中小企業じゃダメですか?
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中小企業じゃダメですか?

株式会社日本ベネックス

「大企業か?ベンチャー企業か?」
新卒学生の就活や、転職において、何かと語られがちな二項対立。

大企業でもなく、ベンチャー企業でもない、中小企業で働くおもしろさとは‥‥?

今回、「中小企業で働くおもしろさ」をテーマに、小林社長に話しを聞いてみました。まずはこんなお話しから。



1.5年先が見えない環境に行きたかった

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画面左側 小林さん(社長)


――:

noteの企画会議をしているときに、以前小林さんが東京大学で、学生向けに行った講義が、面白かったという話しを聞きつけまして。

※「ベンチャー型事業承継」というタイトルで、東京大学の学生に小林さんが講義を実施。(2020年7月)

小林:
へぇ。

――:
要するに高学歴の優秀な学生は、就職する際「大企業か、ベンチャーか」で考えがちだと。で、その講義では、「中小企業で働くのも面白いよ」ということを伝えていたと思います。

そこで改めて小林さんに、「中小企業で働くおもしろさ」ということをテーマにお話しを聞きたいです。

小林:
はい。

――:
小林さんは東京大学、そして東大の大学院を出て、最初のキャリアは意外にもベンチャーですよね。

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小林:
うん、そうです。

――:
当時、東大を出てベンチャー(不動産ファンドの)に行くということは、珍しい方でしたか?

小林:

うーん…どうなんだろう。ただ、私がいた学部のクラスが、当時工学部の中で新しくできた学科で(システム創成学科)、そこにきてたメンバーは、けっこう山っ気があって、ベンチャー寄りの人が多かったかな。

だから就職先も金融とかコンサルとかが多かったし。いわゆる、理系が行くような大企業のメーカーとか行く人はあんまりいなかった。

そういう意味では、そこまで珍しくはないけど、独特なキャリアではあったような気がする。

――:

当時、迷いはあったんですか?大企業にいこうか、ベンチャーいこうか。

小林:

実は大学院のとき、共同研究でいわゆる大企業と言われている、自動車メーカーと電機メーカーに行ったことがあって。自動車メーカーには数週間、インターンとして行ったんだけど、その短い期間で、なんとなく大企業の中身を見れたんだよね。

そして就職するとき、自分の中で3つ軸があって、

1つ目は「世の中に付加価値を与える仕事をしたい。」
2つ目は「自分がめちゃくちゃ成長したい。」
3つ目は「5年先が見えないところ。」

――:

5年先が見えない…ですか?

小林:
5年後、自分がどうなっているかという、想像もつかないようなところに行きたいなと。この3つを軸にしたんだけど、そうなると大企業は外れちゃうんですよ。

――:
あぁ、はい。

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小林:

5年経ったら係長で、20年で部長…みたいなのは、嫌だった。

――:
かなり時間が、かかりますよね。

小林:
かといって、会社を興すほど勇気もないし。そう考えた結果、まずはベンチャーに行こうかなと。

若いうちから活躍できそうという意味では、伸びてる業界で、業界自体も新しくて、そんなに経験者もいないようなところだし、その当時の経営陣も40歳前後くらいだったし、みんな若いし。自分も活躍できるかなと思って。

――:
若いうちから活躍したいっていうのは、キャリアに対して何か大きなビジョンがあったんですか?

小林:
大してビジョンは無かったんだけど、30歳で取締役になりたいと思った。

――:
なるほど。

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小林:

だからそのためには、当時25歳だったから5年くらいで、急成長しないといけないと思った。

――:
のんびり成長している暇はないと。

小林:
そう、そう。それでいて先が見えない方がいい。

――:
先が見えると‥‥

小林:
やる気がなくなる。例えばRPG系のゲームも、クリア寸前まではすぐいくんだけど、ラスボスが見えた瞬間にやめてしまう(笑)。

先が見えると興味を無くしてしまうところがあって。

――:
へぇ~(笑)。

小林:
先が見えない方が自分には合っているかな。
だからうちの会社は、先が見えない会社にしたいな。

――:
先が見えない会社。

小林:
5年先どうなるかわからない、みたいな会社にしたい。いい意味でね。



2.急成長せざるを得なかった1年目

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――:
当時、小林さんがベンチャーに入社したときは、その企業・業界の“急成長”のときだったと思うんですが。

小林:
そう、そう。社員数も1年で倍になったし。

――:
1年で2倍って、すごいですね…。
入社してまず、どういうことをしてきたんですか?

小林:
入社してまずは、代表取締役の「かばん持ち」をやってた。かばん持ちって通じるかな?

――:
わかります。付き人ってことですよね。
でも、かばん持ちって本当に存在するんですね(笑)。

小林:
そう。名刺も「代表取締役 付き」っていう肩書で。

――:
えぇ(笑)。

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小林:
仕事ととしては、市場調査をしたり、会議の議事録書いたりとか、そんなことから始まって、本当にあらゆることを経験した。

――:
でも最初のキャリアが、代表取締役の付き人って大きいですよね。

小林:
今思うと、本当に大きかった。経営会議とか出させてもらってたんだけど、出席者のメンバーが本当にすごくて。元々有名な人が多かったので、ついていくのに必死だった。密な議論をされてる場に、入社してすぐ立ち会えたのは、今でもすごく役に立ってる。

――:
状況的に、成長せざるを得ないですよね。

小林:
そうだね。最初の1年ですべて叩きのめされたっていうか。
1日平均3回くらい怒鳴られてたから。朝・昼・晩・怒鳴られてた(笑)。

――:
3回も(笑)。

小林:
もちろん当時のボスはすごい能力をもった人だったから、あらゆる知識もそうだし技術面も。いろんなところをこの1年間でギュッと学んだって感じ。

技術が特にすごかった。契約周りとか、コミュニケーション能力とか、プレゼン能力とか。自分はコミュニケーションとか、プレゼンが苦手だったから、そこを叩きのめされたなぁ。

「お前はまず落語教室に通え!」って言われて。お金は出すからって、お金もらって1回行ったんだけど、それっきり行かなくなった(笑)。

――:
(笑)。意外とスパルタで育ったんですね。

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小林:

100%スパルタ。あまりにもスパルタだから、完全に社内の周りから同情されて、みんなすごい優しくしてくれる(笑)。

――:
今の小林さんからは、想像できないです(笑)。

小林:
成長企業、成長産業にいて、周りもすごい優秀な人ばっかりだったから、当時は辛かったけど、今思うとその1年で、ビジネスマンとしての基礎ができたからよかった。



3.中小企業で働く醍醐味

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――:
今、中小企業を経営されているわけですが、一般論的に中小企業の特徴を教えてください。

小林:
自分も入ってみるまでは、中小企業って全然わからなかった。大企業はなんとなくイメージできたし、ベンチャーは経験したけど。

まぁ一般的なことで言うと、特徴としては、単一セグメント(単一の事業活動)で、どこかに強みをもっている会社が多いかな。組織的には単一セグメントをやるっていうのに特化していて、そんなに余計な人がいないっていうか。逆に言うと必要な機能もないっていう。

つまり大企業と違って、幅広い機能があるわけじゃなくて、どこかに集中しているという感じなのかなと。

――:
はい。

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EVリユース蓄電池システム(日産自動車のEV「LEAF」24台分の使用済み蓄電池を格納)


小林:

ただ、「信用」という部分は、自分の中で一番の驚きで。
とにかく信用がめちゃくちゃある。

うちは創業65年だけど、周り見ると100年企業がたくさんあるよね。それだけ長い間、事業をやってると、地元の自治体とか金融機関の信用というのは、相当大きい。

信用があるイコール資金調達もしやすい。そこは中小企業の一番大きなメリットかな、と思うくらいなんだけど。ベンチャーで資金調達しようと思うと、本当に大変だから。

――:
たしかに、そうですね。

小林:
あと、中小企業を経営していて驚いたことがあるんだけど。ベンチャーって全部自分たちから最初の第一歩を踏んで、切り開いていかないとけないよね?

――:
はい。

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社用車の日産自動車製EV e-NV200


小林:
中小企業は、経営という観点でいうと、実は何もしなくても回るっていうのがすごい驚きというか発見で。

長い付き合いでお客さんもすでについているし、採用とかも学校側からきてくれたりとか、資金を借りたいと思ったら、銀行側が「そろそろ、どうですか?」って言ってくれたり。

実はそんなに戦略なんて立てなくてもいい。本当に“何もしない”っていう選択肢をとれば、何もしなくて済む。

――:
既にたくさんアシストがあるってことですね。守りに入ろうと思えば、入れる。

小林:
だからこそ、経営者が普通の仕事をすれば、もっと伸びるんじゃないかなと思うけど。

――:
ゴルフばっかりしてる経営者、たまにいますもんね…。

小林:
そうだね(笑)。でも中小企業も2パターンあって、これは経営者次第だと思うんだけど。

ベンチャーみたいに、新しいことをやっていこうという気概がある会社と、既存事業の型にはめて、余計なことはやらないというパターンもある。

でも、それはどっちがいいとかではなくて、考え方の違いで。

――:
はい。

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小林:
うちはそれでいうとベンチャー的に、いろいろと新しいことにどんどん挑戦していきたいと思ってて。

そうなったときに、中小企業で働くことの面白さといえば、ひとりの力で大きく会社を変えられること。

私は経営者の立場だから、それは変えようと思えば変えられるんだけど、そうじゃなくて、立場に関わらず一社員だとしても、がらりと会社全体を変えられる可能性があるのが、中小企業だと思う。

ーー:
なるほど。

小林:
大企業だとどうしても会社がデカすぎるから、一人が頑張っても、それが会社にものすごくインパクトを及ぼすには、かなり偉くならないと難しい。

だから中小企業でそこに楽しみを見出せるんだったら、中小企業はすごく有りだろうな。

――:
一人ひとりの力で大きく変えられるのは、ベンチャーも同じだと思うんですけど、中小企業はそこにプラス“信用”がありますよね。

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小林:

そう、そう。だからいいこと尽くし。自分でいうのもあれなんだけど、中小企業って本当に良くって(笑)。

ベンチャーの弱点(資金調達)が強みだし。ベンチャーだと「Jカーブ」といって1回、赤字をぐいっと掘って、成長していくというのが一般的なんだけど、

中小企業は既存事業があって、キャッシュフローがすでにあるから、そのキャッシュフローをうまく使いながら、次の事業もできる。
だから決して博打みたいにならずに済む。

僕みたいな小心者で、とにかく赤字にはなりたくないという人には、向いている(笑)。

――:
あくまで主観ですが、ベンチャー的に新しいことにチャレンジできる中小企業って、あまりないと思ってて。どちらかというと既存事業をしっかり守っていくという方が、一般的な中小企業のイメージな気がします。

小林:
うん。

――:
自分も実際に小林さんと採用面接で話すまでは、そんなイメージでした。新しいこととはいえ、既存事業の延長かな?みたいな。でも面接のときに話しを聞いていて、「こんなにベンチャー的にチャレンジできる中小企業があるんだ」という驚きがありました。

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長崎ならではの広告(路面電車ラッピング広告)


小林:
そうなんだ。

――:
ぼくもリスクは取りたくないから、転職するときにベンチャーにいく勇気はなかったんです(笑)。でも幅広く活躍したいっていう気持ちが大きかったので。

小林:
あぁ(笑)。でも最近はだんだんそういう企業も増えてきたんじゃないかな、という気はしていて。経営者の世代も変わってきていて、世代が変わると新しいことをやりたくなる、っていうのもあるんだけど。

「ベンチャー型事業承継」なんて言葉も生まれてきたり。でも、そういう企業が増えるのはいいことだなと思うんだよね。それぞれの中小企業がこれだけ長く生き残ってきたんだから、ものすごい強みがあって、強みがあるが故に形を変えずに生きてこられたと。

――:
たしかに。あとは、補助金も出ますからね。

小林:
そう、そう。そうなんだけど、その強みをもっと磨けば、もっといい会社にできるはずなのに、そういうチャレンジをしていない会社はもったいない

中小企業がすでに持っている宝物を磨く人が増えてくれば、本当に日本は良くなるなと中小企業に入ってみて感じたね。



4.新規事業をつくる理由

――:
とはいえ、中小企業でも新しい挑戦をするには、人も組織も強くなければならないと思います。実際、小林さんがベネックスに入って新しい挑戦をする為の土台作りはどうやって行ってきたんですか?

小林:
ベネックスに入ってみて、率直に言うと、時間が止まってるかと思った。
あらゆるスピードが遅すぎるというか。

――:
ベンチャー時代が早すぎたってこともありますかね。

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小林:

かもしれないけど、本当にゆっくりしてた。業績もそんなに伸びているわけではなかったし。入る前いろいろ資料は見ていたけど、実態を見ていなかったから。だから、これはやばいなと危機感はあったね。

――:
そうなんですね。その上で取り組んだことは何ですか?

小林:
まずは短期的に財務のところをきっちり強くした。財務的なところは、できることがたくさんあったんで。まずは足元を固める。

でも本質的なことでいうと、成長させていかないといけないので、当時選択肢としては2つあって、

既存の製造業をなんとか強くしていく。もしくは全く違う事業を立ち上げてやっていくという選択肢があったんだけど。

ただ既存の事業を変えていくというのは、めちゃくちゃ時間がかかる。だからゼロから何か始める方がまだ簡単かな、ということで環境エネルギー事業を立ち上げた。もちろん、いろいろと検討したんだけどね。

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日本最大級(約3MW)「屋根借り」メガソーラー(千葉県)


――:
ポートフォリオ的にも、もう一つ軸がある方が強いですよね。

小林:
うん、それはもちろん。製造業もマーケットが決して未来永劫成長するようなマーケットじゃないので、もう一つ違う軸を持っておいた方がいいかなと。

――:
事業としてはもう一つ軸をつくって、強化してこられたと思うんですが、会社全体の「組織」としてはどう変えてきましたか?

小林:
環境エネルギー事業がある程度軌道に乗って、キャッシュフロー的にそこそこ安定したのが5年くらい前かな。そこから会社としては“機能の再構築”だよね。

さっきも言った通り、中小企業は単一セグメントで、例えばうちの場合、製造業に係わるもの以外はすべて省いていて、コストをできるだけ抑える、という構造だったので。

一方で本当は未来の投資のためにやらないといけないことは、できないような組織だったから。そこで組織改革の一環として「社長室」というのをつくった。社長室では例えば、広報活動とか、ブランディングとか含めて強化して、採用をしやすいような環境をつくったり。

ーー:
はい。

日本ベネックス①20210313
ZOZOマリンスタジアム(千葉ロッテの公式スポンサー)


小林:

あとは、人事制度を新しく作りなおしたりして、ひとり一人が目標を持って働けるように徐々に変化させつつある。現在進行形ですけど、5年前くらいから、いろいろとやってきているという感じですね。

それが完成すれば全社的にすごくいい会社なるはず。はず!(笑)。

――:
今後の展望はいかがでしょうか。

小林:
新しい事業のネタはいつもウォッチしているんだけど。今は追い風で、環境エネルギー周辺領域が非常に今後可能性ありそうなので、そこを追求していきたい。

製造に関してはまずは組織固めをしつつ、単純な下請け的な仕事というよりはもっとお客さんの方を向いた、お客さんを先導するような形に変えていかないといけないかなと。

ーー:
中小企業で働く醍醐味が改めて、わかりました!今日はありがとうございました。



(お読みいただきありがとうございました。)



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創業1957年。精密板金加工のメーカーであり、環境エネルギー事業を展開している日本ベネックスです。ものづくりと新しい発想で、付加価値をつくる”挑戦”をお届けします。note編集部のモットーは「おもしろくて、ためになる」です。