すべては成長のために。日本ベネックスがあの手この手で『名前を売る』ワケ
現在、日本ベネックスでは、広報・ブランディングに力を入れています。
以前紹介した長崎ヴェルカや競泳大会のパートナーシップをはじめ、テレビCMやネーミングライツ取得など、多様な方法でアプローチを行っています。
一体なぜいま、ここまで幅広い施策を行っているのでしょうか。
小林社長と広報・ブランディングの推進者 社長室 木下さんに、取り組みの狙いや目標を聞いてみました。
広報・ブランディング強化の先に目指すもの
―:
なぜ今、広報・ブランディングに力を入れているのでしょうか。
小林:
今後、会社として中長期的に成長し続けるためです。
そのためには考え抜くことができる優秀な仲間を、もっと増やしていく必要があります。そんな人に「入社したい」と思ってもらうためには、まず就職先として選択肢に入る必要があるんだけど、知られていなければどんなに良い会社であっても選択肢にすら入りません。
だから今、知名度向上のために必死で広報・ブランディングに取り組んでいるんです。
木下:
事業の成長だけを考えると、その道のプロをスカウトするのが一番早いと思うんですが、ベネックスは新卒・第二新卒も積極的に採用しています。会社はいま変革期にあるから、なるべく伸びしろが大きい若くて優秀な人を採用して、その人も会社も成長させながら、新しい文化もつくっていきたいと思っているんです。
小林:
そうですね。
日本ベネックスは再生可能エネルギー事業を新規事業として立ち上げましたが、電力業界出身者は一人もいません。業界出身者がいないからこそ、考え抜いて仕事をしてきた自負があります。その結果、いま業界の常識のある企業のちょっと先を行くことができているんだと思っています。
―:
会社の成長の核になる「考え抜ける人」を採用するために、まずは知名度向上に力を入れているんですね。
【直球勝負で印象付け】テレビCM
―:
2023年夏から長崎県内でテレビCMを放映しています。テレビ離れも囁かれるなか、なぜテレビでCMを打とうと考えたのでしょうか。
小林:
実は5年くらい前から「テレビCMは効果があるかもしれない」と考えていて。会社のソフト面が徐々に拡充されてきたから、次は知ってもらうフェーズだと思い、木下さんに「そろそろテレビCM打つ?」と振ってみたんです。
木下:
実は僕は、テレビCMの効果に対して懐疑的で。ネット広告全盛の時代だから「テレビCMってオワコンなんじゃない?」と思っていました。
でも実態を調査してみたら意外とそうでもなくて。もちろんインターネット広告市場は大きく成長していましたが、かといってテレビCM市場が衰退しているわけではなく、両者が共存しているんです。
それに長崎県在住者って、全国的に見てもテレビの視聴時間が長いそうで「テレビCMアリじゃん」と思い直しました。
―:
そうして始まったテレビCM企画。その内容ですが、社名と「名前を売りたい」のメッセージのみで構成されており、かなり振り切っていますよね。
小林:
実はここまで振り切ったCMになるとは全く思っていませんでした。
15秒のCMで伝えられる内容はせいぜい1メッセージなので、いまの我々のフェーズであれば、認知度向上に絞った内容にしようと考え抜いた結果、ああなりました。
木下:
広告代理店には最初の段階で「目的は認知度向上」「言うことは1つに絞る」と共有していました。
そんな条件で第一案を出してもらったんですが、それがすごくありきたりな感じで・・・
小林:
そうそう。「うちの会社ってすごいんです!」みたいなものとか、従業員が登場するような無難な感じで、求めていた方向性とズレが大きかったんです。
木下:
小林さんも僕も「絶対これじゃない!」と意見が一致し、先方にこんこんと説明して再考してもらいました。
そこから第一弾CMの表札篇の原案が出てきて。最初は「表現がストレートすぎるかな」と若干不安でしたが、あっさり小林さんOKがでて拍子抜けしました。
小林:
かっこいいCMにしたい思いも少しはあったけど、覚悟をもって振り切りました(笑)。
このCMは、社名が知られていない今だからこそできる表現でしたね。
―:
CMによってユニークな会社だと印象付ける、という狙いもあったんでしょうか。
小林:
もちろん、狙いの一つとしてはありました。先々では「ワクワクする」とか「いい意味でいつも何か企んでいる」とか、そういう会社だと思われるようになりたいんです。今回のCMでまず「なんだあの会社は?」と注目してもらえたんじゃないかと思っています。
木下:
うちの子どもが「今日保育園で〇〇ちゃんがベネックスの歌うたってた!」と教えてくれます(笑)。
小林:
保育園児にも浸透しているんだ!
広告代理店がこちらの狙いをきちんと理解して、最善の表現を考え抜いてくれた結果ですね。
―:
そうして表札篇・命名札篇・ゲーム篇の3種類のCMが生まれましたが、気に入っているものはありますか?
小林:
ゲーム篇は懐かしくて好きですね。
木下:
ファミコンのRPGみたいな感じが良いですよね。
実はゲーム篇のナレーションもプロの声優で録る予定でしたが、あの画に声優の声を当てたところ、あまりにも生活感がない感じになっちゃって(笑)。
夜通しゲームをやっちゃう情けない感じや生活感を出すためには、素人の声が良いだろうと、急遽撮影監督にナレーションをお願いしてみたら見事にハマりました(笑)。そういう表現一つひとつをとても大事にしてつくりました。
【ポジティブな認知を得る】ネーミングライツ
―:
4月にはネーミングライツの取得により、長崎大学や長崎市の施設で「ベネックス」の名前を冠した施設が生まれました。
小林:
企業とネーミングライツ契約をする国公立大学が増加していて。採用の観点から学生に対する知名度を上げる必要があったし、以前から興味はあったんです。
木下:
やるならまずは足元の長崎大学から…と考えていたんですが、検討当時はまだ募集していなかったんです。
小林:
そしたらある日、長崎大学を訪れた際に「ネーミングライツを検討中」という話をたまたま聞きました。「検討中なら、うちからプッシュすればやってくれるんじゃない?」と思って、こちらから提案に行ったのがはじまりです。
木下:
長崎大学は当初、ネーミングライツを取得したい企業があるのか?と懐疑的だったみたいです。でも他校事例も交えつつ提案をしたら、話が前進しました。
学生が頻繁に出入りする場所を全て見て回り、それを基に全学部学科の学生が勉強や授業、ミーティングなど多目的で利用する、図書館の共有スペース3カ所のネーミングライツを取得することにしました。
小林:
そうこうしていたら、実は長崎市もネーミングライツを募集しているのを見つけたんですよね。
木下:
大学のネーミングライツ事例を調べていたら、長崎市の『ネーミングライツ募集』のリリースを偶然見つけました。
すぐに全対象施設の稼働日数や年間来場者数を一覧にして小林さんへ提案しに行ったのですが、一瞬で「恐竜博物館いいんじゃない?」って言われて(笑)。
小林:
だって「ベネックス」ってちょっと恐竜の名前みたいじゃない(笑)?
恐竜博物館は比較的新しい施設なので、今後も様々なイベントがあるだろうから注目される可能性が高いと思うんですよね。
ちなみに木下さんの本命は?
木下:
僕はブリックホールが本命でした。長崎でブリックホールを知らない人はあまりいないと思うので。
かきどまり総合運動公園は、高総体で使われるしアリだよね、という感じでしたね。
―:
幅広い世代をターゲットにしたネーミングライツ取得になったんですね。
木下:
そうですね。3カ所とも幼少期から大人まで利用する施設だから、長い時間をかけて社名を覚えてもらえると思います。それに大学も長崎市も「初」のネーミングライツ契約だから話題性も高い。
小林:
前例のない取り組みには、二の足を踏んでしまう場合も多いです。その中ですぐ行動したことに価値があるし、周りからベネックスらしいと思われたんじゃないでしょうか。
木下:
「うちらしさ」でいうと、10月開業の長崎スタジアムシティのネーミングライツ取得もその1つですね。
小林:
スタジアムシティプロジェクトって、長崎の人が想像している以上に全国で注目されている取り組みだと思うんです。
スタジアム内のメインコンコースのネーミングライツを取得しましたが、「どうせ真っ赤にするんでしょ」という先入観を裏切るような見せ方をしました。
木下:
スタジアムはサッカーの試合日以外も365日稼働していて、一般開放されます。
そこでグラフィックデザイナーの小林一毅さんの協力を得て、コンコースを利用する方が「心地よいと思う空間」を目指しました。素晴らしいピッチを見渡すことができる場所なのに、企業広告感が全面的に出ていると、その空間を邪魔してしまう可能性があります。わたしたちはあくまでもポジティブに認知してもらいたいんです。
―:
今までとは異なる雰囲気なのも、ベネックスらしく考え抜かれた結果なんですね。10/14のグランドオープンが楽しみです。
このような広報・ブランディング施策に注力した結果、おかげさまで徐々に認知度は高まってきていますが、これはゴールではなくスタートライン。
これらで得た認知を足掛かりに、考え抜くことができる仲間を増やすこと、そして企業として中長期的に成長し続けることが真の目的です。
今回の施策が今以上にユニークな会社になることに繋がると思うと、なんだかワクワクしますね!
(お読みいただきありがとうございました。)
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