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戦国Web小説『コミュニオン』1~15話

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日本的な戦国要素、プラス古代中国的な、さらには騎士のような西洋的な要素もミックスさせたオリジナル戦国作品です。史実の戦国ものではなく完全オリジナルな世界観であります。
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戦国Web小説『コミュニオン』第1話 「平和な日々」

戦国Web小説『コミュニオン』第1話 「平和な日々」

戦国Web小説『 コミュニオン 』

    「プロローグ」

 そこは牢獄であった。鉄ごうしの奥には少年がいる。とても大柄な少年。常人ならぬ身長のその少年の体には、いたるところに傷がある。囚人用と思わしき衣服のそでから見える太い腕は、切り傷やすり傷にまみれていた。

 しかしその迫力ある肉体とは裏腹に、その表情はやたらと無邪気に見える。実年齢は17~18歳であろうが、もっともっと幼く見える。少年

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戦国Web小説『コミュニオン』第2話 「青春の日々」

戦国Web小説『コミュニオン』第2話 「青春の日々」

第2話 「青春の日々」

 

 青龍館道場。この道場は国内で一番の門下生の数を誇る。とくに年齢制限はないが、この国は19歳から兵役が義務づけられているため、主に16~18歳の若者たちが多くを占める。男子600人あまり、女子300人あまりの大道場である。

 教えの内容は、剣・槍・弓・薙刀・兵学の五種。その中で希望するものだけ受けることができる。月謝は一律で、どれだけ受けても受けなくても同額。が、

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戦国Web小説『コミュニオン』第3話 「不純物」

戦国Web小説『コミュニオン』第3話 「不純物」

第3話 「不純物」

 

 この大陸には、大小多くの国があるが、『和の国』『華の国』『洋の国』の三つに大別できる。まずは『華(か)の国』。元々この広大な土地に住んでいた勢力群であり、大陸の七割はこの華の国で占められる。とはいえ、国も民族も多数あり、長い間各地で勢力争いが続いている。

 次に『洋(よう)の国』。西の大山脈を越えてこの地にやってきた勢力群。強大な軍事力を誇り、短期間で大陸の二割を勢

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戦国Web小説『コミュニオン』第4話 「異邦人」

戦国Web小説『コミュニオン』第4話 「異邦人」

第4話 「異邦人」

 

 大陸における「醒陵」(せいりょう)という国は、ひじょうに恵まれた地形の中にある。西の大山脈と東の山岳地帯にはさまれ、その間に広がる平原に多くの人が住んでいる。

 大きな川が一本、そしてそこから分岐する支流がいくつか海へと流れ込んでいる。この川が平原を豊かな土壌とし、多くの実りを、そして人を育んでいる。海の幸・山の幸・野の幸に恵まれた、大陸内で一番豊かな土地と言える。

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戦国Web小説『コミュニオン』第5話 「助けてあげなさい」

戦国Web小説『コミュニオン』第5話 「助けてあげなさい」

第5話 「助けてあげなさい」

 

 けっきょく、何を買うかも決まらないまま、商店街まで来てしまった。

 街はにぎやかに見えた。が、いつもとは違った騒々しさであることに気づく。兵士たちがいるのだ。それも一人二人ではない。あちこちに数人単位で動き回っていた。

沙耶 「なんか、騒がしいね。」

隼介 「だねぇ。」

沙耶 「何かあったのかな。」

隼介 「かなぁ。」

 よく見てみると、手分けし

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戦国Web小説『コミュニオン』第6話 「基本こそ奥義」

戦国Web小説『コミュニオン』第6話 「基本こそ奥義」

第6話 「基本こそ奥義」

 

 隼介の意識は現在に戻っていた。いつの間にか雨はやんでいた。沙耶との約束があったが、さすがに今の静流を放っておくわけにはいかない。静流はずっと無言だったが、気分は落ち着いたようである。

静流 「帰ろ。」

隼介 「・・・・・。」

 さすがに沙耶はもう帰ってしまっただろう。それとも、今日も道場に泊まるのだろうか。和馬と二人で・・・。いや、二人なわけではないが。い

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戦国Web小説『コミュニオン』第7話「今を、今を、今を」

戦国Web小説『コミュニオン』第7話「今を、今を、今を」

第7話 「今を、今を、今を」

 

 静流は隼介の目を見ている。隼介は目を合わせられない。罪悪感があるのかもしれない。後ろめたいのかもしれない。

静流 「遅かったね。」

隼介 「・・・・・。」

静流 「どうしたの。」

隼介 「・・・・・。」

 静流、隼介のすぐ前まで近づく。そしてじっと隼介の顔を見つめる。

隼介 「祭りもいいけど、俺さぁ、」

静流 「ん?」

隼介 「稽古してる方が

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戦国Web小説『コミュニオン』第8話 「共有できるもの」

戦国Web小説『コミュニオン』第8話 「共有できるもの」

第8話 「共有できるもの」

 

 静流は黙って二人を見ている。隼介と沙耶も言葉が出ない。

静流 「・・・・・。」

 静流、きびすを返し走り去ろうとする。隼介、やはり何も言えない。

沙耶 「静流!待って!!」

 立ち止まる静流。

沙耶 「私が悪かった! ごめん!!」

 振り返る静流。

静流 「・・・・・。」

沙耶 「私、静流のこと、全然分かってない。静流がどれだけ苦しかったのか、

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戦国Web小説『コミュニオン』第9話「達人」

戦国Web小説『コミュニオン』第9話「達人」

第9話「達人」

 

審判 「始めぇ!!」

 開始の合図。次の瞬間、沙耶の体は最速の一撃をくりだすべく、一直線に跳びかかっていた。即座にガードする対戦相手。が、激突した勢いで体勢が崩れる。そこへ、間髪入れずに連撃をくりだす沙耶。相手はさがりながらさばいていくが、防戦一方。

 歓声がわき起こる。誰も予想していなかった。まさかあの強豪道場を相手に、ここまで攻勢をかけていくだろうとは。しかも、それ

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戦国Web小説『コミュニオン』第10話「今よ、続け」

戦国Web小説『コミュニオン』第10話「今よ、続け」

第10話 「今よ、続け」

 

 倒れたまま動かない少年。静まり返る会場。

 突然、すっと立ち上がる少年。折れたままの竹刀を持ったまま隼介を見すえ構える。誰も声を出せない。少年と目が合った・・・ように思ったが、焦点が合っていない。防具ごしでよくは分からないが、一筋の赤いラインが見える。・・・ん?・・血??

隼介 「・・・・・。」

 長く感じる3秒間が流れる。そして力尽き、その場に倒れる少年

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戦国Web小説『コミュニオン』第11話「青春、一時中断」

戦国Web小説『コミュニオン』第11話「青春、一時中断」

第11話 「青春、一時中断」

 

 華麗で力強い涼平の槍さばき。その前に立つ隼介。なおも動き続ける涼平。

隼介 「涼平。久しぶりに、やろうぜ。」

涼平 「・・・いいねぇ。」

 ピタリと動きを止める涼平。すでに突きの体勢が整っている。次の瞬間、鋭い一撃が一直線に隼介に迫る。隼介、その切っ先を自分の槍でいなす。すぐに引いてまたすぐ突きをしかける涼平。それもいなす隼介。

 涼平、素早い突きの

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戦国Web小説『コミュニオン』第12話「昨日の敵は今日の友」

戦国Web小説『コミュニオン』第12話「昨日の敵は今日の友」

第12話 「昨日の敵は今日の友」

 

 北部駐屯地。青龍館道場の選ばれた(?)200名がここで訓練を始めて十日ほどが過ぎた。驚いたことに、その場所は長城のすぐ横にあった。つまり、まさに国境にいたのだ。そして通称「北門」と呼ばれている拠点も目と鼻の先にあり、隣国・淘來へ続く道がそこにあった。

 この駐屯地へ来たのは、青龍館の門下生だけではなかった。各地の道場や、志願してやってきた若者たちもいた

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戦国Web小説『コミュニオン』第13話「幸せになってしまえ」

戦国Web小説『コミュニオン』第13話「幸せになってしまえ」

第13話 「幸せになってしまえ」

 

 北部駐屯地。ここへ来て、はや半月ほどになろうかという頃、ぞろぞろと若者たちの集団が列をなしてやってきた。隼介らと、そう変わらない歳の少年たちが多い。100人200人どころではない。次から次へとやってくる。

 どうやら訓練生の第二陣らしい。少年らの後ろから、同じく年若い少女たちまでやってきた。訓練をしていた訓練生たちも、おもわず少女たちの方を向く。

 

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戦国Web小説『コミュニオン』第14話「羽虫の群れ」

戦国Web小説『コミュニオン』第14話「羽虫の群れ」

第14話 「羽虫の群れ」

 

 羽虫の群れはゆっくりと迫ってくるように見えた。それが矢の形だと認識できた瞬間、

「バババババババッ!!!!」

 周りにいた少年少女たちが一斉に地面に叩きつけられた。無数の矢が、彼らを貫いた。ほとんどの者が射貫かれ、地にくぎ付けにされた者も多い。

 運よく矢が当たらなかった数名だけが、ただ呆然と立ち尽くしていた。隼介も立っていた。無傷で。

 うめき声があち

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