第15回 実質的支配者リスト制度について

株式会社日本資産運用基盤グループのJAMPファイナンシャル・ソリューションズは、金融商品取引業者様及びその登録を目指しておられる方々向けに、当局の動向などをまとめた「JAMPコンプラ・メルマガ」を発信しています。
今回は、昨年12月3日に、一般社団法人日本投資顧問業協会から同協会会員へ通知のあった実質的支配者リスト制度創設についてのお話です。

2021年9月17日に公布された「商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則」(令和3年法務省告示第187号)が令和4年1月31日から施行され、同日から、 全国84か所の商業登記所において、株式会社からの申出により、その実質的支配者に関する情報を記載した書面を保管し、その写しを交付する実質的支配者リスト制度(以下「本制度」 といいます。)が開始されることとなりました。

本制度によって、現在、金融機関等の特定事業者が、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(平成19年法律第22号)に規定された特定取引の際に行う顧客の実質的支配者の確認が一層円滑に行われることとなり、社会全体のコストが低減することなどが期待されております。

―制度の概要についてー

●実質的支配者リストとは?

実質的支配者(Beneficial Owner(BO))について,その要件である議決権の保有に関する情報を記載した書面をいいます。

●実質的支配者リスト制度とは?

株式会社の申出により,商業登記所が,当該株式会社が作成した 実質的支配者リストについて,所定の添付書面により内容を確認して,その写しを発行する制度です。

●申出の対象となるBOとは?

以下の①及び②が対象となります。

※(①及び②に該当するBOがいないときは, 申出をすることができません。)

・議決権の50%超を直接・間接に 保有する自然人がいる場合

①当該自然人(当該法人の事業経営を実質的に支配する意思又は能力を有していないことが明らかな場合を除く。)

・議決権の25%超を直接・間接に 保有する自然人がいる場合

②当該自然人(当該法人の事業経営を実質的に支配する意思又は能力を有していないことが明らかな場合を除く。)

●利用することができる法人とは?

株式会社(特例有限会社を含む。)が利用することができます。

●実質的支配者の定義について

あらためて、実質的支配者とは、法人の議決権の総数の4分の1を超える議決権を直接又は間接に有していると認められている自然人等をいい、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」4条1項4号及び「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則」11条2項に規定されています。

●実質的支配者リスト制度創設によるメリットについて

実質的支配者リスト制度は、国際的な要請(FATF(金融活動作業部会_Financial Action Task Force))の勧告)から、マネーロンダリングの目的による法人の悪用の防止のためのさらなる対策の強化のみならず、日本に於ける株式会社に対して、透明性の向上を図ることで、国際的にもその信用の維持および取引のますますの安全と円滑に資することが見込まれる制度となります。

― BOリスト制度の手続の流れについての詳細は、下記法務省のホームページに記載されております。 ―

(法務省のホームページへ) 法務省民事局 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00116.html

 

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