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夏至の日〜オラが村にミック・ジャガーがやってきた!〜

今日は夏至だ。朝からお天気もよく洗濯日和になりそう。

フランスでは「Fête de la musique」といって、夏至の日に全国色々な場所で音楽祭が開かれる。昔からの習慣なのかと思ったら、意外と歴史は浅く、1981年にその時の文化大臣が提案したとのことだ。

私が留学していた頃も、隣の大きな街まで足を運び、路上で演奏したりする人を見にいった。ヴァカンスが本格化する前の、「いよいよ夏がくる!」というフランス人のワクワク感がこちらにも伝わってきた。

私は2006年にお城が点在する地方の小さな街(というか村レベル)に留学していた。語学学校が一つあって、あんな小さな街なのに世界中から学生が集まってくる。近隣国ではドイツ、ポルトガル、スイス、ロシアから、アメリカや南米(ブラジル、ベネズエラ、パラグアイなど)の子達も多かった。そして日本人も結構な人数がいて、それはそれは楽しかった。しかも2006年はドイツでサッカーW杯が開催され、ちょうどこの6月に予選や決勝リーグが行われていたため、学生たちは「自分たちが国の代表!」のように、パブから漏れてくるテレビの音を聞き、外でビールを飲みながら一生懸命応援した。

(日本はこの時予選リーグで敗退してしまっが、サッカーってヨーロッパに根付いているんだなとこの時感じた。ドイツやフランス、イタリアの試合の時なんて、パブのおじさんたちの熱狂が日本の大騒ぎと訳が違う。もはや隣国との戦争なんだなと思った。)

中には選手たちと同じように自分たちのTシャツを交換している男子学生たちもいて、それを見ているのがなんだか微笑ましかった。

この時期のフランスの昼は長い。なかなか日が暮れないので、いつもいろんな国の友達が集まって、夜遅くまでお酒を楽しんでいた。21時を過ぎても明るくて、明るい時間に寝るから、朝起きても今が何時なのか時々わからなくなった。

この小さな村(もう村ってことにする)には有名なパブがあり、学生たちにとってとても嬉しいことがあった。それは・・・

カクテルを頼むと、小さなグラスではまず出てこない。

でかい花瓶(みたいなコップ)で出てくる。

それでいてめちゃくちゃ安いから、一杯頼むと足がフラフラになる程酔えるという素晴らしいパブだった。

日本の梅雨時期とは違い、お天気もよく、カラッとしていて日も長い。フランスのこの時期は本当に過ごしやすかった。

いつものように夕方から友達と飲んでいると、村がある時ざわつき始めた。なんだなんだと話していると、ある有名人がお忍びで訪れているとのこと。

その有名人が、ミック・ジャガーだった!!

ミック・ジャガーはこの村の近隣にお城を所有しており、息子さんと一緒に村にやってきていた。幅の狭い道に、でっかい車が停まっていたことは覚えているが、残念ながら本人は見えなかった。


「ミック・ジャガーって誰?」

大学生の友達がいきなり尋ねてきた。

「えっ!知らないの!? ほら・・・あの有名な・・・ロックンローラーだよ!」と私もこれぐらいしか説明できなかった。

「ふーん、そんなに有名ならサインでももらってこようかな」

やめとけ、と友達と二人で両脇から押さえて止めたよね笑

大スターだからもしかしたら気軽にサインくらいは応じてくれるかもしれないが、恐れ知らずの友達をちょっと大人だった私たちは必死で止めた。

それが夏至の日だったかもう定かではないが、でもお酒を飲みながら路上で演奏しているのを聞いていた記憶がある。

この時期になるといつも思い出す、楽しい思い出の一つだ。

夏がもうすぐやってくる。

時々こうやって記憶を引っ張り出してきて、ワクワク感やウキウキ感を思い出すことも大事なことだと思う。しばらくはいけないが、私はこの時期のフランスがとても好きだ。そして夏生まれの私は夏が好きだ。





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