RIZIN.28東京ドーム大会が終わって見えてきたコト
RIZIN.28東京ドーム大会が終わって、大会統括や試合後の選手のコメント等からいくつか見えてきたことがあったので、それらをもとに考察していきたいと思います。
また、6月27日に控えたRIZIN.29お大阪大会の情報も更新されたので、そちらも合わせて見ていこうと思います。
ミスターX騒動
MMAとして18年ぶりに開催された東京ドーム大会。
当初は天心vs武尊を軸に進めていたが、武尊選手の拳のケガ、そして3月に行われたペタス戦から東京ドーム大会まで期間的にベストコンディションを作り上げることが難しいといった理由で実現には至りませんでした。
そこで、RISE及びRIZIN関係者は天心選手の対戦相手を急遽探すこととなり、過去に天心選手に対戦要求をしたことのある選手と今後引き上げていきたい期待の選手に打診したがことごとく断られた、ということでした。
苦肉の策として、天心vs3人の1対3の試合が組まれることとなりました。
この試合については戦前から「茶番」の声が多く出ていました。
言わば天心選手の無駄遣いという感じに映ったからでしょう。
とは言え、天心選手に敵がいないことはファンもわかっており、キックボクシングの試合が組まれていたとしても「勝てる相手としか戦わない」といった声は出ていたでしょう。
結局、1対3でもキックの試合でも、ロッタン・武尊以外だと物言いはつくのです。
ただ、キックの試合だと本当にスカ勝ちするので、どうせなら1対3よりはキックの試合が見たかったという声はわからなくもないです。
青木真也選手が「この状況まで辿り着いた選手は日本格闘技史上存在しない。凄いけど不幸でもある」と自身のnoteで記しています。
また、「相手がいないからああいうふうになったんだろうけど、格闘技界の人間として申し訳ないって気持ちになる」とも語っています。
強すぎて同じ階級に対戦相手がいないが故に体重差のある試合を行っている、ムエタイの神セーンチャイとある意味同じ境遇と言えるかもしれません。
そこで、天心選手の相手が決まらず、対戦相手を公募することに。
500名ほど応募があったようですが、公募から選ばれたのはいち早く名乗りをあげたRISEの大﨑孔稀選手のみ。
あとはプロモーターサイドが交渉して選んでいます。
2人目が、HIROYA選手。
HIROYA選手は、困ったことがあると「自分で良ければ」と受けるホスピタリティの強い選手。
そして3人目はミスターX。
試合当日に発表するというプロレススタイルが採用された。
このミスターXについて天心選手が「好きだった選手」と言ったことから、魔裟斗さん、内山さん、山中さん、五味選手、などの憶測が飛び交いました。
結局予想はどれもハズレでミスターXは所選手だったのですが、確かに天心選手のRIZINデビュー当時は所選手が好きと公言しており、赤いトランクスにリングコール時の腕を突き上げるポーズと所選手と同じようなスタイルでした。
所選手は本番に強く、観ているモノをハラハラドキドキさせる魅力があるので試合にハズレがない選手です。
プロモーターとしてはそこに期待した部分が大きかったのではないかと思います。
大崎孔稀選手は名前と評価を上げたし、HIROYA選手も義理を果たしたことでちゃんとRIZINで引退試合組んでもらえるだろうし、所選手もらしさを地上波で見せることが出来たので、結果的にはみんなプラスになっています。
今回の試合に物足りなさが残ったという声が多くあるものの、対戦相手公募・戦前のミスターX騒動から実際の試合内容も含めて、ちゃんと着地はさせたと言えるのではないでしょうか。
守りに入らず、世間を巻き込んでチャレンジした天心選手。
天心選手との対戦の打診を断った多くの選手は、負けるリスクが高いからと戦わずして自分自身を守ることに徹しました。
早い段階でリスクを取りに行かないと、後々挑戦しにくくなって、それ自体がリスクになります。
つまり「挑戦しないこと自体がリスク」であるのに・・・。
色々言われていますが、そういった選手たちの分もまとめて尻拭いをしたのは弱冠22歳の天心選手だということは忘れてはなりません。
天心選出はRIZINとの契約があるから、1対3を望む望まないにかかわらずプロとして本分を全うした、なので今回の変則マッチは少なくとも責められるべきは天心選手ではないです。
オファーなのか打診なのか
ひとつ残念だったのが、オファーと打診を混同している大雅選手サイドの発言。
RIZIN広報及び関係者の話によると、オファーと打診は以下のように定義づけられています。
Aサイドの選手の対戦候補として3名ほどピックアップがあったとする。
その候補者3名の選手に、○○選手の対戦候補として名前が挙がっているけど
「今、体重何キロくらいだったら作れる?」
「今、どんな調子?」
「今、試合の準備出来てる?」
と様子を窺う、これが打診。
そして、その候補者3名のなから選ばれた人に正式に申し入れをする、これがオファー。
オファー
読み:おふぁー
意味:掲示、申し込み、申し入れ、提示する選ばれなかった残りの2名は、
引用:CAREER PICKS
現代では「相手に確認をする」「意向を確かめる」「考えをたずねる」などの意味があります。つまり広い意味では「相談する」「話をもちかける」という意味
引用:TRANS.biz
選ばれなかった残りの2選手は、OKをしたのに試合が決まらなかったということで、「相手が逃げた」「オファーを断られた」と解釈してしまう、という構図が生まれています。
プロモーターサイドの言い方やその時の状況によるところもあるから、ビミョーなラインであることも事実でしょう。
仮に、まさか天心選手の対戦候補の一人として自分に声が掛かるとは思ってもみなかった、というような選手であれば舞い上がってしまうだろうから、打診をオファーと勘違いしてしまうということがあってもおかしくはないです。
でも、大雅選手は何度もRIZINに出ているし、それ以前も他団体でベルト保持の実績を積んできた選手です。
僕の状況も理解してほしいというようなあたかも相手に非があるような発言の発表は残念でした。
事の経緯としては、大雅選手が58.5キロで天心戦をオファーされたからOKしたが、翌日になって57.5キロじゃないと試合しない、と言われたから断った、というものです。
大雅選手としての言い分としては、58.5でOK出したらなんで57.5に変更してくるんだよ、ということです。
だから、まるで僕が逃げた、みたいな感じになってるので反論させてください、というところでしょう。
しかし、大雅サイドから発せられた発言を「正しくない」とプロモーターがオフィシャルの場で訂正しています。
大雅サイドは打診とオファーを混同している、ということです。
そもそも大雅選手は今の戦績では実力で天心戦を実現させることは不可です。
ましてやBサイドであるのだから、もし団体を移籍までして天心戦を実現させたかったのならばAサイドの条件を受け入れるしかありません。
60キロの選出と55キロの選手のキャッチウェイトは57.5キロが同じ条件と言えるのではないでしょうか。
大雅選手は人気のある選手なので、この一連の騒動はもったいないと感じてしまいます。
大雅第二章
昨日、トライハードジム(家族経営ジム)所属からチームドラゴンに移籍をしたと発表がありました。
前からチームドラゴンに出稽古に行っていたが、この状態だと前田会長にセコンドに入ってもらえない、というところから移籍を決めたということでした。
今後も変わらず兄のHIROYA代表代行にもセコンドに入ってもらいたいとも語っていました。
そして、7月18日RISEワールドシリーズ大阪で中村寛選手との対戦が決まりました。
大雅選手にとっては、RISE初参戦とジム移籍は不退転の決意とも取れるのではないでしょうか。
RIZIN移籍後あまり結果の出ていない大雅選手。
RIZINトーナメントにも出ず、天心戦も消え立ち位置が微妙になりつつあるところ、RISEに拾ってもらえたのはラッキーです。
RISEで結果を出して、またRIZINに呼ばれるようになってほしいです。
これからが第二章だと昨日の会見で大雅選手が言っています。
試合で魅せて欲しいと思います。
対する中村選手も前回体重超過で試合を飛ばしているので、もうミスは出来ません。
どちらも負けられないので、意地のぶつかり合いの激しい試合になるでしょう。
RISE・極真代表として
RISEウェルター級チャンピオンのベイノア選手がMMA初挑戦。
結果は1-2の判定で負けてしまったが、青木真也選手は「ベイノアのゲームだった」と評しています。
倒されるところをロープを掴んで凌いだことでレッドカードが出されてしまい判定負けとなってしまいましたが、何もなければ勝っていた試合でした。
レッドカードが出されいても判定が割れているところからも、ベイノア選手のゲームだったということが判ります。
これまでキックの選手がMMAに挑戦していい結果が出ていなかったこともあって大方の予想はドミネーター選手有利だっただけに、余計にベイノア選手の適応力の高さが光ました。
かつて獣神サンダーライガー選手は佐野直喜選手との試合後に「試合には負けましたけど、内容としてはオレの勝ち」といった名言を残しました。
試合には負けたけど勝負には勝った、ベイノア選手の試合は正にそんな感じでした。
ベイノア選手は芸人でもありますが、試合前のコメントは笑いには走らず、空手家らしく返事は「押忍」で統一し、発言も謙虚な姿勢を見せたこともあって、大きな共感を呼ぶこととなりました。
最終的には「押忍の活用方法が深すぎ」と笑いにもつながり、スポーツのトレンド入りもはたしているので、今回のMMAチャレンジは話題作りから試合までの一連の過程は大成功だったと言えるのではないでしょうか。
素晴らしい自己プロデュース力と言えます。
大沢ケンジさんは「ミルコ以来の逸材」と高く評価しています。
プロモーターもベイノア選手を合格としているので、今後もRIZIN継続参戦が期待されます。
RISEライト級チャンピオンの原口選手とRIZIN.29トーナメントに出るRISE白鳥選手からも祝福のメッセージが送られています。
次は、RIZIN.29で白鳥選手の番です。
押忍!
RIZIN.29キックトーナメント
その白鳥選手の公開練習が一昨日行われた。
そこでは、今までと全く違うファイトスタイルでのスパーリングが披露されました。
その部分は記者からの質問にも上がり、これがニュースタイルだと認めていました。
新しいスタイルに挑戦するということはすごく大事です。
すぐに成果が出ることもあれば成果が出ないこともあります。
でも、同じ状態ではいられないので、どうせ変わらなくちゃいけないけません。
望む望まないにかかわらず変化に適応しなくてはいけないです。
自転車がそうで、場所が変わって左右に揺れながら前に進んでいきます。
駒も同じで回っているから安定します。
人間も変化し続けているから安定します。
変化していない人が停滞し始めるとどうなるかというと、そのまま下降していきます。
自分から行動を起こさない限りずっとこの下降が続きます。
でも、変化している人は、上下はするけど結果的には長い目で見ると安定するか右肩がりになっていきます。
白鳥選手は今のままではダメだと気づき、行動を起こしました。
まだまだ進化していくでしょう。
白鳥選手、RIZIN.29キックトーメント圧倒の予感です。
BOMとONEの提携
51キロ以下最強と言われている吉成名高選手が主戦場としているBOM~The Battle Of MuayThaiがONE Championshipと業務提携を結ぶと発表されました。
RIZIN.28で天心選手と戦った大﨑孔稀選手はBOMバンタム級のチャンピオンです。
先日RISEでオープンフィンガーグローブの試合が行われましたが、BOMもONEと業務提携したことで、オープンンフィンガーグローブの試合が発表されました。
今後日本でもキック・ムエタイのオープンフィンガーグローブの試合が活性化していきそうです。
BOMに参戦している選手はRISEにも参戦しているので、今後も選手交流は深まっていくことは変わらなそうですが、RIZINとの関係が少し心配されます。
とは言え、修斗やパンクラスもONEとパートナーシップを締結していますが、修斗やパンクラスの選手はRZINIに出場出来ているので、BOMとONEも同じような感じであることを願っています。
吉成選手と天心選手の接点は残しておきたいので。
その吉成選手が6/27 RIZIN.29大阪大会に52キロ契約で出場します。
彼もまた相手がいない状態になっていくだろうから、今後は階級を上げていくことが必須です。
天心選手と交わることができるのか?楽しみです。
天心選手のキックでの残りの試合は、吉成選手・武尊選手・ロッタン選手が組まれたら最高です。
天心vs武尊の進捗
武尊選手がK-1とスポーツメディアコンテンツの提供会見で「みなさんが期待してくれている選手との試合を年内に実現できるように頑張りたい」と発表がありました。
しかし、そこでは天心選手の名前が出ることはありませんでした。
また、振り出しに戻った感が強いです。
一方で、一部報道からは天心vs武尊は「12月30日が有力」という発表がありました。
12月29日はボクシングのビッグマッチが予定されていて、大晦日のRIZINではない中立のリングという消去法から12月30日が有力なのでは?というものでした。
その流れもあって、昨日のRISEの大雅vs中村のカード発表会見で、記者がRISE伊藤代表に質問したところ、「現段階では天心vs武尊は何も決まっていない。テーブルにも着いていない」と何も進展しないということでした。
RIZIN.28東京ドーム大会に天心選手が出たので、そこで武尊戦について何かしからのアクションはあるのかなと期待されたのですが、何もありませんでした。
中立なリング・ルールの問題等を考えると、現時点では実現が難しいという割合がまた高くなりました。
ただ、一気に物事が進むということも十分考えられるので、諦めずに引き続き注視していきたいと思います。
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