ショートショート「悪魔」その4

ノックの音が。

ここは宇宙船の中。

外は真空の世界で、人間どころか

生物は生存できない環境。

例外的に「クマムシ」は真空でも生きられるんだっけ?

しかし、ノックをしている。

クマムシがノックをするわけないし。

やはりこれは、わたしが宇宙に長期滞在している影響だろうか?

コンコン

やっぱり、これは本物のノックに思える。

まさかとは思うが、二重ハッチで気圧を調整して

開けてみる。

そこには、悪魔がいた。

「こんにちは、探しましたよ

こんな宇宙に出られているとは思いもしませんでした」

「どこからこられたんです? というか外は真空のはずですが。」

「悪魔ですので真空も大丈夫なんですよ」

「ほほう、そういうものなのか」

「それはそうと、3つの願い事を叶えて差し上げますが、なんでもどうぞ」

「唐突ですね、なにかお急ぎの理由でも?」

「いえ、最近は情報が多くて私の仕事もしにくくなりまして

なんとか願い事を3ついっていただけないでしょうか?」

「願い事をいうのはいいですが、最後に魂を取るのでは?」

「やはり、ご存知でしたか。

宇宙飛行士になられるだけあって博学ですね」

そういえば、わたしのいままでの願いは

宇宙飛行士になって宇宙に出ることだった、

そのためにかなりの時間をその勉強に費やしてきた。

もっとはやく悪魔に出会えていたら

こんな苦労をしなくてもよかったのかもしれない。

そう思うとなんだか腹が立ってきた。

「では、1つ目の願いは

2つ目、3つ目の願いは遠慮するので

私に関わらないでくれ」

悪魔は何も言わずに消えていった。

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