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潜入!本社工場 ~社会を支えるものづくりの現場~

1957年の創業以来、長崎の地で製造業を営んできた日本ベネックス。
工場では、社会のインフラを支える数多くの産業用製品を作っています。

今回はそんな長崎本社工場に、ふだん東京事業所で仕事をしている庄司(環境エネルギー事業部)が初潜入して参りました!

案内をしてくださるのは、品質保証部の中村さん。
まずは日本ベネックスの製造事業について、お話を伺います。

中村さん。とても優しい方です!


日本ベネックスのものづくり


中村:
主に産業用製品関連の“受託製造”をしています。つまり、お客さん(企業)の依頼を受け、ベネックスが製造をする。
うちの最大の特徴は、一貫生産ができることです。

庄司:
一貫生産…?

中村:
「板金」と呼ばれる薄い金属の板を切ったり曲げたり、溶接したり、塗装したり、組み立てたり。設計もします。

製造業って分業制が多くて、溶接するだけの会社もあれば塗装だけの会社もあったりします。
しかしベネックスでは、ほぼすべての工程を自社でできます。

庄司:
全工程ですか!すごいですね。

中村:
一貫生産には大きく2つの強みがあります。
自社で一貫して生産することで、安定した品質の提供ができるのがひとつ。
もうひとつは、お客さんの要望に合わせて幅広く対応できるということ。

お客さんから設計図面をもらうこともあれば、ベネックスで設計する場合もあります。組み立てずに部品だけ納めてください、と言われることも。

板金。0.5㎜から6㎜くらいの薄さで、主に鉄、アルミ、ステンレスを扱っています。

中村:
それから、同じ製品を何百個何千個もというよりは、いろいろな種類の製品を少量ずつ生産しています。

……なるほど!
一口に「製造業」と言っても中身は様々で、ベネックスの製造には板金加工・一貫生産・少量多品種という特徴があるようです。


1.工場見学 ~設計から板金切断・曲げ~


なんとなくイメージが湧いてきたところで、工場を見学してみましょう!

機械がずらり。


ひ、広い…!工場は想像以上の広さです!
A棟・B棟・C棟の3つの建物に分かれています。

敷地面積はサッカーコートおよそ3面分!


製造の流れに沿って、まずはA棟から見てみます。

【A棟】
① 設計技術

設計図面や工場の機器に送られるデータを3D CADで作成。
工場では、ここで作られた設計図をもとに製品を作ります。


② 資材

材料を購入し管理します。鉄やアルミ製のものが多いそうです。
片付けが苦手なわたしならうっかり無くしてしまいそうな、小さな部品がたくさん!


③ 機械加工

レーザー加工機で板金を切り、タレットパンチで穴をあけます。
写真はレーザー・タレパン複合機。切断と穴あけが1つの機械で可能!
板金を切ると出てしまうカエリ(=切断面に生じる出っ張り)は、手作業で取り除きます。
カエリを取り除いたら、この機械を使って曲げます。
迷いなく板金を機械に挟んでいく素早い手つきは、感動ものでした!


2.工場見学 ~溶接・塗装~


④ 溶接
切断や曲げの加工が終わったら、次は溶接へ。
中村さんが実演して見せてくださいました!

半自動溶接という方法。
手元の機器の先端に送られるワイヤを、放電の熱で溶かしてくっつけます。火花がきれいです!
こちらはティグ(TIG)溶接。

TIG溶接とは:
「タングステンという棒に電流を流し、溶接する材料との間に高温のアーク(電気がショートした時にバチバチッっと光っているのもアーク)を発生させ、その熱で材料同士を溶かして溶融(くっつける)溶接。」

溶接・溶断の専門記事「TIG溶接とは(初心者向け)」
若い女性もいます。かっこいい! 
溶接を自動でしてくれるロボットに驚き!若者のほうが使いこなすのが早いそうです(笑)。難しい作業でも、一度教えれば高品質を保ちながら作り続けられるのがメリットだとか。


⑤ 塗装

溶剤塗装をして乾かしているところ。
乾燥炉の中の温度は約200℃!
粉体塗装という方法もあります。
粉体塗料を専用のガンで噴射することでマイナスの電気を帯びさせ、静電気の力で塗装します。
塗装後の部品を見てみると、穴の中や側面などの細かい部分まで
丁寧に塗られているのが分かります。


3.工場見学 ~組立・検査~


B棟へ移動します!
【B棟】

赤い扉は、ベネックスで作ったものだそう!
こんなに大きいものも作っているんですね。


⑥ 機器組立

加工した板金と電子機器を組み立てます。
私は配線など全く分からないので、皆さん当たり前のように作業されていてすごいです…。


⑦ 検査

出荷できるか判定する検査を行います。合格すれば、梱包、納品されます。


ここまでがものづくりの一連の流れです。

一枚の金属の板だったものが、切られ、曲げられ、溶接され、塗られ、組み立てられ……たくさんの人の手によって製品になり、お客様のもとへ届けられます。


さて、C棟も見てみましょう!

【C棟】
ここでは大きめの製品を中心に扱っています。

写真の部品はアルミ製。とっても軽いです!
アルミ溶接は、鉄とは別の免許が必要でかなり難しいのだとか。
「ゲージ」と呼ばれる測定の基準器。
タービンについている薄い羽根(タービンブレード)を測定するものだそうです。
1/1000㎜単位の精密さが必要であるため、熟練の技が求められます。
なんとこれが、ベネックスの原点だそうですよ!!


ここで工場見学は終了。
A棟、B棟、C棟とまるっと見学してみて、ベネックスの歴史や、働いている皆さんひとりひとりの誠実さをひしひしと感じました!

溶接面をかぶる中村さん。


板金加工とこれから


庄司:
製造するときのこだわりや大事にしていることは何ですか?

中村:
図面通り=お客さんの要求通りに、㎜単位で正確に作るようこだわっています。それから、部品が何に使われるか知るってすごく大事。
分からないときは、何に使うの、どこにつけるの、と確認してから作るようにしていました。

庄司:
さすが、徹底していますね。

切り抜かれた板金。


庄司:
板金というと身近に感じづらいんですけど、今日製品を見てみたら日常生活でもよく目にするようなものが多くてびっくりしました。周りの人に「自分が作ったんだよ」って言いますか?

中村:
言います、言います。自分の子どもにも、あれ俺が溶接したんだよって(笑)。

庄司:
お父さんがやったんだぞと(笑)。そう言えるものがあるって、素敵ですね。

中村:
ものづくりってそういう意味でも楽しい。人の生活が楽になったり社会の安心・安全を支えているものをここで作っていると考えると、やりがいもあるし。

最近は、スツールサイドテーブル板金鉄道を作ったりと、今までにない取り組みをしていてすごく良い。
自分たちで考えたものが、自分たちの会社のブランドとして世の中の人に届く。これは楽しい。

庄司:
自社商品をつくるって、おもしろいですよね。


庄司:
中村さんはけっこう長く勤めていらっしゃるんですか?

中村:
25年かな。

庄司:
25年!私が生まれる前から…!

中村:
製造の中だけでもいろんな部署で経験を積めるのもおもしろい。今は品質保証の部署にいて、ISO(国際的な品質の規格)に関する仕事をしています。

庄司:
納品したあとの不具合を調べて次につなげてっていう。

中村:
なぜ不具合が出たのか、社内検査を通過してしまったのか。原因を突きとめないとまた同じことが起こってしまう。繰り返し不具合を出すことはできないからね。

庄司:
なるほど。

中村:
ものづくりの企業として当然だけど、品質を高めるように努めています。
ベネックスが65年間も製造業を続けてこられたのも、ものづくりに対する真摯さが認められているからじゃないかな。

中村さんのお話、とても興味深いです!


庄司:
工場見学、おもしろかったなあ。これからも楽しみですよね。

中村:
会社ってあと何年で終わり、じゃない。今年で65周年だけど、この先100年200年と続いていくには、技能・技術も志も、若い世代に引き継いでいかないと。

日本の製造業って旧態依然としているイメージもあるけど、そのなかで新しいこと(自社商品の製造など)にどんどん挑戦していこうとしているのが今のベネックス。
これからも、時代に合わせて変わっていかなきゃいけない

庄司:
長いこと勤めていても未来のために変わらなきゃ、という意識があるのってすごいことですよね。

中村:
会社を今よりも良くしようっていう気持ちがないとなかなか難しい。

板金で作られた工場の模型。
本社入口に飾られています。かわいいですね!


庄司:
とても良いお話を聞けました。中村さんがこれからやりたいこと、作ってみたいものはありますか?

中村:
うーん、全く違う事業もしてみたい。農業とか水産業とかね(笑)。

庄司:
楽しそう!(笑)

中村:
板金加工だけ、っていう時代でもないしね。樹脂もレーザー加工できるし、技術って進歩しているから、板金だけにこだわる必要はない。

庄司:
各々が持っている技術や知識を使って、さらに違うものにも応用しつつ。

中村:
ステップアップしていったらもっと良い会社になる。毎日、常に考えているけど簡単にはいかないね。


中村:
会社が良くなっていると感じられることに関わるのは、やっぱり楽しい。これからも積極的にやっていきたいし携わりたい。

庄司:
心構えがとっても素敵ですね。貴重なお話、ありがとうございました!


案内してくださった中村さんをはじめ、工場の皆さま、本当にありがとうございました!


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