はじまりの宝物

鳥取県中部、湯梨浜町にある私たちの会社「うかぶLLC(以下、うかぶ)」は、今年で8年目を迎えました。うかぶは、素泊まり宿と飲食店を併設させた店舗、湯梨浜町に「たみ」と鳥取市に「Y Pub&Hostel」を運営しながら、印刷物のデザイン制作や、鳥取大学の合同ゼミやアートプロジェクトを運営を行っている組織です。
今年の2月頃からお店に異変が起きました。観光シーズンが始まるはずが、宿泊キャンセルの嵐。「コロナ禍」のはじまりです。3月は仕事がなくなって時間があるからと、当日ふらりとやってくるお客さんがちらほら。お店を開けていることで、常連やスタッフ、町の人たちに感染しないか不安になってきて、4月から宿泊も飲食も休業する決心をしました。とはいえ、自転車操業な会社なので経営的にピンチなので、クラウドファウンディングを試みました。
「クラウドファウンディング」とは、インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達することで、支援金をいただくお返しに品物を送ります。いわゆる通信販売とは違って、支援者の方々とコミュニケーションを図ることができます。
無事に目標金額を達成し、これからのことはまだまだ至難がある状況ですが、このクラウドファウンディングをしたことでわかったことがあります。それはお店にやってくるお客さんだけがお客さんじゃなくて、頻繁にお店にいけないけど、応援してくれる人たちが遠くにいるということです。
インターネットを介して、この8年間、一度だけお店に来た人も、何度も来た人とも、まだ来たことない人も、なんらかの思いでこうしてつながり、出会い直しができました。同時に、近くで静かに見守っていてくれる人たちの顔も浮かびあがってきました。
この感覚は、私にとって初めての体験でした。たとえ、この広い世界で鳥取にある小さなお店を閉じたって、世界中の万人にとっては特に影響はないのですが、お店に関わった誰かにとっては、とても大事な出来事なんだと、小さなお店の大きな影響力を感じました。それもこれも、関わってくれたみなさん一人一人が、いろんな形の支援や応援をしてくれたからこうした結果となりました。今回、与えてもらった多くのことを糧にして、スタッフみんなで頑張って乗り越えたいと思います。県内の人たちにもたくさんご支援いただきました。この場を借りてお礼を伝えさせてください。

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