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タイのチームで行っている社内施策を紹介します①

8年前に「東南アジアでNo.1の人事コンサルチームを作る!」というビジョンを掲げて起業しました。

それから8年が経ち、そのビジョンには到達してはいないものの、コロナ危機も乗り越えてビジネスは堅調に推移しており、何よりクライアントから「とても良いチームですね」と言って頂けることが増えたと思っています。

そこで今日は、僕たちが普段タイの組織で行っている社内施策を紹介してみます。特別なことはそれほどありませんが、当たり前のことを徹底することが大切だと思っています。

写真:社内イベントの様子

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1. リクルーティング:チーム全員で採用に責任を持つ

人事は「採用が8割」だと思っています。とりわけタイではジョブマーケットが売り手市場であり、優秀な人を捕まえるのは簡単ではありません。採用には、創業以来、時間とエネルギーをかけて取り組むと決めて注力してきました。

選考は、複数回の面接を経て、最終段階はコンサルタントとしての資質を見るためのプレゼンをしてもらいます(バックオフィスのスタッフの場合は自己紹介のプレゼンをしてもらいます)。

この最終プレゼンには「可能な限りチーム全員参加」をルールとしています。

一つは、「相性を確かめる」ため。いわゆるChemistry Check です。これから長い時間一緒に働く人を選ぶわけですから、「一緒に働けそう」という感覚を持てることはとても大事です。

もう一つは「自分たちも責任を持ってその人を選んだ」ということにお互いにコミットするためです。入社すると、良いところも悪いところも見えてきます。その時に、密室で選んで入社させてしまうと、「なぜあんな人を入社させたんだ」という声も出てきかねません。自分たちの仲間は自分たちで責任を持って選ぶという感覚を意識を持つことが大切だと思っています。瀬下共通で大事だなことだと思いますが、仲間意識を大切にするタイだからこそ特に重要だと思っています。

ちなみにこの全員出席のプレゼンの際のQ&Aで、応募者から決まって「皆さんはどうしてこの会社に入ったんですか?」という質問が出ます。それに対して一人一人が入社のきっかけを口々にシェアするということが起きます。これはとても良い対話の機会となっており、組織開発的な副次効果も感じています。

なお既存社員で様々な職場を経験してきたスタッフ曰く「こんなに大変な採用プロセスは初めてだった」と言われました。タイは人の動きが速いので素速く内定を出さないと他社に奪われてしまうというのが常識ですが、弊社はその逆張りで、じっくり人を見極めることを大切にしています。

それくらい採用は投資対効果の高いプロセスだと思いますし、相互確認の機会が多いのは、優秀な人ほど「人材を大事にする会社だ」と思ってくれると考えています。(なお、無駄に時間をかけるという意味ではなく、必要なプロセスを妥協なく組み込むということです)

写真:社内セッションの様子

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2.オンボーディング:活躍を全力で支援する

採用した後は、オンボーディング(受け入れ)までしっかり意識して取り組むことが重要です。一般的には、この採用後のプロセスがおろそかにされがちです。

タイではプロベーション(試用期間:一般的には119日)の運用が厳密になされており、期間内で期待に届かない場合は雇用解除をすることが出来ますし、一般的にプロベーションで不可というケースはよく見られます。

私は「プロベーションを成功裏に通過させるのは会社の仕事」だと考えています。基準を満たして選考を通過したわけですから、仮に活躍できなかったら周囲のサポートが足りなかった、と考えるべきだと思っています。

オンボーディングは様々な要素がありますが、つまるところ「いかにチームの関係性の輪に入れるか」だと思っています。うまくチームに溶け込めれば、必要なサポートも得られるし、本人も安心して実力を発揮できます。

そのために、

・チームビルディングを兼ねたオリエンテーション(新人に説明するだけでなく既存メンバーも入る)
・インプット担当を各スタッフに割り振り、オンボーディングに少しずつ協力してもらう
・メンバー全員とのカジュアル1オン1で、互いの人となりを知る

と言ったことに取り組んでいます。

歓迎会などももちろんやります。一緒に食事をすることが重要な意味を持つタイでは、パーティーはとても大事です。一方でただの食事会だと隣の席の人としか喋らなかったりもするので、実は組織的な効果としては十分ではないことがあります。対話を生む仕掛けは意図的にデザインしないといけません。

また試用期間の最後にはプレゼンを用意しています。「入社から試用期間終了までにどういう成果を出したのか、学んだことは何か」を発表してもらうということを最初に依頼しておきます。そのゴールを意識するので、本人も目的意識を持って試用期間を過ごすことが出来ます。

注意したいのが「お手並み拝見」モードで試用期間を過ごしてしまうことです。周囲の支援や適切な環境を整えてあげないと、しかに優秀人材といえど数カ月でパフォーマンスを上げることは難しいでしょう。「とりあえず採用して、あとは本人次第だ」ではなく「一度信じると決めたら全力で活躍を支援する」というスタンスで行きたいものです。

写真:オンボーディングセッションの一部

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3.リフレクション:習慣的な振り返りから成長する


育成は基本はOJTで行っていきます。未経験の場合はプロジェクトにアサインして見習いからスタートし、先輩の補助をしながら業務を覚えていきます。

もっとも重視しているのは「振り返り(Reflection)」です。リフレクションは、弊社の企業理念の一部であるWayにも含まれていて、成長に関係する重要な習慣だと思っています。

写真:弊社のWay(行動指針)

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Self-Starting(自ら動く):当事者意識を持ち自ら動こう。
Professional Quality(プロの品質):顧客の期待に沿う成果をスピーディに出そう。
Visualization (視覚化する):コミュニケーションを可視化し、相互理解を作って組織成果を高めよう。
Reflection & Feedback (振り返り、フィードバックする):定期的に振り返り、率直で建設的なフィードバックを送りあうことで成長しよう。
Repect(尊重する):個々のアイデンティティや考えを尊重し、建設的なコミュニケーションでより良い解を生み出そう。
Celebrate(お祝いする):常に良い結果と努力を認めあい感謝しよう。笑顔とポジティブな空気を保とう。

具体的には以下のような施策をやっています。

●週次ミーティング:今の気持ちや考えていることを共有する
●月次ミーティング:その月のProud(誇らしいこと)とWorry(心配なこと)を共有する
●上司との1オン1:その月の業務や自己成長についての振り返りをする

という感じで、色々な角度から自分自身について内省をします。

人事の世界にいる方は良くご存じの「経験学習サイクル」が表す通り、人間の内面的な成長は「経験→振り返り→教訓化→新たな行動」というサイクルで成し遂げられます。

言語化が出来ていないということは、自分が成長していることに気づけていない、ということになります。ですので、振り返って言葉にするスキルと、成長スピードの速さは明確な相関関係があると思っています。

育成施策は色々ありますが、他に一つ上げるとしたら「読書会」です。

毎月、Harvard Business Reviewの記事をネットから選んできて、みんなで同じものを読みます。ただ読むだけでなく感想を持ち寄って共有します。これも、いわば振り返りです。シンプルな施策ですが、非常に投資対効果が高いので、広くお勧めしたい活動です。(難しい記事でなくてOKですので、やることが大事だと思います)

長くなりましたので、いったん記事を分けます。次回は目標管理手法や評価などについて書いてみたいと思います。ここまでお読みいただき有難うございました。

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