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危険な学校に就職希望者が殺到したわけ 愛国者学園物語11


 愛国者学園とそのコピーはなぜ日本社会で成功を収めたのか。後世の学者やジャーナリストたちは、日本社会に多くの傷を残すほどの勢力に育ったそのOBたちを見て自問し研究を繰り返した。

その多くは読むに耐えないほどの粗悪なものだったが、本質を捉えているものもあった。その本質、彼らが成功した理由とは、

「愛国者学園がミディアム」だったから、というものだ。

 ミディアムといってもそれはステーキの焼き加減ではなくて、彼らの言う愛国者学園精神とやらが、極右精神プラス軍事学校のようなハードでも、今までの学校のように誰からも好かれる良い子を育てるようなソフトでもなかったから、というのである。

 愛国者学園は、その子供たちや親たちの精神をくすぐることに長けていた。軍事的で激しい武道を子供に強要するような戦闘的な教育や、日本社会のために自分の命を捧げろという犠牲者精神を子供に押し付けては、現代の日本社会で学園の存続は望めないし、子供も集まらない。

 かと言って、今までの日本の学校にありがちな、空想的なスローガン、例えば社会を大切にしましょう、お年寄りを大切にしましょう、を掲げるのは駄目だ、良い子を育成するのでは子供自身が飽きてしまう。

 だから、祖国防衛の少年兵製造工場ではなく、今までの学校でもない。それらの中間点を実現しましょう、というのが、愛国者学園成功の秘訣だというのである。



 それは、愛国者学園とそのコピーを繁栄させた、人材集めの思想を、ある人が評して言ったものである。

 なぜ彼らは平和主義者たちの非難の嵐を乗り切って、21世紀の日本社会に大きな足跡を残せたのか、残してしまったのかという疑問の答えだった。

彼らが、社会の予想を裏切って多くの人材を集めたので、ある人はそれを、人に細かな条件を突きつけない、愛国者学園の寛容な精神のおかげだと感想を述べた。

またある人は、子供に愛国心を教えるのだから、もっと人材を選ぶべきだ、だから連中のやり方は生ぬるいと批判した。そして別の人は、あまり人を選ばないそのような人材登用方法が、なんでも飲み込むクジラのようで危険なやり方だと叫んだのである。

続く 

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