒鳴ってるからではなくて、ひれ伏したくなる怒り方でした。

ヘロデ王ってJCSの登場人物の中でトップクラスに精神的にやばいやつだと思うのですが、少ない出番でそれを確実に表現するのって難しいと思うんです。

でも藤岡さんのヘロデ王は見事にヘロデ王の多面性も、本質も表現されていて、「そう、私の見たかったヘロデ王はこれ!!!!」という感じでした。

JCSの中でもヘロデ王というキャラ、そしてナンバーはとても好きなので、期待値が高かったのですが、藤岡さん、とっても素晴らしかったです!

ちなみにヘロデ王って聖書で触れられてたっけ...?と気になって探したら、ルカによる福音書にありました。

彼(*ヘロデ王)はイエスを見ると、非常に喜んだ。というのは、イエスのうわさを聞いて、ずっと以前から会いたいと思っていたし、イエスが何かしるしを行うのを見たいと望んでいたからである。(中略)
ヘロデも自分の兵士たちと一緒にイエスをあざけり、侮辱したあげく、派手な衣を着せてピラトに送り返した。この日、ヘロデとピラトは仲が良くなった。それまでは互いに敵対していたのである。(ルカによる福音書23:6-12)

JCSのヘロデ王のキャラ造形は、聖書を拡大解釈したらこうなりそう...というレベルではありますね...。全くの捏造じゃない感があってすごい...。ただJCSのヘロデとピラトはあんまり仲良くなれなさそうですね。

続いて印象的だったのがピラト。なんといっても鞭打ちシーンが見せ場です。

ジーザスが無実だとわかっていながら、民衆の熱気を抑えることが出来ずに鞭打ちを実行することになってしまうわけですが、39回のカウントの仕方が素晴らしい。

演出としては舞台中央に立つジーザス、その周りを囲む民衆とカヤパ、アンナスの図。カウントに合わせて、民衆がエアーで鞭を振るい、照明を鞭のようにしてジーザスに突き刺さります。

ジーザスは前述した通り鞭で打たれても表情もほとんど変わらないし、特によろめくようなこともありません。

その静かなジーザスと対象的なのがピラトで、39回をカウントしながら心情の変化が目まぐるしく変わっていく表現がとてもよかったです。

最初のうちは職務として淡々と数える。途中で「これがお前たちが望んだ結果だぞ、私が決めたことではないからな」とでも言うように、実際に鞭打ちが始まっても変わらず熱狂する民衆に目を向け、「そもそも無実のやつを鞭打ちにすることを望むなんて正気か」とカヤパとアンナスにも目を向けるけど、二人は冷静な気持ちでジーザスを見つめる。だってジーザスは死ぬべきと本気で思っているから。

無実の人を殺そうとしているカヤパ、アンナスと、熱狂にかられてそれに乗っかる愚かな民衆、そもそもろくに問答にも応じなかったジーザスにさえにも怒りを感じて、カウントの声にも怒りがいりまじる。

でも数が増えていくにつれ、民衆の熱狂に負けて最終的に鞭打ちを決めたのは自分であるという責任におびえ、民衆を抑えるためにはこうするしかなかったと思う気持ちと、罪のない人を鞭打ちにしてはいけないという公平な判断との間に潰れそうになって苦しくなる。

いよいよ39回が近づいてくると、全ての思いを振り切って、ただ回数を数え、39が来るのを待っている。39まで数え終われば、こんな苦しい思いから開放されるから。

...という感じに私は解釈したのですが、多分もっと色んな感情もあったおもうんですよ。39回を数える間にピラトの感情はぐちゃぐちゃになっているはず。

ただ数を数えるだけなのにこんなにも心を揺さぶられるシーンもなかなかないですよね。

最後はやっぱりユダ。いやあ〜ほんとに最高でした。

「Juda's death」のときのラミンがもう、心臓をぎゅーーっと掴まれるみたいにいいんです。

音楽的にも動き的にも目まぐるしく変わる曲ですが、それがユダの人間臭さの現れみたいになっていてよかったです。ジーザスは(ゲッセマネは除いて)基本「静」のキャラなので、対比として。

最後の方で「I don't know how to love him」を歌うのがめちゃくちゃ構成的にずるくて好きなんですが、ラミンがもうほぼ抜け殻状態で呟く様に歌っていて、でもしっかり響いて届くのが素晴らしすぎて泣きそうでした。

ミュージカルのリプライズってちょっと出てくるだけでも感動を爆増させるので、ものすごくずるいですよね!!大好きです。ALWはリプライズの使い方が天才だと思ってます。

このときのジーザスは舞台セット脇の方にいるのですが、舞台奥を向いているんです。つまり観客に背中を向けいてるわけで、ユダが今更何を思ってももうジーザスを救うことはできず、触れることもできない。

ユダは確かにジーザスを愛していたはずなのに、狂しいほど愛していたのに、それがこうなってしまった...というのがもう辛い!!

別にラミンの目は充血してるわけじゃないのにすごく血走っている感じというか、目が座っているというか、他人から見ても死んで楽になってほしいと思ってしまうほど辛そうで...とてもよかったです。

最後は首吊りをして死ぬわけですが、首吊りに使った道具というのがジーザスがくれたスカーフというのがもう...感情が追いつかない!コンサートと言いながら小道具の使い方などの演出もこだわっていて、新演出版という方が表現的に近い感じ。ユダに当たっていたスポットライトがだんだん閉じていって命が潰えていくのがわかる演出、とっても良かったです!

これはコンサート版じゃなく本家の話になりますが、「Superstar」のナンバーを最後に持ってこないのってすごいですよね。

私だったら多分、ジーザスが死んでストーリー的には終わった後、最後に「Superstar」を持ってきて〆ると思います。カーテンコールみたいな感じで盛り上がって終わりにしたくなっちゃう。

でもそれは凡人の発想なんだろうな〜(笑)

JCSはユダにスポットを当てていますけど、やっぱりあくまで中心はジーザス(と民衆)なんですよね。最後に民衆の熱気が冷めて、ジーザスに興味もなくなるあの静けさにちょっとゾッとするあのラストは最高です。

カーテンコール

カテコはもう大興奮でやばかったです。

舞台の前の方ギリギリまで演者が出てきてくれるので、本当に近い!嬉しい〜!もう最初っからスタオベです。

基本的に笑顔がほぼ0の役が多いので、皆さんの笑顔が見れてほっとしました。あと最初の方で書きましたがラミンのシャツがいつの間にか首元がめちゃくちゃダルダルになっていて、超絶セクシーでした...はだけてるのはやばいです...。

海外勢の方は投げキッスしてくれたり、手で作ったハート飛ばしてくれたり、表現が日本より激しくて(笑)、めちゃくちゃ興奮しながら全身受け止めました...!ラミンからのハート!!!!あとマイケルがウインクしてたのにキュンときてしまいました。ウインクってめちゃくちゃときめきますね...。

海外の公演のカテコは日本のように何回も出てきてくれないと聞いたことがあるので、それに倣って今回のコンサートも複数回出てきてくれることはないのかなーと思いましたが、むしろ日本に合わせてくれたのか4〜5回出てきてくれました。あんまり多すぎるカテコは流石にちょっと疲れるけど、でもやっぱり1回は寂しいので、嬉しい!

最後の方はラミンが先導してリズムをとってくれて、会場全体で手拍子のリズムを楽しみました。役者さん達と一体になれる手拍子、とってもいいですね!

舞台は生きる理由

終わった後の高揚感はもう言葉にできないほど。

実はシアターオーブに向かう直前にちょっと嫌なことがあり、不快感と落ち込みが振り払えないまま幕が開いてしまったので、「すごく楽しみにしてたのにどうしてブルーな気持ちで迎えないといけないんだ...」と沈んでたんですが、そんなことは吹き飛んでしまいました。

やっぱりミュージカルは大好きです。チケットがあるだけで人生が幸せになる。

仕事が上手くいかなくても、何か嫌なことがあっても、劇場に入れば全てを忘れられる。それは逃避しているわけじゃなくて、劇場から出たら「もうちょっと人生頑張ってみてもいいかな」と前向きにするエネルギーで体が満たされている。

上質なエネルギーで満たされるって、こんなに幸せなことはないですね。

今回のJCSは題材的に明るくないですけど、それでも皆さんの素晴らしい歌声と演技でたっぷりエネルギーをもらえました。そのあふれんばかりのエネルギーで、この10000字近い文章(!)も書けました。

本当に、本当に素晴らしい舞台でした。見ることができて良かったです。ありがとうございました。

今度はマスクなしの状態で再演が見られることを心から願っています。というか再演をぜひ、ぜひお願いいたします...!!!

ここまでスクロールありがとうございます。読んでいただけるだけでもとっっても嬉しいです。サポートはありがたく歯列矯正代に使わせていただきます。