資本主義をゲームに例えて考える③ ~ゲームを有利に進める方法、ルールを変えること~

前回、前々回と資本主義をゲームに例えて考えたことをまとめました。

 今回は、「ゲームを有利に進める方法」「ゲームのルールは変えられるのか」について考えてみました。

ゲームを有利に進める方法
 前々回のnoteでは、このゲームの評価は「一生を通してどれだけ自由に使えるお金を増やせたか」で行われると考えました。
 このゲームの世界はお金でほとんどあらゆるサービスを受けられ、時間も手にすることができます。自由に使えるお金があるほど、人は自由な時間を得たり自分の好きなことをやることができます。さらに前回のnoteで指摘したように、「お金を持っている方が有利である」という関係性があるので、お金があると他人に対して自分の主張を通しやすくなります。
 結論として、自由に使えるお金が多い人ほど、資本主義ゲームでは評価されて幸福を感じやすい人生を送ることができます。

 では、このゲームを有利に進める方法は何でしょうか。具体的には、「自分が自由に使えるお金を増やす方法」は何でしょうか。
 結論から言うと、方法の1つは「投資家へのジョブチェンジを目指す」ことです。
 これまでの①②のnoteで、お金を稼ぐ4つのジョブとそれらの特徴をまとめました。従業員、自営業、経営者は資本主義ゲームの仕組みに従って、永久的に求められる水準が上がり続ける競争を行わなければなりませんが、投資家は自分自身が競争する必要はありません。競争をしない分、自分の時間やエネルギーをより投資に回して稼ぐことができます。
 さらに、現在の税制では多額のお金を稼いだ際に、従業員等よりも投資により稼いだ場合の税率が低く設定されています。たくさんお金を稼ごうとする場合、従業員等のジョブでもっと働くよりも、投資で稼いだ方が最終的に自分が自由に使えるお金は多くなります。

 ただし、いきなり従業員や自営業から投資家にジョブチェンジしようとすると、あまりうまくいきません。投資家は、これから成長しそうな会社や不動産を見極めて投資を行いますが、この「見極め」は従業員や自営業の視点からだと非常に難しいです。なぜなら、基本的に従業員は「組織の指示を受けるジョブ」、自営業は「なんでも自分でやるジョブ」だからです。
 特に、会社へ投資する株式投資では「どの会社が成長するか」を見極めますが、成長する会社の条件として、経営者の指示が的確であること、誰かが欠けても問題無く事業が行えるようチーム化していることがあげられます。「どれだけ経営者の指示が的確か」は、普段指示を受ける側の従業員の視点だと見えにくいですし、「どれだけチームで動けているか」はなんでも自分でやってしまう自営業の視点だと見えにくいです。
 なので、現在のジョブが従業員や自営業の人は経営者へのジョブチェンジか、少なくとも経営者の視点で考え判断できるようになる必要があります。

 ここまでをまとめると、「『一生を通してどれだけ自由に使えるお金を増やせたか』で評価される資本主義ゲームでは、競争に飲まれにくく税制上の設定で自由なお金をたくさん持ちやすい投資家のジョブが1番有利である。しかし、いきなり従業員や自営業のジョブから投資家へジョブチェンジするよりも、経営者の視点を獲得してからの方が投資家として成功しやすい」ということになります。

ゲームのルールは変えられるのか
 これまで、資本主義ゲームのルールについて考えを述べてきましたが、どうにもモヤモヤする人がいるかもしれません。
 モヤモヤを言葉にすると、「資本主義ゲームが、自由に使えるお金を増やすほど評価されて幸福になりやすいのはなんとなく分かったし、このゲームで有利なジョブもわかった。だけど、なぜ一番多くのひとが属しており、永久的な競争を真面目に行なっている従業員が苦しくて不幸なんだ。頑張っているのになぜゲームで不利になるんだ。」という感じでしょうか。
 現在の資本主義ゲームは、「どれだけ真面目に頑張ったか」は評価されません。そのため、頑張ることと得られるものが釣り合わない状況が発生します。特に、最近は競争で求められる水準が、どうも大多数の人間の能力を超えてきているように感じています。

 では、このゲームのルールを変えることはできるのでしょうか。
 方法の1つは、「政治によるコントロール」です。人の生活や経済のルールを定める法律は、資本主義ゲームにおける「サブルール」にあたり、4つのジョブの有利・不利を調整したり、ゲームで一時敗退しても復活できるようにしてくれます。
 政治によるコントロールは、「広い範囲に適用される」「基本的に永続する」という長所がありますが、「法律制定まで時間がかかる」「制定してくれる政治家を選び、支持し続けなければならない」という短所もあります。
 もう1つは、「別バージョンのゲームを作って参加する」方法です。資本主義ゲームはバージョンが異なるゲームを作ることができます。具体的には、自由に使えるお金の量だけではなく「どれだけ人に感謝されたか」「どれだけ人を笑顔にしたか」も評価されるゲームを作り、そこに参加者を募って活動します。
 現代のテクノロジーは、「人の行動を継続的に記録する」「国以外でも安全性の高いお金(仮想通貨)を作る」ということを可能にしています。これらのテクノロジーを基に、感謝された・感謝した経験や真面目さを記録して、記録に応じて仮想通貨を渡したり他の人からサービスを受けられれば、それは新しい資本主義ゲーム(感謝主義ゲーム?)になります。

皆さんはどう思いますか。

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