長崎ヴェルカの仲間を集める人。仲間になった人。
「選手、コーチだけが長崎ヴェルカじゃない。事業部のみんな含めてチームなんです。」
これは以前、長崎ヴェルカのキャプテン・髙比良寛治選手と対談をしたときにいただいた言葉です。そしてこの一言がきっかけで実現した今回のインタビュー。
今回は長崎ヴェルカを裏で支える影の立役者、株式会社長崎ヴェルカ 事業部・パートナー推進課の樋口拓海 (ひぐち・たくみ) さんに話を伺いました。まずはこんなお話から。
1.長崎ヴェルカの仲間を集める人
――:
一般の方に樋口さんの仕事は見えづらいと思うんです。まずは、樋口さんの仕事について教えていただけますか。
樋口:
そうですよね。簡単にいうと「ヴェルカを支えてくださるパートナー企業様を増やしていくこと」が主な仕事になります。
――:
ヴェルカの仲間を増やしていくお仕事。ビジネスっぽくいうと「営業」ですか。
樋口:
そうなりますね。
――:
好きですか、営業は。
樋口:
パートナー企業様を増やしていくことは楽しいですね。それこそ、伊藤GM(長崎ヴェルカのゼネラルマネージャー)に、ぼくの強みは「開拓力」だと言ってもらいました。
――:
強みについて、もう少し詳しく聞かせてください。
樋口:
営業として当たり前のことかもしれませんが、「行動力」と「スピード」をとても大事にしていて。お問い合わせいただいた企業、気になる企業があれば、すぐに連絡をして会いに行きます。
B1に昇格したことでありがたいことに県外の企業様からお声がけいただくことも増えてきました。オンラインでも商談はできますが、自分はなるべく会いに行きますね。
既存の県外パートナー企業様とは、出張のときにいつもコミュニケーションをとっています。その「すぐ会いに行く」という行動力とスピードが自分の強みです。
――:
「スピード」でいうと、すごく感じたことがあって。ヴェルカとパートナーシップ契約を結ぶとき、契約締結後にある程度の準備期間をとって「ユニフォームパンツロゴ」や「会場内CM放送」「ラウンドパネル」を露出していくのかな、と思っていました。
ところが、怒涛の勢いで樋口さんが制作を進めてくださって‥‥
契約締結とほぼ同時に露出できたので、とてもありがたかったです。社内で「もう露出されるの!?」と驚いていました。
樋口:
いえ、いえ。シーズン途中でのパートナーシップ契約だったので、「ベネックスさんにとっていま何が最善か?」を考えると、「最短で露出されること」だと思ったんです。
そもそもベネックスさんもあらゆる判断が早いので、それを上回るスピード感で進められると、喜んでいただけると思いました。
――:
はい、すごくうれしかったです。
樋口:
ぼくは長崎出身なので、地元企業様とパートナーシップ契約ができ、ユニフォームのパンツに「地元企業のロゴ」が掲出されることが嬉しいんです。
パートナーシップ契約って、ときには大きなお金も動きますし、簡単なことではないと思います。企業様も覚悟をもって投資してくださるわけなので。
「何が最善か?」を考え抜いて、行動しつづけるのは当たり前のことです。
――:
契約前からヴェルカの躍進は知っていました。単にバスケットボールが強いだけじゃなく、事業部の方の熱量もあるからこそ「愛されるチーム」が形成されているんだなと、あのとき感じました。
樋口:
とんでもないです、ありがとうございます。
――:
「営業」という観点で考えると、パートナーシップ契約は「無形の商材」ですよね。どのようにして新しい仲間を増やしているんでしょうか?
樋口:
まずは企業様の課題、ニーズを聞いたうえで「ヴェルカが役に立つ方法」を考え、提案します。企業様の課題によっては「パートナーシップ契約」ではなく「観戦席の法人購入」が最適な場合もあります。
「新しい仲間を増やす」という意味では、パートナーシップ契約がすべてではないと思うんです。「ヴェルカとの関係人口を増やすこと」も大事にしていますね。
――:
企業側の課題はヒアリングですぐに聞けますか?
樋口:
初回のヒアリングで課題が聞きとれないことはよくあります。「課題は何だろう?」と考えつづけることはもちろん大事ですが、企業様側から「本音」を話してもらえるように、関係性を構築していくことも大事なステップです。
――:
ああ、たしかに。
樋口:
ヴェルカを通じてできる解決策を提案しつつ「クラブとして目指すもの」「創りたい未来」も同時に知っていただき、共感してもらうことも大事にしています。
つまり「いま役に立てる部分」と「未来への期待感」を同時にお伝えしています。
――:
なるほど。ヴェルカの魅力はどこだと思いますか?
樋口:
そうですね‥‥
「長崎にこれまでなかったことを実現できるクラブ」だと感じています。
「長崎ヴェルカ」というクラブ名は、2020年に県民の公募で決まったんですが、当時「クラブ名発表イベント」を長崎駅前でやっていて、見に行ったんです。まだ入社前でしたが。
――:
はい、はい。
樋口:
学生時代にずっとバスケットボールをしていたこともあり、「本当に長崎にプロバスケットボールクラブができるんだ」と、胸が躍りました。
しかも、本場アメリカのバスケ、エンターテインメントを知っている伊藤GMもいて、新たなエンターテインメントを生み出し、広げていこうとしているのを見て、さらに期待感が高まったというか‥‥。
そのとき自分が感じた「初期衝動」を一人でも多くの人に伝え、感じてもらえるようにしたいですね。そのためにも、あのときの気持ちを忘れないようにしないといけません。
――:
うん、大事ですよね。
樋口:
「長崎スタジアムシティ」の開業でよくわかったんですが、「感動」や「心躍る体験」はスポーツやエンターテインメントだからこそできることだと思うんです。
これまでは「施設自体ができるわくわく感」に期待してもらっていましたが、完成した今、その空間を活用して「新しいわくわく感」を創り出していかなければと思います。
2.貪欲であれ。正直であれ。
――:
これまで他のスポーツのスポンサーも経験してきましたが、ヴェルカは「柔軟性があるクラブ」だと思いました。
というのも、わたしたちが「実施したい企画」について相談をしたとき、まずはしっかりと話を聞いてくれる。そして、「長崎のため」「ファンのため」という企画であれば、何とか実現できる方法を一緒に考えてくれますよね。
樋口:
「クラブ理念」の中に「どんな人でも楽しめるエンターテインメントを生み出す」という一文があります。ご提案いただいたものが、理念に通じていれば「できるためにはどうすればいいか?」を一緒に探っていきます。
――:
ヴェルカから「オリジナルトレーニング器具開発」や「ネームプレートフレーム」の相談を受けたときは、「全力で応えなければ」という思いになりました。
これは、とてもいい関係性だと思うんです。金銭面だけの関係じゃなくて、「本当のパートナー」として一緒に走っている気がして。
樋口:
ありがとうございます。「いい関係性」とおっしゃっていただきましたが、パートナー企業様と「win-winの関係であり続けなさい」と、伊藤GMも日ごろから言っています。
――:
「クラブ」と「企業」の間に立つうえで「板挟みの辛さ」はありそうですよね。
樋口:
うーん‥‥。「ない」と言ったら噓になるかもしれませんね(笑)。
でも「板挟み状態」がぼくの役割なわけで。
企業様側もクラブも「一緒に新しい価値を生み出したい」と思って進めていると、多少の摩擦は起きます。でも摩擦が起きるのは仕方ないんです。新しいものを生み出すって、そういうことだと思うんで。
それがぼくの仕事のやりがいというか‥‥。
――:
両者とコミュニケーションを上手にとっていくのは大変なことだと思います。コミュニケーションで大事にしていることはありますか?
樋口:
そうですね‥‥「シンプルにかつ、正直に伝える」ことですかね‥‥。
――:
言い方がちょっと失礼かもしれませんが‥‥
樋口さんと話していると「この人は嘘をついていないな」とほんとうに感じるというか‥‥
営業としては、話を盛りたくなるときもあるじゃないですか。ところが、樋口さんはそれがない。
樋口:
そうなんですかねえ。
――:
パートナー企業を増やすことも大事ですが、継続してもらうことも同じくらい大事ですよね。
樋口:
そうですね。継続していただくには、クラブとして常に新しい価値を提供しつづけなければなりません。新しいこと、できれば誰もやっていないことを「一緒にやりませんか?」と提案しつづけたいですね。
――:
新しい価値を更新しつづける、と。
樋口:
はい。ベネックスさんも「スペシャルサイト」を立ち上げたり、「空港広告」もヴェルカを活用してくれたり、新しい取り組みを少しずつ実現していますよね。
ベネックスさんとであれば、「今までになかったものをまだまだ生み出せるんじゃないかな」って、率直に感じています。
――:
スペシャルサイト、空港広告の制作を終えたタイミングで樋口さんにお礼のメールをすると、「次は人材採用に特化した企画を実現しましょう!」って返信をいただいて。
「ああ、もう次のことを考えているんだな‥‥」と、驚きました(笑)。
樋口:
そのメールをお送りしたのはもちろん覚えていて(笑)。
「次は何ができるかな?」と常に考えています。ベネックスさんのようにヴェルカを活用してくれて、一緒に盛り上げてくれる企業様が少しでも増えるとクラブとしてもありがたいです。
3.こだわるのは、新しい価値
――:
仕事をしていて喜びを感じる瞬間はいつですか?
樋口:
企業様とクラブで新しい価値を一緒に生み出した瞬間、そして企業様から喜んでいただいた瞬間は、すごく喜びを実感できます。
――:
そうですよね。ところでヴェルカの試合には、一喜一憂しますか?
樋口:
うん‥‥はい。
――:
そういえば、偶然プライベートで会いましたよね。あの雲仙市の‥‥
樋口:
ああ、温泉で(笑)。
――:
休憩スペースで「スマホを見ながら頭を抱えている人がいる」と思って見ると‥‥樋口さんで(笑)。
樋口:
ええ、はい(笑)。
――:
気になって話しかけてみると、ヴェルカがアウェイ戦で負けたことにショックを受けていて‥‥
ほんとうに「樋口さんとクラブは一心同体なんだな」と感心しました(笑)。
樋口:
クラブの状況はどんなときも気になりますし、パートナー企業様の中にも気にしている方はいると思うんです。営業としてクラブの状況、試合の状況はどんなときも把握しておくべきだと思います。
すごくまじめな感じになっちゃいましたが(笑)。
――:
いや、いや、素のままの樋口さんです(笑)。
今後パートナー企業とどのような世界観をつくっていきたいですか?
樋口:
長崎に新しい価値と文化をつくりつつ、Bリーグでもこれまでになかった取り組みをパートナー企業様と実現していきたいです。
「ヴェルカだから実現できた」という新しい取り組みをしつづけて、ほかのクラブからも真似される取り組みをしていきたいですね。
――:
新しい価値をつくることに貪欲なのは、クラブの方針でもあるんですか。
樋口:
クラブも伊藤GMも、ヴェルカ立ち上げ当初から大事にしています。もちろんクラブとしての「決まりごと」はありますが、「あくまでも目安」という考え方なので、決まりにないことでも柔軟に対応しています。
――:
最後にヴェルカのみなさんに共通の質問をしているんですが、樋口さんにとっての「いい仕事」を聞かせてください。
樋口:
そうですね‥‥「新しい価値を生み出し、残していくこと」ですかね。
今日お話をしている中で「価値を生み出す」という言葉が、何度も出てくると自分でも気づき、改めて大事にしていることだと感じました。
その価値が誰かの役に立つ価値でないと意味がないと思いますし、一瞬で終わる価値よりも、ずっと残っていく価値をつくりつづけたいです。そういう価値をつくれたときに「いい仕事をしたな」と思いますね。
――:
今後も一緒に新しい価値をつくっていきましょう。今日は本当にありがとうございました。
樋口:
いえ、こちらこそ。ありがとうございました。
樋口さん、長崎ヴェルカのみなさまご協力ありがとうございました!日本ベネックスは引きつづき「長崎ヴェルカ」を応援します。
長崎ヴェルカ「パートナーシップ」についての情報はこちら↓↓
長崎ヴェルカ応援スペシャルサイトはこちら↓↓