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トラブル解決する聴き方 受容的な態度 信頼築く ~日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2019.02)

今週の「HRマネジメントを考える」は、断食と役割について書きました。水曜日掲載のはずなので、是非、ご覧ください。で、アーカイブ、追いつきつつあります。今回を入れてあと3回です。写真は、釜石の宝来館前の浜辺からみる朝日。朝日を観るためには、日の出のほぼ1時間前には現地に着く必要があるんですね。たまたまトラブルを遠隔対処してたために徹夜したので、素敵な日の出を観ることができました。

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日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2019.02)
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トラブル解決する聴き方  受容的な態度 信頼築く
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管理職や人事の仕事をしていると、1対1で相手の話を聴く機会が多くあります。トラブルが生じた際に当事者から話を聴くこともありますが、この聴き方にはけっこう気をつかいます。もちろん、管理職や人事担当という職責を利用してある程度のことを聴き出すことは可能です。しかし、大切なのは解決に結びつく聴き方です。

それには2つのポイントがあります。1つは正しく適切な情報を可能な限り多く入手できるような聴き方をすることです。苦し紛れに嘘をつかれたり、重要な情報を出してくれなかったりということがあると、正しい判断ができません。何よりも正しく適切な情報を可能な限り多く入手するということが大切です。

ただ、私たちの仕事は情報の入手だけでは終わりません。情報をもとに最善の対応策を練り上げて実行することが必要です。つまり、解決指向でなければいけません。

解決へのプロセスでは、相手の耳が痛いことを言わなければならないこともあります。相手の意に反することを提案したり、指示したりしなければならないこともあります。これらを少しでもスムーズに進める必要があるわけです。

相手に拒絶されたり、反論されたり、時には泣かれたりということもあるでしょう。厳しいことや相手の意に沿わないことを言わざるをえなくなっても、それを相手が受け止められるような関係性を初期の時点で築いておくことが、解決に結びつく聴き方の2つ目のポイントです。

では、これらを可能にする聴き方とはどういうことでしょうか。もちろん、こうやれば完璧という単純な方程式はありません。ただ、大切なのは聞き手の「態度」です。一言でいうと、「受容的な態度」で接することができるかどうかです。

「受容的な態度」は相手の言うこと、相手に起こったことなどを、そのまま否定も肯定もせず、自分の価値観や評価を入れずに、いったんは聞き取る姿勢です。

相手の話には矛盾や弁明めいたものも含まれているでしょう。すぐに反論したり、否定したり、指導したりしたくなる話も少なくないでしょう。しかし、いちいち反応することなく、まずはいったん、相手のいうことを理解しようします。

ただし、ここで注意が必要です。「受容」とは、「同調」や「同意」とはまったく異なります。「上司が本当にひどいんです」という相手に「確かにひどい上司だね」と反応すれば、相手に同調、同意したことになります。「上司には違う思いがあるんじゃないのかな」といえば否定になります。

そうではなく、「ずっと、ひどい上司だと思いつつ仕事を続けていたんだね」というように単純に受け止めるわけです。本気で相手を理解したいと思ってこれを続けると、相手との間に信頼関係が芽生えます。そうすると相手はいろいろなことを伝えてくれます。必要な情報が集まってきます。

そして後日、「あなたの言うことはよく理解できたつもりだけど、冷静にみてどうもこういう矛盾点があると思う」と解決に向けた話し合いを切り出したときに、聴く耳を持ってくれる可能性も高くなります。少しまどろっこしい気もしますし、常にこのやり方でいいというわけでもありませんが、受容的な態度で他者の話を聴く姿勢は結構、有効なものです。


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