見出し画像

貧乏大学院生が100円ショップの名刺入れで社会人を装ってきた話【前編】

こんにちは。私はJBA札幌拠点の学生ライター二号。
北の大地で文系の大学院に通っている。学部までは関東にいたので、札幌の寒さに毎日泣きながら通勤通学している。

JBAでライター職をしている方には、「ライターって何してるのかよくわからないんですけど、興味があって応募しました!」という方がちらほらいる。素晴らしい心がけだと思う。
よくわからないことはやってみないとわからない。

しかし「よくわからない仕事に応募するのは不安だ」という方もいるだろう。私は数々の「よくわからない仕事」に応募してきたが、そんな性格のせいか詐欺や宗教勧誘にしょっちゅうひっかかる。先日知らない人から「先日お話ししていた犬の写真を送ります!」というメールを受けとり「アドレスをお間違いですよ」と返信したところ、迷惑メールの件数が急増し、今でも1日3件くらいは謎の当選お知らせが届く。

だからこのご時世、危機管理能力が高く慎重な行動ができる気質と冷静さはぜひ大切にしていただきたい。この記事は、そんな慎重派の方にも仕事内容を知って(よければ応募して)いただければ、という思いで執筆している。


ライターではなくデザイナー

JBAのライターは、実は「ライター」という名前ではない。
CBD、「コンテンツビジネスデザイナー」という名前がある。

goo辞書によると、ライターは「文章を書くことを職業とする人。著作家。小説家、劇作家、隋筆家、詩人、歌人、俳人など既にある語の枠にはまらない新しい文筆業に『ライター』を使うようになった」と定義されている。
つまり「小説家、劇作家、隋筆家、詩人、歌人、俳人などにあてはまらず、文章を書いてお給料をいただいている人」は全てライターというわけだ。

「ライター」という仕事も広義だが、文章を書くだけではなく、どんな記事を作るかから考える、つまりデザインするところからやっているんだぞ、という意気込みが込められたのが「コンテンツビジネスデザイナー」という名称なのである。

全国各地の「すごい人」を追って

私が「自分、コンテンツをデザインしているな〜」と痛烈に感じたのは、とある物流会社様の社内報で記事を書いたときだった。

社内報というのは、会社の内部で発行されている雑誌のこと。JBAでは、週刊誌の連載のように毎号載せているものを「定例企画」、ビッグニュースがあったときに例外的に載せる記事を「特集」と呼んでいる。

今回書いたのは始まってまだ2回目の、定例(になっていく)企画だった。この物流会社様は全国に倉庫をお持ちで、色々なメーカーさんの製品や部品を倉庫で管理し、依頼を受けたら必要な分だけ倉庫から取り出してメーカーさんに運ぶ、というお仕事をされている。

物流の仕事は一人ひとりの工夫や努力が大きな役割を果たす。荷物を壊さないように、倉庫に出し入れした荷物の数を間違わないように、配送のときに事故を起こさないように。デジタル化されている部分もあれど、個人の意識が重要な位置を占めていることは間違いない。

しかし全国各地に散らばっている社員さん同士がお互いに顔を合わせることは少なく、優秀な倉庫マンやドライバーたちのノウハウが共有されないままになっていた。

そこで全国の拠点各地で「この人はすごいぞ」と同僚や上司の方から推薦を受けた人を紙面で取り上げ、その姿勢や工夫を社内報を社内のみんなに知ってもらおう、というのが企画趣旨であった。

実はこの企画がはじまって最初の記事もJBAの社員が行った取材音源から執筆していたのだが、今号では私も取材に同行し、どんな記事にするのかを取材の前段階から「デザイン」することになったのだった。

決まらない終わらない始まらない

取材に向けてまず行ったのは、
「記事のイメージを決め、質問する内容を考える」というもの。
記事の構成を大まかに書いたプロットと、そのプロットに必要な質問をまとめた原稿を用意することになった。どんなコンテンツにするかを考えれば、そのコンテンツを作るために必要な情報も見えてくる。

必要な情報がわかれば、どんな質問をすればいいのかが見えてくる。
逆に言えば、質問が悪ければ狙ったコンテンツは作れない。
責任重大である。そして私はプロットを考えるのが苦手だ。
質問が決まらなければプロットができず、記事の作成は始められない。
正直苦手なプロット作業の間はとても気が重かった。

実はお客様も、この定例企画をどんな企画にしたいのかはっきりとしたイメージが掴めていなかった。いくつもプロット案を出し、お客様の「なんかちょっと違うかも」「これ良い感じかも」という意見を参考に、「お客様はこんな記事にしたいのではないか」という推理を重ねていく。

この作業中、私はコウモリのことを考えた。コウモリは目が見えない。だから超音波を進行方向に放ち、その反響でモノとの距離を測りながら飛んでいる、らしい。

正解の見えないなかで質問と提案を投げ続け、その反応から目に見えないお客様の胸中を推し量っていくのは、コウモリの飛び方と似ている。なかなか「これだ!」というプロットができず、自分の構想力の低さに苛立ち、コウモリ並みの超音波で「キーッ!」と叫ぶ日々が続いた。私がなかなかピンとくるプロットを出せないので、お客様も同じような状況だったに違いない。ちなみにこれは誇張であり、実際にはオフィスで突如奇声をあげたりしないのでご安心を。

ところがどっこいの法則

とにかくお互い暗中模索、二人三脚でプロットを作っていった。紆余曲折を経て決まったイメージは「仕事に対する情熱」。記事から情熱を感じられるよう、写真も文体もかっこよく仕上げることになった。

そして情熱を具体的に聞き出すため、印象に残っている仕事ややりがい、仕事をする上で気を付けていること、そしてそれらの質問に全て「なぜ」を聞くことにした。なぜ印象に残っているのか、なぜやりがいを感じるのか。

「なぜ」の回答には、インタビュイー(インタビューされる人)の考え方や過去が反映される。その人なりの工夫や考え方を、よりはっきり言葉にできる質問だ。原稿の流れも、インタビュイーの入社から今日までを時系列に沿って語る形にし、仕事にかける思いが次第に強調されていく構成にした。

同じ内容でも、読者を意識してより伝わりやすく効果的に並べる、というのも「コンテンツビジネスデザイン」の仕事の一つであり難所だと思う。

2400年くらい前のギリシャにいたというアリストテレスさんは、「物語はストーリーが急転するときに聴衆の心をゆさぶるんだよ」と書き残していて、私はこれを「ところがどっこいの法則」と呼んでいる。「ところがどっこい」とつくと、その後の展開が気になり、わくわくしながら読むことができる気がするので、構成を考えるときは意識しているのだ。「おばあちゃんの知恵袋」ならぬ、「アリストテレスの知恵袋」である。

さて、プロットも完成し、質問項目も決まり、あとは取材と執筆だけ。取材は質問項目に沿って聞けばいいし、執筆はプロットに沿って書けばいい。楽勝だった。ところがどっこい。

後編に続く。

JBAに興味を持たれた方は、こちらから採用説明会にご参加いただけます!


この記事が参加している募集

仕事について話そう

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!