散々こすり倒したから全文載っけてもいいネタ① 漫才「寿司屋」


noteをはじめたらまずやろうと思ってたのが、ネタの台本丸ごと載せることでして。

理由としては僕があまりにも声が小さくこもり気味の声質なのでネタ本来の面白さを最大限伝えきれてないんじゃないかというのと(実力不足)、相方とネタ合わせしててイマイチしっくりこない時「活字やとおもろいのになぁ」と二人でぼやいてたので(実力不足)、いっそ字面でも確認いただきたいと思った為でございます。お付き合いくださいませ。

で、まず一発目に載せるネタですが、漫才「寿司屋」です。大学時代からやってるネタなので、もう4年前に作ったものです。安定して笑っていただけるのでだいぶ信頼しており、ここぞという時にやってはこすり倒してきました。まぁ去年のM-1二回戦で落ちたのでもうしばらくやらないと思いますが。なので、ここらで全文載せて成仏させてやろうかと。劇場で2,3分尺でやるために端折ってる箇所多々あります、フルサイズでお目通しくださいませ~~。



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漫才「寿司屋」(初演 2016年夏頃)


(挨拶→爆笑のツカミ)

河野:最近、なんか美味しいもの食べましたか。

澤田:俺は、ルマンドかな。

河野:そんなんでいいんか。おいしいけども。

澤田:お前は最近何食べたん。

河野:俺は、お寿司。

澤田:いいねえ。俺もお寿司大好き。

河野:いいよねぇ。それで俺思うんですけども、もし将来大金持ちになれたら、カウンターだけのお寿司屋さんに行くのが夢なんですよねぇ。

澤田:あ~。俺はね、もし将来大金持ちになれたら、カウンターだけのお寿司屋さんを開くのが夢なんですよねぇ。

(二人、目を合わせハニカむ)

河野:がらがら。

澤田:ちょっとお客さん!あんまり醤油掛けすぎないで!ちょっとお客さん!うちの寿司は写真撮影厳禁ですよ!

河野:うわ、こだわり強そうな大将やな~。これは期待できるで。

澤田:ちょっとお客さん!

河野:あ、ちょっと大きい声でしゃべりすぎたかな。

澤田:(首にレイをかけて)ちょうど来店10万人目のお客様です!

河野:カウンターだけの寿司屋のやることか?雰囲気に合わんなぁ。

澤田:こちらどうぞ。

河野:なんですか。

澤田:当店マスコットキャラのキーホルダーです。

河野:結構です。こんなん作らん方がいいですよ、寿司屋はもっと厳かな感じでおらんと。

澤田:(人数数えてる動き)一名様ですね。

河野:何数えとってん。手の動きなんやってん。

澤田:最近、手の震えが止まらないんですよ。

河野:病院行って来いよ。大丈夫ですか、寿司握れます?

澤田:大丈夫です。お客様、おしぼりとお飲み物なんですが、どちらになさいますか。

河野:両方くれよ。なんでどっちかしかくれへんねん。

澤田:かしこまりました、どうぞ(おしぼり広げて渡す動き)

河野:あ、ちゃんとした店やわ。こうやって手渡しでね。

澤田:すいません、巻き寿司でした。

河野:早よ気づけや。今広げてたやろ。

澤田:すいません、こちらおしぼりです。お飲み物どうしましょう?

河野:とりあえず、生で。

澤田:あいよ、生で!(背負ってるサーバーから注ぐ動き)プシュー。

河野:売り子か。ビールサーバーて。

澤田:700円です。

河野:売り子の値段やん。なんで寿司屋来て、紙コップでビール飲まなあかんねん。

澤田:明日、商店街のみんなで草野球するんで。

河野:だから何やねん。一回それは忘れて、仕事に集中してくださいよ。

澤田:すいません、何いきましょう!

河野:おすすめの握りは?

澤田:フォークとスライダー。

河野:言ったそばから。言ったそばから野球。次言うたら、野球できひん体にしますよ?

澤田:もう手痛めてます。

河野:(寿司握る動き)こっちの方で?

澤田:(ボール投げる動き)こっちの方で。

河野:ほどほどにしとけよ。オススメ教えてください。

澤田:ウニといくらですかね。

河野:いや~、ちょっと一発目から軍艦ってのは。

澤田:いや、握りですよ?

河野:握んな、そんなもん。手ベトベトになるやろ。もうええわ、中トロちょうだい。

澤田:あいよ、中トロ一丁ね!お客さんね、あんまり自慢じゃないですけど、ウチよく芸能人の方が来るんですよ。

河野:へー、そんな美味しいんや。

澤田:皆さん美味しいって仰ってくれるんですけども、特にわさびを褒めていただくんですよ。

河野:わさび?珍しいですね。

澤田:最初はツンとするんですけどね、ほんのり甘みが出てきて、ふぁーとしてきて、全てのことがどうでも良くなるんです。

河野:ホンマにわさびですか、それ?脱法的なやつじゃないんですか?

澤田:お客さん、ウチ良く芸能人の方が来るんですよ。

河野:どのタイミングで言うてんねん。芸能人、勘違いされるやろ。絶対わさび入れるなよ。

澤田:(握っては捨てる動きを3回)

河野:何個、中トロミスるんですか。勿体無い。

澤田:(ボール投げる動き)手痛めてるもんで。

河野:もういいわ、それ。しっかりして、僕ここ美味しいって聞いて来たんですよ?

澤田:それは嬉しいですねぇ、こんな線路沿いの人目につかない店なのに。ちょっと嬉しいから、この店の秘密教えちゃうおうかな。

河野:秘密?

澤田:はい、ここの窓あるでしょ?(窓から手を出す動き)電車触れるんですよ。

河野:やめた方がいいですよ。危なすぎる。

澤田:線路沿いなんでね。

河野:理由になってない。だからってなんで触るんですか。

澤田:っ痛〜(人数数える動き)

河野:手の震えこれが原因やん。これで手痛めてるやん。

澤田:中トロです。

河野:手洗えよ。電車触った手で。真面目に握ってよ。

澤田:すいません、分かりました。(握ってた寿司を食べる動き)

河野:食べるなよ、きったねぇな。

澤田:(握りながら)いいえ私は蠍座の女、

河野:ちょっと。何歌ってるんですか。唾飛ぶやんか。

澤田:いや、私歌いながら握った方が美味しくできるんですよ。

河野:どういう仕組みや。美味しなるならええわ、じゃあ。やって早く。

澤田:もし君に、一つだけ、強がりを言えるのなら〜、もう恋なんてしないなんて!いわな、中トロです。

河野:握ってる間だけなんや。気持ちいいところで止まったやん。(食べて)…まあまあまあうまいわ。

澤田:ね?不味くはないでしょ?

河野:腕は確かやけど。

澤田:はい、不味くはないでしょ?

河野:美味しいでしょって聞けよ。なんやねん、不味くはないでしょて。自信ないんか。

澤田:次何行きますか。

河野:タコで。

澤田:あいよ、タコうたいまーす。

河野:入りまーすみたいに言うなよ。

澤田:今から一緒に、これから一緒に、殴りに行こうかー!ヤー!ヤー、ヤー!ヤー、ヤーヤヤー!

河野:わさび抜いてへんだやろ。さっき食べたやつ。美川、槇原、チャゲアス歌いながら寿司握るって、絶対その怪しいわさび入ってたやんけ。

澤田:ヤーヤーヤー!(拳を突き上げる)

河野:もうグーで握ってるやん。絶対わさび食べたよ。

澤田:やめてください、シャブなんかやってないですよ。

河野:シャブって言うてるやん。認めたやん、もう。

澤田:ろっこうおろしのー。

河野:草野球ぶり返すな。楽しみなのは分かったから。忘れてください。

澤田:お客さん、ひどいこと言いますね。人間息抜きを忘れたらおしまいです。俺からね、俺から、寿司をとったら、何が残るってんです!?

河野:野球忘れろ言うてんねん。何勝手に寿司に話すり替えてんすか。寿司をとったら、野球が残りますよ。

澤田:(満面の笑み)

河野:大喜びやんけ。アンタ、寿司一つもまともに握られへんのか。

澤田:分かりました、じゃあ私の本気を見てください。とっておきの一貫です。どうぞ!

河野:うまいやん。やればできるやん。何これ?

澤田:ルマンド。

河野:寿司わい。もうええわ。


(作・河野雅治)

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