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「Apple新製品発表」から読み解くAppleの在り方

-2020年3月19日21時5分-
Appleは突如、公式HP・YouTube・オンラインストアを更新した。新型iPad Pro、新型MacBook Airがリリースされたのだ。

昨今のAppleは、新製品を”サイレントリリース”することが増えている。サイレントリリースとは、発表会や事前告知なく新製品をリリースすることだ。とりわけ、昨年3月18日から3日間に渡るサイレントリリースに信者達が湧いたことは記憶に新しいのではないだろうか。
もちろん、過去にもサイレントリリースは存在する。しかしその多くは、プロセッサやメモリに変更を加えたマイナーアップデートに過ぎなかったはずだ。Appleはなぜ今、サイレントリリースをするのか。
私はここに、Apple社の製品発表に対する意義変化を感じる。


■ジョブズが描く製品発表の在り方

かのジョブズ時代を振り返ろう。
「喜びと感動に満ちた発表会」は見るものを虜にさせた。彼の発表会は、ある種のエンターテインメントをも感じた。
ーー 何故か。
私達は、発表会という名の「スティーブ・ジョブズ」に魅せられていたのである。
私は、「ジョブズがいた頃は〜」「ジョブズ亡きAppleは〜」というネガティブな声が今でも聞こえることに、正直呆れている。(最も、iPhoneはジョブズが作ったと勘違いしていることが起因しているのかもしれないが)
確かにジョブズは、多くの製品を生み出し、世界を良い方向に変えてきた。しかし、最も注目すべきは、彼が”完璧なパフォーマー”であるということだ。

アップルが最初期に製作したマイクロコンピュータ「Apple Ⅰ」も、世界をスマホ社会に染め上げた「iPhone」もジョブズは開発していない。彼は、指導力と売り方という2面におけるパフォーマンスに長けていただけなのである。
最も印象的なのは、初代iPadの発表会だ。壇上にソファとテーブルが置かれ、ジョブズは脚を組みながら軽快にiPadを操作する。生活に寄り添うシーンを安直に想像することができた。
我々を魅了した発表会は、彼のパフォーマンスの延長線上に過ぎない。我々は知らず知らずのうちに、彼のパフォーマンスの渦に飲み込まれ、数々のApple製品を血眼のように手に入れてきたのである。

彼のエンターテインメントを見れば、脊髄反射で「欲しい」という気持ちが働く。当時のAppleが発表会を行う意義はここにあった。つまりは、「製品発表」と「製品を手に入れた自分」が直列回路で繋がっているのだ。製品発表に電気信号が走れば、「製品を手に入れた自分」がすぐに想像でき、刺激が脊髄に走る。
当時のAppleの発表会は、我々のイマジネーションを定義していたのかもしれない。


■ティムが描く製品発表の在り方

対して、ティムの発表方法はエンターテインメントだろうか。答えは「NO」だ。(これが良くない、という意味ではないことを後述する)
彼が新製品を発表するときは決まって、あらかじめ準備された「紹介動画」を流していることにお気づきだろうか。その紹介動画は、とにかく素晴らしいの一言に尽きる。製品の美しさ・機能を、実にAppleらしい動きと音楽で表現している。あまりに素晴らしい動画であるがゆえ、動画終了後は必ず会場に歓声が鳴り響く。我々は、製品自体の魅力に心を奪われるのである。

ティムの発表は、「製品発表」と「製品を手に入れた自分」の間に「探究心」が存在している。彼が発表する製品を見たあとは、不思議とその製品をもっと知りたくなる。「Apple Watchの竜頭はどんな感触なのだろうか」「AirPodsは片耳を外せば音楽が止まるらしい」「タップ操作はカスタマイズできるのか」…etc。製品を手に入れる姿を想像するより前に、探究心が働き、自ずとその製品の博士になっているのだ。


■ライフスタイルをどう定義するのか

こうした両者の違いは、ライフスタイルをどのように定義させるかということが起点となっている。
ジョブズの場合は、発表したその瞬間ユーザーが想像する「架空のライフスタイル」が重要だと考える。
対してティムの場合は、ユーザーが製品を手に入れた瞬間の「リアルなライフスタイル」が重要だと考える。

数年前と比べ、我々を囲むApple製品は随分と増えた。ティムの製品発表法は、まさしく時代の流れに沿っている。今のAppleは、「架空のライフスタイル」をわざわざ見せる必要がないのだ。ティムクックは、Apple製品を手に入れ、ライフスタイルに溶け込むその瞬間に最大の重きを置くことで製品の魅力を最大限伝えることに成功している。

そしてこれこそが、サイレントリリースが増えた理由である。
ティムクックがAppleCEO就任後、Appleの株価は右肩上がりだ。ティムの「時代を正確に見抜く力」が、これからのAppleをさらなる高みに押し上げてくれることだろう。

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