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No密、濃密、no meetsが合言葉!|劇団ノーミーツが切り拓くオンライン演劇の新時代[前編]

“ポッと出”のバズ演劇集団とあなどることなかれ。演劇の枠を超えて、いまやエンタメ業界全体が熱視線を注ぐ存在。その名も「劇団ノーミーツ」。彼らはいったい何者なのか?目新しさばかりに注目しがちだが、その裏には演劇への情熱と緻密な戦略があった。ライブエンタメの最注目ジャンルとなったオンライン演劇が秘める可能性について主宰の広屋佑規さんに前後編で話を聞いた。

──劇団ノーミーツとは、いったい何者ですか?

Twitterで1000万回再生を超えた『ダルい上司の打ち合わせ回避する方法考えた。』を目にした方がいるかもしれません。あれを仕掛けたのが僕ら「劇団ノーミーツ」です。「NO密」「濃密」「no meets(=直接会わない)」の3つをコンセプトに、オンラインでリモート演劇を届ける集団として4月9日に立ち上げました。これまでSNS上で公開した短編動画の総再生数は3000万回を超え…手応えと同時に驚きも感じています。

僕は2018年から「Out Of Theater」という公共空間や都市空間を舞台にしたミュージカルプロジェクトのプロデュースを手掛けてきました。活動の根底には「没入感」や「リアルの場」を大切にしながら表現することの楽しさを広めたいという思いがあります。ところが新型コロナウイルスの影響で、進めていた計画が全てストップしてしまった。そこで思いついたのがオンラインでの空間づくり。世界に目を向けると「イマーシブシアター」と呼ばれる没入型・体験型のエンタメが数多くあり、屋内外問わず多様な表現が人気を得ている。日本ではまだまだ浸透していませんが、舞台上だけが表現の場ではないのです。既存の演劇のかたちにこだわりがなかったことが、劇団ノーミーツ立ち上げのスピードにつながりました。


──短編動画の手応えをきっかけに、どのように活動を進めていきましたか?

Twitter(@gekidan_nomeets)のフォロワーも1万人を超えて、自粛期間中に楽しんでもらうというひとつの目的は達成しました。次のステップはこの活動を継続できる仕組みづくり。ビジネスとしてお金を生み出すことと、演劇の新しいかたちを成立させる2軸が必要になってきます。そこで、有料視聴の長編作品を発表することを決め、旗揚げ公演『門外不出モラトリアム』のために動き始めました。この作品では、「家から出られない生活が4年続いたら…」をコンセプトに、フルリモートのまま卒業を迎えることになった大学生たちの4年間を描いています。

ありがたいことにメディアで取り上げられる機会も増えて、脚本家の野木亜紀子さん、テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行さん、コピーライターの糸井重里さん、映画監督の上田慎一郎さんなど、多くのみなさんから称賛のお言葉をいただきました。また、ザ・スーツカンパニーさんのシャツのTVCMを制作したこともトピックのひとつになりました。ビジネスとしての初挑戦は予想以上に好意的に受け止められ、期待に応えたいという思いがさらに強くなりましたね。


──旗揚げ公演『門外不出モラトリアム』の反響はいかがでしたか?

目標のチケット販売数は1000枚。結果的には5月23日(2公演)、24日(2公演)、31日(再公演)の5公演で5000人に視聴いただきましたが、実は公演直前まではやっと1000を超えるくらいの販売数でした。つまり、初演を経て興味を持ってくれた人が大多数だったということです。これまでにない体験が話題を呼び、直後から驚くほどの勢いで一気に拡散された。通常の演劇は口コミで話題になっても、劇場のキャパシティ以上の集客はできない。ところがオンライン演劇にはキャパがないので、盛り上がりの熱を逃すことなくファンを獲得するチャンスにつながる。それを示すように、最もチケットが売れたのは再公演の時でした。「面白そう!」という期待に、もれなく応えられるオンライン演劇ならではの上昇カーブと言えるでしょう。この旗揚げ公演を機に、劇団ノーミーツに対する認識が変わっていく雰囲気を感じましたね。

劇団の立ち上げからわずか1カ月半で挑んだ旗揚げ公演。予想を大きく上回る反響の背景には、オンラインの特性を生かす数々のアイデアがあった。次回[後編]では、多くのファンを生み出した3つの仕掛け、演劇業界からも注目を集める生配信オペレーションの舞台裏、オンラインライブエンタメの未来について語ってもらう。


■PROFILE■
劇団ノーミーツ 主宰
広屋佑規(ひろやゆうき)

1991年生まれ。
没入型ライブエンタメカンパニー「Out Of Theater」の代表として、ストリートを歩きながらミュージカルの世界が体験できる「STREET THE MUSICAL」、東京喰種の世界に没入できるイマーシブレストラン「喰種レストラン」(演出)など、公共・都市空間を活用したエンタメ作品のプロデュースに従事。
2020年4月に林健太郎(主宰/監督・プロデュース)、小御門優一郎(主宰/脚本・演出)と共に劇団ノーミーツを立ち上げ、主宰として企画・プロデュースを担当。劇団ノーミーツ・第二回長編公演『むこうのくに』が7/23(木・祝)〜26(日)に特設サイトでオンライン生配信。
<発行日:2020/07/06>
*本記事は、FIREBUGが発行するメールメディア「JEN」で配信された記事を転載したものです。
Writer:龍輪剛
Photographer:龍輪剛
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