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ベランダで野菜を作ればSDGsなのか

SDGsとは、2030年までに達成すべき『持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)』のことです。SDGsは17項目が設定されており、森林・海洋環境の保全、ジェンダー平等、気象変動抑止などが呼び掛けられています。

一方、日本国内のメディアでは、SDGsを『エコ』として扱う例が多く散見されます。タレントや芸能人などが家庭菜園や「マイバッグを持ち歩いています!」といったコメントを発信したりしています。

今回は、現在メディアで取り扱われているSDGsについて考えてみました。

SDGsで設定されている17項目

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冒頭でも述べましたが、SDGsとは『持続回可能な(17項目の)開発目標』のことです。

設定されている17項目はこちら。

【1】貧困を無くそう
【2】飢餓をゼロに
【3】すべての人に健康と福祉を
【4】質の高い教育をみんなに
【5】ジェンダー平等を実現しよう
【6】安全な水とトイレを世界中に
【7】エネルギーをみんなに そしてクリーンに
【8】働きがいも 海外成長も
【9】産業と技術革新の基盤をつくろう
【10】人や国の不平等をなくそう
【11】住み続けられる街づくりを
【12】つくる責任 つかう責任
【13】気候変動に具体的な対策を
【14】海の豊かさを守ろう
【15】陸の豊かさも守ろう
【16】平和と公正をすべての人に
【17】パートナーシップで目標を実現しよう

▼参考・引用元


SDGsをエコに収束したがるメディア

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日本国内でのSDGsの取り組みは、いわゆる『エコ』に留まるものが多く見受けられます。

●テレビでタレントが『家庭菜園』や『DIY』について発信する
●レジ袋有料化に伴いエコバッグの持参を推奨
●エシカルな製品への紹介と買い替え推奨
●再生可能エネルギーについてのニュースを取り上げる

これらの取り組みも意義があり、素晴らしいものに変わりありません。しかしその一方で、マイバッグやエシカル製品などを推奨することは『買い替え』を促すものであり、その際に捨てられるものへの配慮はどうでしょうか。

また、人権やジェンダーに関するトピックについてニュース以外で言及されることはなく、コメントを述べる人も少ない現状があります。


着目するのはエコではなく『環境負荷』

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家庭菜園は何がエコなのでしょう。地球に生きる植物が増えると、光合成により酸素が増えたりグリーンカーテンによって冷房の使用頻度が減るかもしれません。

一方で、豊洲市場によると出荷できない野菜によるフードロスは年間643万t ともいわれています。家庭菜園も素敵ですが、フードロスに着目し、いわゆる『ワケあり食品』を活用するのもひとつです。

このようにエコという抽象的な概念ではなく、環境負荷を具体的に考えたほうがSDGsに近づくことができるでしょう。

たとえば①
今使っているものではなく『これから使うもの』をエシカルに変える
→今使っているものを長く使う方法を考えたり、適切な処分方法を考えたりする
→新たに買い足すものはエシカルであるかに着目して選ぶ
たとえば②
洗剤の『機能』と『適切量』のバランスを取る
→環境に優しくても大量に使わなければ汚れが落ちない洗剤は、結果的に下水処理場への負担が大きい
→高機能な洗剤を少しずつ、適切に使う


マスメディアが扱おうとしないSDGsは社会の鏡

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環境に関するトピックスは、反対意見も出にくく、炎上しないことから多くのマスメディアが気軽に取り上げています。

その一方で、人権やジェンダーに関することはニュースとして事実を伝えることはしても、話し合う・視聴者に問題提起投げることは少ない…。

人権やジェンダーに関する話題は、賛否が分かれたり、炎上しやすかったりするかもしれません。でも、賛否が分かれるからといって問題を放置して良いのでしょうか。

日本のジェンダーギャップ指数は120位/157カ国です(2021時点)。世界の国々が話し合っていることを、日本が話し合わずに過ごした結果です。


『より良い社会』は誰がつくるのか

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SDGsは『何から手をつけよう…』という国や地域のために、国連で採決された目標であり、より良い社会をつくるための指針でしかありません。

そのため、目標を達成することが目標ではなく、目標達成のための取り組みで社会をより良くしていくことが本質なのです。

その主体は社会をつくっている私たち自身であることを、心に留める必要があります。

この記事が、もう一歩踏み込んだSDGsを考えるきっかけになれば幸いです。




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