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『ムー公式 実践・超日常英会話』の紹介

 『ムー』という、学研から出ている、約40年にわたって超常現象を扱った記事を掲載している雑誌がある。

 手に取ったことや読んだことのある人がおられるかもしれない。

 ここが、『ムー公式 実践・超日常英会話』を2017年に出版した。

 タイトルから何となく想像がつくかもしれない。

 超常現象に遭遇した時や遭遇したい時に、その体験・状況を英語で言うにはどうしたいいかに応えた、「実践的」な本である。

 楽しいイラスト付きだ。その一部は、リンクしたアマゾンのページで見ることができる。

 表紙の下部には「UFO・幽霊・陰謀・滅亡…何が起きても大丈夫!」とある。

 いや、「滅亡」はまずいだろ、滅亡は(笑)

この本の製作背景

 「はじめに」というところに、この本を企画・製作した背景が書いてあるのだが、ツッコミ所満載で、最初から外していないのが、素晴らしいと言わねばならない。

 書き出しはこうである。

“ネットニュースやSNSの発達によって、世界はぐっと縮まった。そして、その収縮の速度はさらに上がり続けている。こうした傾向は、現実世界も超常現象の世界も変わらない。誰もがさまざまな種類の情報を発信し、受け取りやすくなったため、世界中の人が同じ意味を持つ言葉を共有する時代がやってきた。
 速報性を軸にして考えると、やはり英語が一番強いだろう。それは最も広く使われている言語であるからにほかならない。奇妙な出来事が起きた現場が英語圏であっても英語圏でなくても、伝える手段として最も多く選ばれる言語は英語なのだ。”

 これには異存はないだろうと思う。

 少なくとも、海外の人に発信するなら、「広く使われている言語」は英語といっても、間違いではないだろう。

 問題は、ゲフンゲフン、失礼、面白い(?)のは、ここからだ。

 “いかなる種類の情報であれ――UFOであってもUMAであっても、そして霊現象であっても――、内容は正確に知る必要がある。この本は、あまた存在する情報にちりばめられた真実を拾い上げるのに役立つ、はずである。”

 どんな情報であれ、内容を正確に知る必要があるというのは、その通りだ。

 まして、見間違いや、曖昧な情報、思い込み、妄想、事実の歪曲など、様々な猛者がうごめく超常現象であれば、尚更だ。

 そして、具体例をいくつか挙げる。

 “さらに言うなら、たとえば海外旅行に行ったときに、もしも――あくまでもしも、だが――旅先で日常を超えたミステリアスな事件に巻き込まれてしまったら、この本の知識がピンチに陥ったあなたを救うかもしれない。
 レストランで出てきた水が血のような水で、ボトル入りのミネラルウォーターに取り換えてもらいたいとき、一緒に旅行中の友達がUFOにさらわれ、軍や警察に連絡を取りたいとき。ゴーストツアーの免責事項を確認したいとき。取引先が地球人ではなさそうなとき、いずれも何らかの形で役立つはずだ。”

 「レストランで出てきた水が血のような水で、ボトル入りのミネラルウォーターに取り換えてもらいたい」というのは、もしかするとあるかもしれない。

 水道管の掃除をまともにしていない場所でなら、幽霊の悪戯で起きる可能性もなくはない。

 旅行中、友人がUFOにさらわれた時、軍や警察に連絡を取っても、多分、真面目に応対してもらえない可能性の方が高いような気がする。

 その他の具体例については、後にいくつか、紹介する。なるべく「実用的」で、起こり得る可能性のあるものを紹介したい。

 “この一冊は、あなたが世界中どこにいたとしても、超日常的な日常の助けとなる絶好のコンパニオンブックとなってくれるだろう。”

全8章で構成されている

 本自体は、全8章で構成されている。

 第1章 UFO・エイリアン
 第2章 陰謀・秘密結社
 第3章 心霊・怪談
 第4章 スピリチュアル
 第5章 超能力・魔人・神人
 第6章 UMA・怪人
 第7章 古代文明
 第8章 異常気象・滅亡

 3・4・5は、広義の「スピリチュアル」と言っていいだろうが、敢えて、分類を分けたという印象を抱いている。

 各章では、10個の英文がイラストや説明と共に掲載されている。

 「実践」と銘打っているだけあって、構成も凝っている。

 日本語原文と英文、それを表わすイラスト、注意したい表現を解説する「キーワード解説」、さらにステップアップの表現、そして短い助言という形式である。

 さらに各章の最後には、”ADDITIONAL TERMS”と題して、関連の英単語と簡単な日本語による説明がつけられている。

第1章 UFO・エイリアン

 [1-1]のタイトルは、「UFO多発地帯 UFO sighting hot spots」である。

 リュックサックを背負って、そこから「51」と描かれた風船が飛んでいて、また宇宙人の顔がプリントされたシャツを着たオタクっぽい男性が、警官(なぜか日本の警察)に道を尋ねる場面のイラストが描かれている。

 例えば、アメリカのロズウェルやエリア51の近くに行った時を想定して、言うのかもしれない。

 日本語原文:この街でUFOがよく出る場所を教えてください。

 英文:Where is the UFO sighting hot spots here in this town?

 声に出して言ってみよう!

 「キーワード解説」で、”hot spot”という表現には、「多く出現する」というニュアンスがあり、そこから転じて、「犯罪多発地帯や山火事多発地帯という意味合いでも使われる」と述べられている。

 自分で使うことはなくとも、この知識を知っておけば、英文読解において、役立つことがあるかもしれない。

 “STEP UP!”では、三つの例文が紹介されているが、一つだけ引用しよう。
 
 日本語原文:今日はよく晴れているから、きっとUFOが見られるぞ!

 英文:It’s a fine day today, I bet we can spot some UFOs!

 「見る」という意味の単語には、”watch”や”look”があるが、UFOを「見つける」「広い空間の中に見出す」という意味合いなら、”find”ではなく”spot”がベターだと、解説されている。

 こういうところも、「実践」と銘打ってあるだけで、わかりやすい。

 ネタ本だが、きちんと(?)、真面目に作ってある。


 [1-6]のタイトルは、「呼びかける Calling」

 これは、最初見た時、「(; ・∀・)マジかっ!!」とぶったまげたものである。

 自分でUFOを呼ぶ状況が想定されている。そういうツアーに行った時だろうか。

 日本語原文:右手を空に向けて、ゆんゆんゆんゆん……と呼びかけてください。

 英文:Say “Yoon, yoon, yoon, yoon” while holding your right palm up to the sky.

(; ・∀・)「ゆんゆんゆんゆん」って、英語になるんだ・・・


[1-7]「誘拐事件 Abduction」

 これは、「はじめに」で触れていた、「一緒に旅行中の友達がUFOにさらわれ、軍や警察に連絡を取りたいとき」というケースである。

 日本語原文:友人が異星人に誘拐されたので、警察と軍隊を呼んでください。

 英文:I need you to call the police AND the military, because my friend was abducted by aliens.

 実際、経験した人が世界中にいるわけで、これを言う機会があるかもしれない。

 が、警察や軍隊がやってくる以前に、言った本人が病院に収容される結末が待っているような気もする。


 それでは、独断と偏見で、いくつかピックアップしてみよう。

第2章 陰謀・秘密結社~この世の仕組み~

 ご丁寧に、三角形に目のマークが入った表紙タイトルである(笑)。

 [2-2]「計画 Plan (Schedule, Scheme)」
 日本語原文:ともあれ計画通りだ。
 英文:Everything is on schedule so far anyway.

 『DEATH NOTE』の主人公夜神月の顔をして言うと、なおいいかもしれない。

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 これの”STEP UP!”の一つが面白い。

日本語原文:邪魔者はすべて排除する。絶対にだ!
英文:All obstacles must be eliminated, definitely!

 テロリストやジャイアンが言いそうなことだ。

 “eliminate”は、日常会話ではまず絶対に使わない(笑)。


第3章 心霊・怪談~霊との遭遇~

 [3-1]「幽霊 Ghosts」
 日本語原文:幽霊が出るので、部屋を替えてください。
 英文:I need to get another room because I’m seeing a ghost in here.

 これは、いかにも出そうな場所や、出るという噂の場所では、使う機会がありそうだ。

 旅館やホテルに泊まる時、荷解きをする前に部屋の中央で、神社でするように柏手を二回打つと、お祓いになる。

 所持していれば、ファブリーズでも大丈夫。

 これの”STEP UP”に、「はじめに」にあった、ミネラルウォーターへの交換を求める文章が掲載されているので紹介しよう。

日本語原文:この水は血の味がするので、ミネラルウォーターを用意してください。
英文:Can I have a bottle of mineral water please? This one tastes like blood.

 もっとも、鉄分が強いだけの可能性もある。

 ヨーロッパの古いお城でのディナーパーティーで出された水の味が血に近かったら、……それは心霊現象かもしれない。

|Λ△Λ ウフフ
| ´∀`)
| つ つ
|  ノ
↑垂れ目の幽霊さん


 [3-9]「悪夢 Nightmare」
 日本語原文:悪夢を見たので、今日は会社を休みます。
 英文:The dream I had last night was so ominous that I think I should take a day off.

 これの「キーワード解説」は、本をお読みいただくとして、これを言う人の会社でのポジションが平社員なら、一発で「もうずっと寝てていいよ」と上司に言われかねない言葉だろう。


第4章 スピリチュアル~上位存在のささやき~

 [4-7]「パワースポット Energy vortex」
 日本語原文:おすすめのパワースポットへ案内してください。
 英文:Please take me to the energy vortex you recommend.

 「パワースポット」は和製英語なので、英語圏の人には通じません。

 [4-10]「瞑想 Meditation」
 日本語原文:無心で素数を数えていたら、瞑想状態に入れた。
 英文:I could go into a meditative state by counting prime numbers insatiently.

 「JOJOの奇妙な冒険第6部ストーンオーシャン」に出て来る、プッチ神父を思わせる。

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第5章 超人・魔人・神人~私はスーパーナチュラル~

 [5-2]「スプーン曲げ Spoon bending」
 日本語原文:スプーンやフォークを曲げたら、ちゃんと元に戻しておきなさい!
 英文:When you bend spoons or forks, put them back the way they were!

 スプーン曲げは、内部の分子構造を変えて曲げているので、完全な復元は不可能という意味のことが、「キーワード解説」で述べられている。

 ちなみに、ユリ・ゲラーが最初に曲げて見せたのは、スプーンではなく、フォークである。

 [5-7]「風水 Feng Shui」
 日本語原文:風水的に、冷蔵庫の上に電子レンジを置いてはいけません。
 英文:From a feng shui point of view, you mustn’t place a microwave oven on a fridge.

 (; ・∀・)「風水的」以前に、いろいろ危ないような


第6章 UMA・怪人~モンスター確認中~

 [6-4]「巨大生物 Massive creature」
“STEP UP!”より
 日本語原文:怪獣に家を壊されたら、損害保険金は受け取れるのだろうか?
 英文:Can I get the insurance money if a Kaiju appears and tears my house into pieces?

 ゴジラやウルトラマンに家をぶっ壊されても、文句を言う人が描かれないのは、なぜなのだろう。

 解説によれば、「動物は巨大であっても物として扱われるので、物体の落下・飛来・衝突などによる損害に対しては保険金が支払われる」と明言されている。

 ただ、地響きなどの間接的損害と自衛隊の流れ弾の被害については、賠償されるのかは不明だ。

 それが、広範囲に渡っていれば、特別措置法の制定で、何らかの救済策が検討される可能性はある。


[6-5]「巨人 Giants」
“STEP UP!”より
日本語原文:太古、人間と巨人族は共存していた。
英文:In ancient times, humans and giants coexisted with each other.

 これは、知っている人は知っている。


 [6-7]「妖精 Fairies」
 日本語原文:朝食は、人間ふたりと妖精さんの分を用意してください。
 英文:I would like you to prepare a breakfast for two people and one fairy.

 料金は3人分なのだろう。あるいは、妖精の大きさによっては、2.5人分かな。

 素直に、2.5人分出した方が面倒がないと思う。

第7章 古代文明~古代の叡智を求めて~ 

 この章のタイトルイラストは、アラハバキである。

 また、他の章に比べると、例文内容が比較的まともなので、紹介は一個だけである。

 [7-4]「巨石 Gigantic stones」
 “STEP UP!”より
 日本語原文:モアイ像は、自分で歩いて岸辺までたどり着いた。
 英文:Moai statues walked spontaneously to the shore.

 音で運んだ説、元々は生きた巨人で、長い年月の間、あの形になったとか、諸説ありますね。


第8章 異常気象・滅亡~地球はいつも大ピンチ~

 [8-5]「バミューダ海域 Bermuda Triangle」
 日本語原文:天候のため、この船はバミューダ・トライアングルを突っ切る航路に入ります。
 英文:Due to the bad weather, this ship will sail straight through the Bermuda Triangle.

 (; ・∀・)ちょっと待て!!

 と叫びたくなるようなアナウンスだ。

 運が良ければ、50年後に戻ってこられるかもしれない。


 [8-6]「気象兵器 Weather weapons」
 日本語原文:学園祭が嫌すぎて、気象兵器で台風を呼んだ。
 英文:I was so not in the mood for the school festival, so I summoned a typhoon by using a weather weapon.

 まったく、どんだけ嫌なんだよ!


 [8-9]「ワープトンネル Warp Tunnel」
 “STEP UP!”より
 日本語原文:あなたの配属先は火星支社です。
 英文:All right, you are assigned to the Mars branch.

 解説に「その火星支社というのは、どの部署もレプティリアンばかりだろう。地球支配階級にお近づきになれるので、エリートコースのはず」とある。

 が、もし地球支配してきたレプティリアンなら、恐怖のエネルギーが大好物なので、上司はきっと、部下の恐怖のエネルギーを吸い取るために、苛烈なパワハラをするのではないか、という予測も成り立つ。

 火星はそんなに魅力的な場所なのだろうか。


 選んだ内容・文章も面白いが、イラストや他の短い解説も面白い。

 是非、本を手にとって、開いていただきたい。

( ´∀`)サポート本当にありがとうございます!!😭😭😭🥰🥰🥰 (  ・ ∀ ・)ご恩返しするためにも、今後も一生懸命頑張ります!!😊😊😊