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【イベントレポート】 「日本ブランド経営学会サロン#62 個人からはじまる起業(法人格)ブランディングについて」

「日本ブランド経営学会サロン#62 個人からはじまる起業(法人格)ブランディングについて」

2024.7.18(木)@SNAP(浅草)&Zoom

ゲスト:山崎浩人
Brand ideaL合同会社 代表 ブランド・コンサルタント 兼)一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会アドバイザー

講師:チカイケ秀夫
PERSONAL VENTURE CAPITAL . LLC代表 書籍『原体験ドリブン』/東京ブランディング大学校 主催/日本ブランド経営学会理事長


事前MTGの内容



概要
第62回日本ブランド経営学会サロンのテーマは「個人の原体験から始まるコーポレートブランディング」でした。このイベントでは、ブランド経営の精神を磨き、世界で愛されるブランドを増やすことをミッションとし、参加者同士が互いに学び合い、新たなイノベーションを生み出すことを目指しました。
イベント詳細

開会の挨拶
司会者 本サロンはリアル会場とオンライン参加者向けに行われ、飲み物を用意して楽しむ形で進行されました。サロンの目的は、ブランド経営の最前線で活躍するゲストを招き、生の実践知を学び、参加者同士がディスカッションを通じて繋がりを深め、知見を広げることでした。

上條先生 第62回のテーマに沿い、リアル会場とオンラインのハイブリット型で進行しました。上条先生は、この学会が他の学会と異なる点を強調し、ブランド経営の進化とその重要性について語りました。彼は、「学会らしくない学会」として、各メンバーが異なる考え方を認め合いながら進んでいくことの意義を述べました。

会場提供者からのコメント
山田さん(クォーターバック様) 会場提供者の山田さんは、自身のブランド経営の経験を共有し、「つながりのデザイン」をテーマに、人と笑顔を集めることの重要性を語りました。彼はまた、リアルイベントとオンラインのハイブリッド形式の価値についても言及しました。



SNAPは「つながりをデザインする場所」をコンセプト
https://www.instagram.com/snap_okuasakusa/

株式会社クオーターバック
https://q-b.co.jp/

メインセッション
山崎浩人氏


山崎さん ブランド合同会社の代表兼ブランドコンサルタントである山崎さんは、ブランド理念とその実践についてプレゼンテーションを行いました。彼は、自身の経歴やブランドマネージャー認定協会での役割を紹介し、グローバルブランドの事例を通じて、ブランド理念の重要性とその一貫性について語りました。

事例紹介

  • Apple:「シンクディファレント」という思想がブランドの核となり、シンプルで強力なブランド構造を形成している点が強調されました。

  • コカコーラ:「オープンハピネス」というグローバルメッセージが各国でローカライズされ、強力なブランド価値を築いている事例が紹介されました。

  • Amazon:「地球上で最もお客様を大切にする企業」というビジョンに基づき、利益を顧客満足に還元する姿勢が評価されました。

ブランディングの現状と課題
山崎さん 日本のブランドマーケティングが抱える課題について、コミュニケーション主体のブランディングから、社会的存在意義を問う時代へのシフトが必要であることが示されました。



ワークショップ概要

ワークショップシート


このセッションでは、参加者が個人名と法人名を分けて自己紹介を行い、その後、ブランド経営における個人格と法人格の違いについてディスカッションを行いました。目指すのは、参加者同士が自己のブランド理念を見直し、他者と共有することで新たな視点を得ることです。
進行手順

  1. 自己紹介

    • 参加者は、個人名(個人格)と法人名(法人格)を分け、それぞれの役割や使命を説明しました。

  2. 初めのワーク

    • 参加者は、自分が現在行っていることを5つの手段として書き出しました。

    • 例:「アーティスト性」「社会性」「合理性」「サービス性」

  3. 個人格と法人格の分離

    • 参加者は、自分の個人的な思想や世界観を文章化し、それを基に法人格の理念を考えました。

    • 法人格の理念には、社会に対する貢献や解決したい問題を具体的に書き出しました。

  4. ディスカッション

    • チームごとに分かれ、個々のブランド理念やビジョンについて議論しました。

    • 各チームは、以下のポイントを中心に話し合いました:

      • 自分の活動が社会にどのように貢献するか

      • そのために必要な法人格の役割

      • 社会的問題を解決するために自分たちが提供できるソリューション

  5. フィードバックセッション

    • 各チームは、ディスカッションの内容を全体に共有し、他の参加者からのフィードバックを受けました。

具体的な議論内容

  1. 個人の思いや経験がブランド形成に与える影響

    • 参加者は、自分の原体験や個人的な価値観が、どのように法人のブランド理念に反映されるかについて話し合いました。

    • 例:ある参加者は、子供の頃からの地域貢献の経験が、現在の社会起業家としての活動にどのように影響を与えているかを共有しました。

  2. 法人格の一貫性の重要性

    • 法人格が一貫していることの重要性について、多くの意見が交わされました。

    • 特に、法人が成長する過程で、理念やミッションがぶれることなく維持されるためには、どうすればよいかについて議論されました。

  3. 法人格と個人格の分離の難しさ

    • スタートアップや小規模企業において、創業者の個人理念が法人理念に強く影響することの利点と課題が話し合われました。

    • 参加者は、法人が大きくなるにつれて、どのようにして個人理念を法人理念に統合し続けるかについてアイデアを交換しました。

  4. ブランドの社会的役割

    • ブランドが社会に果たす役割について、参加者は深く掘り下げました。

    • 例:あるチームは、環境問題に対するブランドの責任と、そのためにどのような具体的なアクションを取るべきかについて議論しました。

ケーススタディ
うるる社の事例

  • ある上場企業ウルル社の事例が紹介され、法人格が弱いとされる企業が、どのようにして一貫したビジョンとミッションを確立したかについての実例が共有されました。

  • 創業者の個人的な経験や思想が法人理念にどのように反映され、それが社員全体に浸透するプロセスが詳細に説明されました。

リブランディングのプロセスから学んだ7つのこと

参加者の反応

  • 参加者は、このワークショップを通じて、自分たちのブランド理念を見直し、他者からのフィードバックを受けることで新たな視点を得ることができました。

  • 特に、個人格と法人格の明確な区別が、ブランドの一貫性と成長にどのように寄与するかについての理解が深まりました。

結論
ワークショップは、個人の原体験や価値観が法人のブランド形成にどのように影響するかを深く理解し、具体的なアクションプランを策定するための有意義な場となりました。参加者は、これを機に自分たちのブランド経営に新たな視点を取り入れ、今後の活動に活かすことを誓いました。


新時代の日本型ブランディングについて


山崎浩人氏

概要
新時代の日本型ブランディングは、従来の欧米型ブランディングの競争的・利益追求型アプローチから、共生・協力を重視する日本の文化的価値観に基づいたアプローチに転換することが求められています。以下に、山崎さんのプレゼンテーション内容やディスカッションの要点を基に、新時代の日本型ブランディングの特徴とその実践方法について詳述します。
特徴

  1. 不易と流行のバランス

    • 不易(ふえき):変わらない本質的な価値や理念。企業の存在意義や社会的使命にあたる部分。

    • 流行(りゅうこう):時代や状況に応じて変化する戦略や手段。デジタルツールやマーケティング手法の適用。

  2. 共生社会の実現

    • 競争ではなく協力を重視し、社会全体の持続可能性を目指す。

    • 企業の利益だけでなく、社会的な貢献や環境への配慮が重視される。

  3. 個人の尊重と組織の一体化

    • 経営者の個人的な理念や価値観を尊重しつつ、組織全体で共有できる形にする。

    • 個人の原体験や価値観を企業のブランド理念に統合する。

  4. 長寿企業の知恵の活用

    • 日本の長寿企業が培ってきた知恵や価値観を取り入れる。

    • 例:散歩良し(売り手良し、買い手良し、世間良し)の理念。

実践方法

  1. ブランド理念の明確化

    • 企業の存在意義や社会的使命を明確にし、それをブランド理念として定める。

    • 例:顧客満足、社会貢献、環境保護など。

  2. ステークホルダーとの対話

    • 顧客、従業員、地域社会などのステークホルダーと積極的に対話し、彼らの声をブランド戦略に反映する。

    • 例:定期的なアンケート調査やフィードバックセッションの実施。

  3. 一貫性のあるコミュニケーション

    • ブランドメッセージを一貫して伝えるためのコミュニケーション戦略を構築する。

    • 社内外のコミュニケーションを統一し、ブランドの信頼性を高める。

  4. 社会的責任の実践

    • CSR(企業の社会的責任)活動を通じて、社会や環境への貢献を具体的に実践する。

    • 例:環境保護活動、地域貢献プロジェクト、従業員の働きやすい環境作り。

  5. 文化的価値の尊重

    • 日本の文化や価値観をブランドの中に取り入れ、国内外に発信する。

    • 例:日本の伝統工芸や美意識を反映した商品開発やマーケティング活動。

新時代の日本型ブランディングは、競争ではなく共生を重視し、企業が社会に対して果たすべき責任を明確にすることが求められます。企業の存在意義を再定義し、ステークホルダーとの対話を通じてブランド理念を共有し、一貫性のあるコミュニケーションと社会的責任の実践を行うことで、持続可能なブランドを構築することができます。このアプローチは、長寿企業の知恵を活用し、日本の文化的価値を尊重することで、国内外での信頼と評価を高めることが期待されます。

締めのコメント
上條さんは本イベントの総括として、ブランド経営学会の役割と今後の展望について述べました。神条さんは、ブランドの価値を共有し、参加者同士が学び合うことで、新しい発見や成長が生まれることの重要性を強調しました。

今後の予定と告知
田村さん 日本ブランド経営学会の公式ホームページやSNSのフォローを呼びかけ、毎月のサロン参加や年会費についての案内を行いました。会員制度のメリットやサロンの楽しさについても言及されました。

まとめ

第62回日本ブランド経営学会サロンは、個人の原体験から始まるコーポレートブランディングについて、多角的に議論する場となりました。参加者は、ブランド経営の本質を探求し、互いに学び合うことで、新たな視点や知見を得ることができました。今後も、こうしたサロンを通じて、ブランド経営の未来を共に創り上げていくことが期待されます。

次回は、10/26 日本ブランド経営学会 研究発表会2024

年に一度のブランディングの知の祭典
年に一度の研究発表会は、ブランディング実践者が、活動の結果を研究論文という形でまとめ、プレゼンテーション形式で発表していく、月に1度の行われているサロンの拡大版となります。今年もブランディングディレクター、経営者、大学職員、弁護士など、様々な専門分野の発表者が名乗りをあげています。

企業ブランディングはもちろんのこと、採用、大学広報、コンプライアンスなど、多種多様な分野でのブランディングの研究事例が発表されることから、ブランディングの応用性の高さがうかがえます。そして、ここで共有されるブランド経営の知見は、地域、企業、事業、個人などあらゆるものに応用可能です。

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