中学高校留学希望者必見!イギリスの高校に留学している生徒が1年後にA-Level(大学入試)を受けます。イギリスとオーストラリアの大学入試の違いがおもしろい!
現在イギリスの高校に留学している生徒が来年A-LEVELの入試を受けます。RUSSELL GROUP上位の人気理系学部を希望していて両親もびっくりしています。
この3年間、GCSEやA-LEVELの入試対策で数学を教えてきて感じたのですが、
イギリスもオーストラリアも日本も大学入試制度ってこんなに違うんだ。
と、不思議な気持ちになります。
今日は、現在イギリスに留学している生徒から聞いたイギリスの大学入試A-LEVELの話と私が感じたことを書いていきたいと思います。
オーストラリアとの違いに重点を置いて書いたので、これから高校留学を考えている人にも将来の大学進学の参考になると思います。
では、始めます!
イギリスはA-LEVEL入試選択科目は3教科または4教科。
イギリスは大学入試のテストは3教科、または、4教科選択します。オーストラリアの場合は、5教科選択で、6教科まで選択可。
オーストラリアの場合は、英語は必須選択教科になっていますが、英語は、各州によって若干違いますが、4つほどのレベルに分けて選択できるので、日本の共通テストのように、全員同じレベルの問題を受けるわけではありません。
イギリスの場合は、理系の生徒は、英語を選択しなくてもいいわけです。ほとんど理系希望者は選択しないで、理科2教科と数学はMATHEMATICS と、レベルの上がるFURTHER MATHEMATICSの2教科を選択して、合計4教科になるようです。
それぞれの大学は学部ごとに必須選択科目を設けているので、理系学部はほとんどの場合は、FURTHER MATHSは取らなければなりません。
文系学部希望の生徒はFURTHER MATHSは選択しない方がいい?
日本の場合は、とにかく、数学と英語は、東京大学受験希望者も、それほど高いレベルの大学を目指していない生徒も同じ問題で受験する。という非常に特殊な国です。欧米で大学入試でこのような数学や英語で能力別テストを行わない国はないと思います。日本の平等主義は、本当の意味での平等ではないような気がします。
ですので、文系学部希望者がFURTHER MATHSを選択すると、理系のレベルの高い生徒の中でのスコアになるので、上位の成績を取るのは難しくなります。オーストラリアの場合は、教科の難易度によってスケーリングするので、文系学部希望でも数学の高いレベル、EXTENSION2やSPECIALISTなどを取るのも成績を上げるための戦術ですが、イギリスでは、数学が大学入試の必須科目ではない生徒はFURTHER MATHSは選択しないのが戦術になっているわけです。
経済学部の生徒などは、FURTHER MATHSを学んでおくと、将来コンサルタントなどを希望する生徒などはいいのに。と、感じますが、この辺りは、イギリスもオーストラリアも教科選択は日本のように、大学、学部別で学ぶ教科を指定している(これは非常に特殊な制度です。)わけではないので、英語圏の大学入試は教科選択が合否に非常に大きく関わっている。ということは、今後留学する人は理解しなければならないと思います。
イギリスは学校ごとに受験する業者テストを選択できる。
アメリカの大学にアプライする場合に、ほとんどの大学が、SATまたはACTのスコアの提出を義務付けますが、SATのスコアだろうと、ACTのスコアでも問題ないわけです。
これは、日本の場合は、テストのスコアが得点になりますが、SATなどの場合は、スケーリングして、得点を算出するので、日本人の方にわかりやすく説明するとしたら、何問正解したかではなく、偏差値で得点が算出されると考えてください。
イギリスの場合は、学校ごとに、希望する業者テストを選ぶわけです。AQAやEdexcelなど、有名ですが、学校ごとに先生が選んで、また、教科ごとにテキストを選べるので、数学はEdexcelで、物理はAQAのような場合もあります。
オーストラリアは、州ごとに教育システム自体が異なり、州ごとに学ぶ内容も違う場合もあるわけです。数学などは学ぶ単元が違う場合もあり、教科も州によって異なるわけです。
ですので、日本人にとっては不思議な制度かもしれませんが、同じ大学の同じ学部を志望しているのに、違うテストで入試が行われるわけです。
イギリスの場合は、高いレベルや高い学部は面接がある。
現在教えている生徒は、志望する大学、学部に合格するためには、まず、A-LEVELでFURTHER MATHSでA*(エースター)を取った上で、再度FUTHER MATHSを受けて、面接も受ける必要があるわけです。
私の中では、
イギリスの大学入試は学力面接。
のイメージしかありません。
試験官は本当に大変だと思いますが、日本でも絶対に導入してほしい入試制度です。
他の生徒にもOXBRIDGEの面接の話をする場合が多く、先週も、中学1年生の生徒に、ちょうどOXBRIDGEのインタビューの話をして、
ALICE(仮名)、オックスフォードの面接で、こんな質問が出るんだって、
There is a theory that children’s language develops faster between the age of 5-6 than between age 6-7. How would you design an experiment that investigated this theory?
design an experiment だよ。アリス、どうして計画を年齢差の少ない子供で違いを出せるようにする?
彼女も、このような質問を聞いた時に、これから、単なる文章を理解するだけでなく、理解した上で、どのように頭の中で内容を整理して、かつ迅速に考えをまとめて試験管の人たちにわかりやすく伝えるのか?を考えるように感じてくれたと思います。
ちなみに、こちらのビデオもご覧ください。
Oxbridge の数学のインタビューのサンプルです。
初めに非常に簡単な問題から入って、徐々に応用問題を出していく。そして、大学入試の面接という超緊張状態の中で、試験管に笑顔でわかりやすく説明する。
当然、グラフが不格好であっても、めげることなく、手の震えを抑えながら書くのも相当な練習をしなければならないと思います。面接は、数学の場合は図示する場合が多いので、普段から、数学の問題を、瞬間にidentities を思い浮かべながら、時間をなるべくおかず解かなければならないわけです。
他にも、アリス、
面接官に
Why do we get angry?
って、質問されたら、瞬時に言い返せる自信がある?
これから、数学もこのようなことを頭に入れて勉強しましょう!
と、伝えました。
イギリスは、成績はポイントではなく、グレード表示です。
わかりやすく言えば、イギリスは、英検2級合格、3級合格、やアイエルツ、6.5のような分け方で、オーストラリアや日本は、トーフル95点やTOEIC820点のような感じです。
イギリスでは、一番高いレベルが、A*(A star)と、いいます。以下、A,B,C,D,Eと続きます。
A starはだいたい全体の10%になります。
これは、昔のオーストラリアのクイーンズランド州のOP (Overall Position)と似ています。
オーストラリアでも、最終的に、すべての州が、ATARに移行したように、イギリスのグレード分けは、少し時代遅れのような気はします。つまり、A*とAの差が一点差の場合もあり、特に上位の場合は、A*のトップと最下位では相当な学力差があるにも関わらず、同じクラシフィケーションで分けられるのは、トップの人からしたら納得いかないと感じるのはずです。
イギリスでは、得意教科ではなく、高いグレードを取れる教科を選択するのが基本?
イギリスでは、FURTHER MATHSのA*も地理のA*も同じ価値になるわけです。
ですので、先生たちもグレードを取れる教科を推薦する傾向があるようです。
一方、オーストラリアは、難しい数学を積極的に狙わないと、ATARで高得点は取れないわけです。スケーリングすると、日本語のネイティブのテストで満点を取るよりも、MATH EXTENSION2で、平均以下でもEXTENSION2の平均以下の方が価値が高いからです。
つまり、イギリスはスケーリングをしない。オーストラリアは、すべての教科でスケーリングが行われる。つまり、オーストラリアでは、数学の難しい教科を選択しないと高いレベルの大学や学部には入学できず、さすが、理系の資格があれば、永住権を積極的にグラントするオーストラリアらしいです。自分もこのような環境で育ってきたので、自然と数学の必要性を強く感じるかもしれません。
日本の場合は、数学ができれば理系、できなければ文系という構図があまりにもはっきりとしているような気がします。
今後、英語力が高い理系の生徒が増えてくると予想します。
将来、海外で働きたい。と、考える学生は増えてくると思います。その中で、英語が得意です。は一体何の役に立つのか?オーストラリアでもアメリカでもイギリスでも欲しいのは技術者であって、英語の流暢な日本人ではないわけです。英語の流暢な理系学生です。ですので、日本人でなくても、インド人でも中国人でも、ベトナム人でもいいわけです。
中学や高校の留学では、本当にしっかりと、それぞれの国の入試制度を理解した上で留学する国や教科選択をしてほしいと思います。
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