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主に展覧会の感想/展覧会のテーマやイメージを着想源とした短編小説の場として。 2022.3月からブログ「アートにいっぷく」(https://yomotsublog.com/)をスタート。

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    【よもつ茶道記】2022/2/26

      • 【展覧会小説】玉虫の夢はピンクに踊る

         お婆ちゃんの家は不思議な家だった。玄関を入ってすぐのロビーには不思議な彫刻がいつも出迎えていた。その中でも足にたくさんの引き出しを付けた女性像(心の中で密かに「のっぺらぼうの女神」と呼んでいた)は、上半身を大きく後ろに反らせ、しなやかに腕を伸ばし、この館の守護神のように威厳を湛えロビーの中央に立っていた。幼かった私はいつもその像の前を通り過ぎるのが怖かった。目も鼻も口もないのっぺらぼうのその顔が、だからこそ360度どの角度からも私を見ていて、私の一挙手一投足に目を光らせ(眼

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        • 『線上の別れ』 #創作大賞応募

          「永遠は直線なんだ。」 初めて彼と話したのは大学の新歓コンパの花見でのことだった。何のサークルのコンパだったかは覚えていない。彼は1つ上の学年で、コンパ主催である団体に所属する友人から場所取りを頼まれ、そのまま宴会にも居ただけで、私もまた入学式後の学部説明会の時に近くにいた子に誘われて参加しただけだった。その場に上手く馴染めなかった私は、同じようにその場に溶け込んでいなかった彼に気づいて話しかけた。居心地の悪い者同士で肩を寄せ合いたかったのかもしれない。 「永遠が直線??

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          • 片岡仁左衛門の『連獅子』に若冲の鶏をみる

            令和3年11月26日金曜日、割れんばかりの拍手が鳴り響く。いつまでもいつまでも続き、止む様子がないーー。歌舞伎座11月公演「吉例顔見世大歌舞伎」、千穐楽の日にそれは起こった。  今月の歌舞伎座第二部は、十世坂東三津五郎の七回忌追善狂言『寿曽我対面』で、子息・坂東巳之助が曽我五郎を勤め、尾上菊五郎による工藤への敵討ちに挑む勇ましい姿を見せた。亡き父の仇を討つ物語だが、(尾上)菊五郎劇団で活躍した父・三津五郎とその座頭である当代菊五郎。世代的に言えば「菊五郎」という大看板の役者

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            「十六代襲名記念 樂吉左衞門」展@日本橋高島屋

            只今、日本橋高島屋の美術画廊にて、令和元年に樂家16代目当主に襲名した樂吉左衞門展が開催されている。 千利休が長次郎に作らせた茶碗。黒と赤のその茶碗は利休の茶の湯の精神を端的に表すものとされ、その後今日までの約400年間、樂家は一子相伝で茶碗を作り続けてきた。 2016年に京都国立近代美術館、2017年に東京国立近代美術館で「茶碗の中の宇宙」展で歴代の樂家当主の茶碗、そして当時の当主である15代樂吉左衞門(現・直入〈じきにゅう〉)の茶碗を一望する展覧会が行われた。当時私は

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            「小早川秋聲 旅する画家の鎮魂歌」@東京ステーションギャラリー

             もしあなたが「小早川秋聲」の名を聞いて「誰?」もしくは「あぁ《國之楯》(とか戦争画)を描いている人だよね」という認識であれば、今すぐ東京ステーションギャラリーに向ってほしい。そしてその幅広い画業と上手さに打ち震えればいい。いや、そうならざるを得ないだろう。 …と偉そうな物言いをしているが、かくいう私自身数年前までは全く知らず、2019年に鹿島美術で観た《國之楯》が強烈に記憶に残っていただけであった。だからこそ今回の小早川秋聲の回顧展には関心があった。チラチラと舞い込んでく

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            「能Noh 秋色モード」@大倉集古館

             9月は全然暑くて、10月に入ってもまだ暑く、時折来た台風や雨の降る日はだけは寒くて、「そろそろ夏が終わるなぁ」と思った矢先に途端に寒くなった。例年以上に寒暖の差が急激で、「秋」という季節は長い夏と冬の境目でしかなくなったのではないか、日本の「四季」は最早観念上にしかないのではないか、とさえ感じる。先月は”中秋の名月”が少し話題にもなり秋らしいイベントもあるにはあったが、肌で感じる「秋らしい時間」があまりにもなかった。これから訪れるのかもしれないが、もしかしたらそんな間もなく

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            「美男におわす」展@埼玉県立近代美術館

             埼玉県立近代美術館で開催中の「美男におわす」展。正直、タイトルを最初に聞いた時は「狙いに行ってるなー」という、ちょっと斜め上から見下す感じで捉えていた。社会全般において、また美術業界においてジェンダーの問題が湧いては消え、湧いては消える現状の中で、「だかこそ敢えてやりました!」感があったのだ。そんな私がなぜ結局観に行ったのか。  図録掲載の学芸員の座談会によればこれはかつて開催された「美少女の美術史」展から「なら次は美少年で…」というところから企画が出発したようである。「美

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            「川端龍子vs.高橋龍太郎コレクション」@大田区立龍子記念館

             近年、日本の古美術や近代の美術作品と現代アートのコラボレーションを謳う展覧会が多くなっているように感じる。”個性”、あるいは”作家の思想(新心情)”の現れとして語られがちな「現代アート」と、歴史上の”系譜(系統)”として語られがちな「近代以前の美術」、両者を同時に展示することで現代アート側としては単なる「個」の表出ではない普遍性を提示しやすく、また古美術側としては、遠い昔に享受されたものの「化石」ではないことを訴求することが期待されての事だろう。  そして、この9月よりまた

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            天使の手を握り、悪魔と契約したアシリパーー救済者としての杉元と尾形

            北海道を舞台に、日露戦争で”不死身の杉元”と言われた杉元佐一と、アイヌ民族の少女アシ(リ)パ(※本来の「リ」の表記は小文字)が、アイヌの金塊を求めて様々な冒険と試練を乗り越える『ゴールデンカムイ』。連載が最終章に入るタイミングで、webで全話無料公開という大太っ腹な企画で本作を一気読みした。以前にも網走監獄のあたりまで単行本で読んでいていたが、「まぁ面白いな」位だったのだが、今回改めて最新話まで読んでめちゃくちゃハマってしまった。ここ一週間は『ゴールデンカムイ』の事ばかり考え

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            東京都美術館「イサム・ノグチ 発見の道」展

            東京都美術館で開催中の「イサム・ノグチ展」に行ってきた。恥ずかしながら私のイサム・ノグチ知識は「北海道モエレ沼公園の設計をした人」位しかなく、ずっと掴みどころのない存在だった(勉強しろよというツッコミはご容赦願いたい)。多分あらゆるところでちょくちょく目にする事はあっただろうが、イサム・ノグチという人物(作品)の全貌を俯瞰した事がなかった。そんな私にとって本展はまたとない絶好の機会となった。 「イサム・ノグチ 発見の道」展 会期:2021年4月24日(土)~8月29日(日)

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            東京藝大「コレクション展2021」&東博「聖徳太子と法隆寺展」

            東博の「聖徳太子と法隆寺展」を友人と行く予定を立てた。事前予約制なので、とりあえず土曜の13時~で予約したが、何か他の展覧会とハシゴできないかと思っていたところ、ちょうど東京藝術大学美術館のコレクション展が開催されているということで、これは僥倖!と思い、午前中に藝大、午後に東博という上野の中でも特にピンポイントにエリアを固めた。 聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」  会期:2021年7月13日(火)~9月5日(日) 会場:東京国立博物館 平成館 開館時間

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            「お前、だれ⁉」@シブゲキ

            ここ数年の私の貢ぎ先と言ってもいいダンスパフォーマンスグループ「s**t kingz(シットキングス、以下シッキン)」のkazukiとNOPPOの2人が、また新たな扉を開いた。今回彼らが開いた扉は・・・ 「お笑い×ダンス」 脚本にかもめんたるの川崎う大、監修にフジテレビの竹内誠を迎え、ダンサー、振付師としてキャリアを積んできたkazukiとNOPPOがコントに挑戦する。お笑いが好きなkazukiが幼馴染みでチームメイトでもあるNOPPOを誘って実現した今回のコントライブ、

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            会田誠展「愛国が止まらない」@ミヅマアートギャラリー

            7月9日(金)。在宅勤務を午前中で終え、午後は歌舞伎座の第2部を鑑賞。1Fの売店で売っていた京都の名物「出町ふたば」の豆餅を観劇後に2つペロッと平らげ、向かったのは市ヶ谷にあるミヅマアートギャラリー。数日前にtwitterで下記の投稿を目にしたからだ。 何ならこの映像だけでも十分大迫力なのだけど、「生で見ないと!」と直感して、急遽予定に組み込んだ。あいにくの雨の中、夕方5時で閉廊1時間前にもかかわらず私を動かしたのは、やがて発令される見込みの「緊急事態宣言」のことがあったか

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            ”美術館を楽しむ”とは?ーー「マーク・マンダース」展を通じて

            先日東京都現代美術館の「マーク・マンダース」展に行ってきた。展覧会の内容は実に充実していた。(展覧会の感想は下記の記事をご覧ください。) 展覧会自体は素晴らしかったのだが、その周囲の事において疑問に思うトピックが2つあった。その2つに関する究極の問いが、今回の記事のタイトルにしている「”美術館を”楽しむとは?」という事になのだが、まずはその2つのトピックについて書いていく。 1.キャプションのない展示は是か非か「マーク・マンダース」展では会場内でほぼ一切ない。詳しく言えば

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            「マーク・マンダースの不在」展@東京都現代美術館

            6月20日(日)。当初はサントリー美術館の「ミネアポリス美術館展」に行く予定でいたが、とある展覧会の閉幕が近づいていると知って急遽、予定を変更した。(ごめんねサントリー。27日の閉幕までに必ず行きます!) それが東京都現代美術館の「マーク・マンダース マーク・マンダースの不在」展。 マンダースは、1968年オランダのフォルケル生まれ。現在はベルギーのロンセにスタジオを構えています。1986年、18歳のときに、自伝的な要素を含む小説執筆の試みを契機に得たと言う「建物としての

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