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実行機能ペアレンティング・コースについて

日本実行機能コーチング協会 会長の木内敬太です。

実行機能コーチングをペアレンティングに応用した手法の親向けのオンラインコースを6月までの開講に向けて準備しています。

実行機能とは、自己の活動を監視・管理する脳の働きで、複数の脳の機能が複合的に発揮されて実現されるものです。

英語ではエグゼクティブ・ファンクション、脳の管理職であり、高給取りです。

私たちはイギリスの Connections in Mind 社から技術提供を受けて、実行機能コーチングに関する研究と実践の日本における普及を目指しています。

実行機能ペアレンティング・コースは、私たちの活動の記念すべき第1弾です。お子さんに実行機能コーチングを受けていただくには、まずは、保護者の方にその中身を知っていただきたいと思い、ペアレンティング・コースからスタートすることにしました。

こちらのクラウドファンディングでは、ふるさと納税の返礼として、この実行機能ペアレンティング・コースの体験が送られます。(教師向けコース2021年夏ごろ開講予定もあります)


実行機能ペアレンティングコースの概要

実行機能ペアレンティング・コースとは、実行機能コーチングを応用した、子供の実行機能を育てるペアレンティング手法を学ぶことができる、全6回のオンラインコースです。

動画完結のコースと、動画に加えてグループセッションや個人セッションでペアレンティングについて学べるコースも順次提供する予定です。

このコースを通して、受講者は次の内容を学ぶことができます。

・子供の実行機能に関連した問題をどのように理解するといいか
・子供の実行機能に関連した問題にどのように対処するといいか
・どのような関りが、子供の実行機能の発達を促し、将来の問題の発生を要望すると期待されるか

一般に発達障害や神経多様性をもった子供では実行機能の問題が多く認められますが、私たちが提供する実行機能コーチングや、それを基にしたペアレンティングの対象は、神経多様性の子供に限定されるものではありません。広く子供の実行機能の促進に活用され、多くの子供の夢の実現に貢献することを願っています。

ペアレンティングコースの構成

6回の構成は次の通りです。

1.脳の発達、マインドセット、実行機能スキル

第1セッションは脳の発達、親子関係とマインドセット(価値観)、実行機能の11の要素について学びます。

まず、人間の脳には可塑性があり、使えば使うほどその機能は高まります。現代では、神経発達障害のような、神経由来の疾患であっても、積極的に心理社会的支援や療育を行うことで、症状を緩和し、強みを伸ばし、社会への適応力を高めることができることがわかっていますが、それは、この脳の可塑性によるものです。

次に親子関係についてですが、どうしても子育てに行き詰ると親自身がネガティブなマインドセットになってしまいます。その関りが子供のネガティブなマインドセットを生成し、成長のマインドセットの妨げになっていると考えます。そこで、実行機能を通して、対処方法を学ぶことで、親子共に成長のマインドセットを育てていけるような関係性を築くことを目指します。

実行機能について、本コースでは11の要素を扱います。それは、1.反応の抑制、2.ワーキングメモリ、3.感情のコントロール、4.課題の開始、5.持続的注意、6.計画と優先順位付け、7.整理と体系化、8.時間の管理、9.柔軟性、10.メタ認知、11.目標への持続性、です。この11の要素が、複合的、階層的に関連し合って、実行機能が実現します。

実行機能の各要素について詳しくは次のnoteをご参照ください。

2.感情と行動の脳科学

第2セッションは感情と行動の脳科学について学びます。人間の脳は複数の部位に分けて理解することができます。人間の脳は全体として情報をやり取りし、ネットワークを作り、機能していますが、各機能については、主たる部位が担っていることもあります。例えば、実行機能であれば、主に前頭前野と呼ばれる。脳の前の方が担当しています。第2セッションでは、動機づけに関わる神経ネットワーク、行動と実行機能の関係などを学ぶことで、一般に考えられがちな、ダメな子だからできない、努力が足りないからできないという発想から、脳の働き方が違う、実行機能のスキルが十分でないからできないという発想への転換を導きます。

さらに、感情をつかさどる脳部位と、理性をつかさどる脳部位との対比、感情とマインドセットの関連を学び、どのように子供の感情や行動に向き合うのがいいかについて学びます。その時の強力な武器が共感です。聞くー是認する―待つという3ステップで共感を伝える方法をお伝えします。

セッションによっては、ホームワークの課題が出ることもあります。第2セッションでは、メタ認知の促進を意識して、ご自身とお子さんについて、普段の生活における行動と感情の関係を観察するという課題が設定されています。

3.難しい課題に対して共感し子供のリフレクションを促す

セッション3では、行動変容のステージモデルに沿って、4段階で、子供の変化を導く方法を学びます。それは、①メタ認知を促進し気づきを促す、②問題や障壁を共有する、③戦略を立てる、④後方から励ますの4つです。

また、このセッションでは、改めて、実行機能を促進する利点について考えます。そして、メタ認知を促進するための具体的な方法を学び、実際に、子供とのやり取りにどのように活用していくかを検討します。特に子供にとって最も難しい課題については、変化を促すのは容易なことではありません。親にも、感情のコントロールが求められます。本セッションの課題は、子供が感情的になったときに、親がまず感情のコントロールを発揮し、子供に関わり、子供のリフレクションをサポートすることです。

4.コミュニケーション、よくある困難、境界線

第4セッションでは、子供とのコミュニケーションをさらに深め、困難を乗り越えるための方針を引き出すための質問について学びます。さらに、境界線をきっちり引き、過干渉にならないこと点に注意します。

単に共感するところにとどまらず、問題の核心について話します。質問のポイントとして、まずは、子供の思いを承認してから、開かれた質問をするという点が共有されます。質問を通して、会話を深め、困難を乗り越える戦略を引き出します。子供の話を聞くことを忘れないことも重要です。境界線というのは、例えば、声掛けをどの程度行うかなどの、限度です。セッション4のホームワークは、自分がサメになって言い過ぎてしまったり、親切じゃない態度を取ってしまう場面について観察します。そして、どのように境界線を引くことができるか、考えます。

5.目標設定、障壁を乗り越える、足場固め、戦略

セッション5では、目標を設定し、障壁を乗り越える方略を考えることを学びます。子供と問題について共有し、ある程度の方向性を引き出した後は、具体的に前に進むための方法を考えていくことになります。目標は何か、予想される障壁は何か、それらを踏まえて、子供と一緒に戦略を考えます。

言うは易しだろうと思われることと思います。そこで、親のためにもいくつかの方略が用意されています。まず、WOOPは、Wish(願い)、Outcome(結果)、Obstacle(障壁)、Plan(計画)を立てるフレームワークです。次に、活性化された学習という方略をお伝えします。例えば、上手くいっていることは?上手くいかなかったことは?など、試行錯誤を通して子供の学びをサポートする方略です。最後に、足場固めです。足場固めは、足場を設置するイメージで、課題をチャンクに分けて、それぞれについて親が子供に対処法を提案します。

6.修復、コースの復習、アプローチの維持

最後のセッションでは、コースの内容を振り返り、コースで学んだことを引き続き実践していくために必要なことについて考えます。

継続的に気づきを促すような質問をしたり、実行機能スキルの言葉を出しいて、それを使用していることを称賛したりすることができます。いくつかの想定される場面に対して、どのように対応するか考えます。そして、保護者の方が、WOOPを使って、自分自身の目標と障壁について検討します。完璧主義のマインドセットにならないように、上手くいかなかった場合に、修復する方法を考えます。最後に、コース受講者同士のコミュニティを含めて継続的にサポートを受け、サポートし合う仕組みについて紹介します。

このように、実行機能ペアレンティング・コースでは、脳や行動、感情についての基礎的な内容から始まり、実行機能について、また、子供の実行機能を促進するための親の関わりをステップ・バイ・ステップで学ぶことができます。さらに、受講者同士のコミュニティの形成を促し、継続的にサポートし合う環境を提供したいと考えています。

こちらのクラウドファンディングでは、ふるさと納税の返礼として、ペアレンティングコースの体験(1回分 or 3回分)を受け取ることができます。関心がありましたら、ぜひこの機会にお申し込みください。



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