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見えていなかったリスクと向き合う覚悟があるか?

日本人の契約書アレルギー

一部日本人の契約書への過剰なアレルギー反応は、「この取引を進めた場合の潜在的リスク」が開始前に視覚化されてしまうことによると思います。

例えばジュエリーリフォームや委託催事中の盗難や破損のリスクをどちらがどう負担するか、という条項を決めようとすると、どちらも「自分の負担はいやだ」となり、結局その契約条項は外して欲しい、と言われることがあります。

そういうときによく出るのは、

・「信頼関係があるから大丈夫」

・「これまでそれで問題おきたことはない」

という言葉です。

「信頼関係」というマジックワード

信頼という言葉で契約書から逃げる(条項を削除する)のは簡単ですが、それはただリスクを先延ばしにするだけで、資金や労力をかけてからいざそのリスクが顕在化したに余計揉めるだけです。

「信頼」で解決できるなら裁判所も弁護士も要りません(笑)。

そして何も決めていなかったときは得てしてパワーバランスが強い方の言い分がとおってしまうことも多くあります。

それは法律的にではなく、『次から仕事切るぞ』という脅しによってです。

たとえば百貨店催事中に万引きが起きたとき、

・百貨店は「いや、うち場所貸してるだけなんで」

・ブランドは「うちは委託してるだけでそこにいなかったんで」

・マネキンさんは「いや、私はただ時給でここに立たされただけで責任者じゃないんで」

となり、結局皆が負担したくない、と言って揉めます。

さっきまでの「信頼関係」はどこにいったのやら・・・。

契約書とは、リスクマネジメントの基本ツール

この取引によって起き得るリスクが、はたして許容範囲のものなのか、

それともそもそもこんな取引はじめないほうがいいのかを、

事前に把握し、交渉により合意してからお互いしてから取引開始できるというのが契約書の最大のメリットだと思います。

契約書は、素案をつくったほうに有利に作られる

そしてもう1つ、およそ契約書というのは、「その案をつくったほうに有利にできている」ものです。当たり前ですね。
そこから修正する交渉をするのは当然ですが、まずは弱い立場のほうこそが契約書案を作るべきです。

たまに、「取引先に契約書を作って欲しいから私を紹介したい」、というお話があるのですが、それはピストルを相手に渡すようなものです。

弁護士は依頼者の利益のために働くので、依頼者となった人に最大限有利にアドバイスしたり,契約書をドラフトします(もちろん極端な内容のものは成立しない可能性があるのでバランスはかんがえますが、それでも少なくとも依頼者が不利にならないように起案するのがふつうです)。

もし紹介した側が相手方になると非常に動きにくくなります。それなら下請け側であろうと自分で依頼してもらったほうがうごきやすいです。

契約書を使いこなして、ジュエリービジネスを活性化させよう

以上、契約書に対する私の考えを書きました。

「業界のことがわかっとらん!この業界は昔から信頼関係が云々・・・」というお叱りの声が聞こえてきそうですね。

まだまだ万人から賛同してもらえるとは思っていませんが、これから先、グローバルなビジネスで成長したいというかたからのご依頼、お待ちしています。

Jewelry and Law  https://jewelryandlaw.com/

契約


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