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【Season2 vol.1】JATO ATCリレー:下河内 洋平さん

いよいよ本日より、JATO ATCリレー Season2がスタートします!

Season2の第一走者は、Season1の34人目の走者であった大石益代さんからご紹介をいただいた、下河内洋平さんです!お2人共に日本大学をご卒業されており、先輩から後輩へバトンを繋いでいただきました。

現在、教育・研究分野でご活躍されている下河内さんのインタビューをお届けいたします。是非ご一読下さい!

アスレティックトレーナー(ATC)になろうとしたきっかけを教えて下さい。

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1998年に日本大学大学院で大学院生をしていた時に、長野オリンピックのクロスカントリースキー日本代表チームの科学サポート班の一員として連れていかれ、連日オリンピックの試合中のデータ測定とフィードバックを行いました。

そこで、スポーツチームに科学的データを還元することの難しさや壁を感じた一方で、それを行うことの面白さも感じました。

科学的知見を現場に還元するためには、自分自身が選手指導を行える知識と技術を持つことと、一人前の研究者になることが一番手っ取り早いと考えました。そのための手段としてATCと博士号を取ることを決心しました。

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現在の仕事内容を教えて下さい。

大阪体育大学の教授として学生指導や大学院生指導をしながら、大阪体育大学の女子ハンドボール部のコーチとしてスポーツ傷害予防とパフォーマンス向上を目指したトレーニング指導を行っています。

最新の研究内容を教えてください。

様々ありますが、スポーツ傷害の危険因子とトレーナビリティーや運動パフォーマンスとの関係性に関する研究に一番興味をもって行っています。

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その研究結果が、今後どのように応用されることを期待されますか?

スポーツ傷害予防とパフォーマンス向上の動き方やトレーニング方法の共通点と非共通点を明確にすることで、よりスポーツ現場におけるトレーニング指導や方法論が明確になります。

現在の仕事の好きなところ、やりがいを感じることについて教えてください。

研究活動自体が新たな知見を得る行為ですし、研究立案から実験、分析、論文作成までの過程自体が体操競技における新たな技や身体感覚の習得と類似点があり楽しいです。

そして、研究から得られた知見をスポーツ現場に還元しスポーツの指導者と議論することや、科学的知見と経験的知見を交えながら選手指導を行うことには充実感を感じます。

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また、科学と現場を繋げるということを多くのスポーツ・運動指導者が行ってこそ、より多くの選手達にメリットがもたらされます。

大学院教育を通じて科学と現場を繋げる志と能力を持った実践者を育てることにもやりがいを感じます。

下河内さんにとって、JATOはどんな存在ですか?

JATOにおいては昨年まで3年間理事を務めましたが、上松会長の強力なリーダーシップのもとJATOが様々なことに挑戦してきた中で、かなりJATOだからできることが見えてきたと思います。

ATCの方々は日本のトレーナー業界において、ビジネスで成功している方もかなり多いですし、博士号を取得し研究者として国際的に活躍している方も何人もいます。

様々な業界で活躍しているJATOメンバーが協力することで、より日本のトレーナー業界を活性化できる存在になるのではないかと考えています。

日本人ATCの中でも、下河内さんの"the one and only" な部分を教えてください。(リレーを繋いで下さった大石さんからの質問です。)

朝日生命体操クラブ、日本大学体操部、日本大学桜樹会と、小さいころから勉強もせずに体操競技ばかりしており、体操競技を通じて得られた身体感覚や運動イメージはいまだに脳裏に鮮明に残っています。

下河内鯉のぼり

現在も他競技の選手たちに彼らの運動感覚やトレーニングを教えてもらいながら、新たな身体感覚を求めて自らトレーニングをしています。

私は、このようにして得られた運動感覚に、学問的・科学的知識を繋げていくことにより、様々な研究やトレーニング・運動指導のアイディアを生み出し、そのアイディアを日々研究や選手指導などで試しています。

これが私の"the one and only"だと思います。

下河内さんにとって、ATCは<ひとこと>で言うと、どのような職業ですか?

「自分も楽しみながら他人の人生を豊かにする職業」です。

ATCとしての仕事の楽しみ方は人それぞれだと思いますが、 ATCの仕事として私自身が楽しめることは、人との繋がりが持てる仕事であるということはもちろんですが、常に学びや発見があり自分自身の知的好奇心を満たしてくれることと、特に運動指導やエクササイズ指導などの「これが絶対に正しい」という答えが無い部類の仕事では、自分自身のクリエイティビティを存分に発揮できるところです。

人を幸せにできる仕事というのは、一般の方々に対してはスポーツ医科学の観点から健康増進や健康寿命延伸などに貢献できる仕事であり、アスリートに対しては、パフォーマンス向上やスポーツ傷害予防、アスレティックリハビリテーションなどの観点からより良い競技生活をアスリートが行えるように貢献できる仕事であるということです。

このような仕事は、心を持たないAIには絶対にできないことですので、情熱を持ちクリエイティブな仕事をし続ける努力をすることこそが、ATCとして仕事を楽しみ、人の幸せに貢献する秘訣だと思っています。

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【編集後記】下河内さん、お忙しい中インタビューにお答えいただき、どうもありがとうございました。下河内さんには、2016年にJATOのEBPセミナーの講師を務めていただいたこともあります。科学と現場を繋げる研究者、指導者としての下河内さんの思いを、改めて教えていただく機会となりました。引き続きJATOの教育・研究委員としてご協力いただくこととなりますが、どうかよろしくお願いいたします。次回は、下河内さんと一緒にアメリカでアスレティックトレーニングの勉強をされていた同志にバトンを繋いでいただきます!


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