見出し画像

【長崎】ベネックス恐竜博物館 学芸員の想いを知る!インタビュー&見学

日本ベネックスは、2024年4月より長崎市恐竜博物館のネーミングライツを取得し「ベネックス恐竜博物館」の愛称をつけております。

聞くところによると、ベネックス恐竜博物館にはものすごく恐竜に詳しい学芸員がいらっしゃるとか…。
そこで今回、学芸員の中谷大輔さんへインタビュー&展示室を見学させていただきました!

2021年に開館したベネックス恐竜博物館。

学芸員・中谷さん インタビュー

ベネックス恐竜博物館 学芸員・中谷大輔さん

恐竜は、空想ではなく科学

――:
「好き」に理由はないとは思いますが…なぜ恐竜を好きになったのでしょうか。

中谷:
いま考えてみると、やっぱり見た目で好きになったんだと思います。大きくてかっこよくて、今の生き物とは違う、特別な感じ。
幼稚園児のころから恐竜が好きで図鑑をずっと眺めているような子どもでしたが、小学校高学年くらいになって恐竜に関する番組を見たときに「これは空想じゃなくて科学なんだ」と気づき、さらに惹きつけられました。

――:
この道に進もうと決めたのは、いつ頃ですか?

中谷:
中学生のころに博物館や恐竜に関わる仕事を探していたところ「学芸員」という仕事を知り、それからはずっと学芸員を目指していました。
恐竜に関わる仕事といったら研究者のイメージしかなかったので、やれるところまでやってみようと。

「好きだ、好きだ」と言っていたら、周りの方々から自然といろいろな情報が集まってきて。運が良かったのもあります。

――:
それで、念願叶って学芸員になったんですね。
学芸員としてこれまで働いてきて、最も印象に残った出来事は何でしょうか。

中谷:
長崎市の恐竜博物館の開館に携われたことですね。
恐竜好きな人間が恐竜専門の博物館をつくれるなんて、なかなかないことなので。

――:
博物館開館にあたっては、初期段階から関わっていたんですか?

中谷:
はい。2017年2月に長崎市が恐竜博物館の建設を決定して、その年の10月にここに採用されました。それまでは福井の恐竜博物館がいろいろな助言をしてくれていて、「学芸員を入れたほうがいい」ということで私の採用が決まりました。

〈基本構想→基本計画→設計→施工→開館〉という流れで、私は基本構想策定の段階から関わらせてもらいました。

想いの詰まったメイン展示、ティラノサウルス

――:
中谷さんが「こういう博物館にしたい」と考えて、実現できたことはありますか。

中谷:
いくつかありますが、「特別なティラノサウルスを展示したい」というのが叶ったのは大きかったですね。
オランダのライデン市に「ナチュラリス生物多様性センター」という世界的にも有名な博物館があり、ティラノサウルスの全身骨格化石が展示されているのですが、そのレプリカを長崎に持ってきて展示しているんです。

もともと、ティラノサウルスの大型種の化石が日本で初めて長崎から出てきて、それが博物館建設のきっかけにもなったので、ティラノサウルスが展示の軸になると考えていました。

ちょうど私が採用された1ヶ月後くらいに長崎市とライデン市が姉妹都市になるということで、ナチュラリスの関係者も長崎市にやってきたのですが、その際に長崎市側からティラノサウルスのレプリカ制作について働きかけたところ、快く対応してくださいました。
普通なら相手にされなくてもおかしくないのですが、長崎とオランダの400年以上にわたる歴史のおかげで実現できました。

ティラノサウルスの全身骨格のレプリカは国内の他の博物館でも展示されていますが、その地域ならではものとして展示しているところは他にありません。
展示のメインになるものが地域に関連していて、同時に国際交流のシンボルにもなったのはすごく良かったなと思います。

長崎市で見つかったティラノサウルス科の歯の化石。
この化石の発見も博物館を建てるきっかけになったとは感慨深いです。
レプリカはすべてオランダでつくり、この箱に入れて届けられました。ティラノのマークも描かれていてかわいい!
オープンラボではオランダでのレプリカ制作風景の映像も見られます。

恐竜研究のおもしろさ

――:
恐竜の研究って時間がかかりそうなイメージがありますが、どれくらいかかるものなんですか。

中谷:
トータルで5年くらいから、長いと10年20年かかるものもあります。
化石を見つけてクリーニングして表面を出すという下準備の段階までで数年かかるんです。「恐竜の化石かも」と思って期待しても、クリーニングしたらただの石ころ…ということもあります。

研究して論文を仕上げるまでは、半年程度で済むものもあれば3年以上かかるものもあります。論文を投稿して専門家のチェックに1年ほどかかり、やっと学術雑誌などに掲載されます。

――:
ものすごく大変な作業ですよね。

中谷:
そうですね…(笑)。
でも恐竜研究って面白くて、ひとつ新しい発見があるとそれまでの説が全否定されるかもしれないんです。ただ、もし否定されたとしても研究の歴史として記録が残る。決して無駄にはならない。

長崎ではどんどん新しい化石が出ていて研究はまだまだこれからなので、私たちがいかに研究して論文に仕上げるか…。それが、いまの私の仕事ですね。

――:
仕事で恐竜に携わっていても、やはりプライベートでも恐竜について考えることが多いのでしょうか。

中谷:
多いですね。こういう仕事をしていると、オンオフが無くなってしまいます。家族には小言を言われますが(笑)。

市役所の人間なのでいろいろな業務があって、研究だけに没頭することはできません。その分、家でのスキマ時間を費やしてでも研究してしまうっていうのは、ありますね。

――:
そこまでのめり込めるものがあるって、羨ましいです。

ちなみに、「ベネックス恐竜博物館」という名前はどう思いますか?
ここで働く方がどう感じているのか気になっていたんですが…(笑)。

中谷:
う~ん…恐竜の名前と間違える人がいるかもな、とは思いました(笑)。
展示しているティラノサウルスは「トリックス」という名前なので、それを「ベネックス」と勘違いする人が出てくるかもしれないなと。

それくらい、「ベネックス」って馴染みやすく覚えやすい言葉なのかなと思っています。

――:
たしかに「ベネックス」って恐竜の名前みたいですね。
「ベネックス恐竜博物館」の名前が広く受け入れられて、浸透したら嬉しいです。


展示エリアへ


まずは常設展示室の入口手前にある、ちょっとした展示スペースから。

長崎市出身の研究者・横山又次郎に関する研究成果が展示されていました。
横山又次郎は「恐竜」「始祖鳥」という言葉をつくった(和訳した)人物で、「日本古生物学の父」と呼ばれます。

開館に向けて地域の偉人である横山又次郎について宣伝していたところ、お孫さんが偶然それを見つけて長崎市に連絡をくれたそう。お孫さんから寄贈いただいた古写真を見られました。


いざ、常設展示室へ!

①長崎の大地

長崎にどんな岩石があるのか紹介されています。

小中学生が校外学習で来ることも多いため、授業で習う内容をここで少し説明し、長崎の岩石を学習と結びつけてから次のエリアに送り出すという運営ができたら、と意識してつくったそう。

長崎市方面から恐竜博物館に向かう途中で見た夫婦岩は、なんと5億年ほど前の岩石で九州でも最古級のものであると、展示を見て知りました。


②生命の記録

生き物の体が劇的に変わった古生代までの化石が、ダイジェストで紹介されています。

むか~しむかしの生き物は、左右非対称のものが多かったとか。いまの私たちからすると、不思議ですね。

未だに謎の生き物も。
化石から復元はされているものの、背骨の有無すら分かっていないそうです。


③恐竜の時代

中生代の標本がたくさん展示された、メインエリアです。

標本だけでなく恐竜模型をつくる方々についても解説されています。
古い模型は現在考えられている恐竜の姿勢とは異なりますが、それも含めて研究の歴史なのであえてそのまま展示しているとのこと。

展示物のスケールの大きさは想像以上でした。



そして…

シンボリックな展示の、ティラノサウルスの全身骨格標本。
オランダ・ライデン市にある「トリックス」のレプリカです。メスのティラノサウルスで、愛称はオランダのベアトリクス女王に由来するそう。

「正面から撮っても全身がスマホ画面に収まる姿勢に」「2つの目が正面を向いているという特徴を見せるため、前に立つと目が合うように」と、展示のこだわりを教えてくださいました。

正面でしゃがむと、自分が食べ物として狙われているかのように感じます。
ぜひ現地でご確認ください!

カーテンが開いた状態での展示+景色は、圧巻です。
岩石や化石を中心とした比較的傷みにくい標本を展示していること、窓の方角が真北であることから、カーテンを開けての展示ができるとのこと。

窓の向こうに見える端島(軍艦島)や高島は炭鉱の島。石炭も植物化石なので「この風景自体も展示のひとつ」だそうです。


触れて学べる展示も。
触れる展示は壊れやすいため、自らCGデータをつくり3Dプリンターですぐに出せるようにしているとか。

壁画も大迫力です。10人ほどの研究者たちの意見を取り入れて描いてもらったそう。単なるデザインではなく、学術的に正しい絵を描くことのできるイラストレーターは日本にはまだ少ないとか。

階段を上るとティラノサウルスの復元ロボットが。
「届いたときはたてがみが長かったので、ここで僕がカットしました。ワックスをつけてスタイリングもしました。」と中谷さん。

ベネックススタンプ発見。
押してみると……かわいい!
ベネックスのオリジナル恐竜キャラクターです。


④現代の恐竜たち

恐竜の生き残り・子孫である鳥たちが紹介されています。

すでに絶滅しているドードーの展示。
階段を下りるときに正面からも見られます。

野鳥の写真は地元の方が撮影してくださったもので、近くの公園で撮られたものもあるそう。


⑤燃える石の時代

石炭や哺乳類の進化について紹介されています。

「国内初の恐竜化石」といわれた化石のレプリカも見られます。
のちに哺乳類の骨であったと判明しましたが、「日本では恐竜の化石が見つからない」という先入観を一掃した発見でした。

展示室を出ると、顔出しパネルが!
ベネックス社員として、きちんと顔を出してきました。


おわりに


博物館学芸員という仕事や、恐竜博物館に詰まったこだわり・想いを知ることができた今回の取材。

中谷さんのお話を伺って、日本ベネックスが仕事をする上で大切にしている5つの心構え「ベネックス・ベーシック」を体現している方だなと思い、仕事への姿勢についても多くの学びがありました。

「ベネックス恐竜博物館」を通して日本ベネックスを知る方が長崎県民を中心に増えていくと思います。
子供も大人も楽しめるこのような施設を通して「ベネックス」の名前が浸透していくのは、一社員として非常に誇らしいです。


ありがとうございました!


〈ベネックス恐竜博物館 公式HP〉


株式会社日本ベネックスについて
ホームページ:https://www.japan-benex.co.jp/
X:https://x.com/JapanBenex
Instagram:https://www.instagram.com/japan_benex/
Facebook:https://www.facebook.com/JapanBenex

ぜひフォローをよろしくお願いします!

いいなと思ったら応援しよう!