ライフキャリア -老後楽しく暮らすには-
両親が私の自宅から自転車で10分程度の介護付き老人ホームに引っ越してもうすぐ10ヶ月になる。それ以前3年住んだサ高住への不満が募っており、父の認知症発症をきっかけに “終の棲家” となるであろうホームへ移ったのだ。
引越しに纏わるエピソードを書き留めたのがこちら。
入居前のヒアリングでケアマネージャーが母をいたく感激させる言葉を語られた。「入居される方にいかに穏やかにゆったりと生活して頂けるか、私たちはそれだけを考えています。」
サ高住の生活で失望・イライラを感じることの多かった母の期待はこの言葉で大きく膨らんだのだ。やっと安心して暮らせると。。
ところが、その期待は引越しのその日から裏切られる(?)ことになる。通常のマンションと変わらなかったサ高住での生活とはゴミの捨て方一つとっても違うのだが、そういったルールやお作法的なことの説明があまりなく、訊くと事務的に、時に少し強い口調で答えてくる。私自身、とっても親切だったあの人なの?と思ったほど何か感じが違う。お客様扱いを望む訳ではないが、不慣れで手の掛かる入居者と言わんばかりの態度には大きな違和感を感じざるを得ない。このケアマネージャーが母の信頼を失うのには時間が掛からなかった。いつの間にか呼び捨てになってるし。。^_^; その後しばらくして彼は別のホームに転勤になった。
もう一つ、ホームには生活相談員という役割があり、徐々にこちらの方を頼りにすることになった。気が良く明るく元気なので声を掛けやすい。ただ、やはり90人居る入居者に対応するのは大変なのか、なかなかこちらの要望に素早く反応して貰えることは少ない。一度彼を通しホームの責任者と3人で話す機会を作った。母の気持ちや私からの要望を伝え、真摯に受け止めて貰えたものの、ホーム運営の事情もあるのだろう、改善には時間が掛かるようだ。
ホームには様々な状態の入居者がいる。要支援1~要介護5まで、平均87.5歳の老人が90名ほど暮らしているのだ。父は要介護2,母は要支援2だが二人とも介護スタッフの方からするととても手の掛からない夫婦だと思う。
父(89歳)は完全に自分の世界におり、1日中好きな本を読んでいるか昔の映画など見て過ごしている。散歩(ただ歩く)が好きでないので、何とかもう少し運動をして欲しいと思うが、大体こちらが何を言っても「大丈夫」が口癖だ。認知症はあるものの、徘徊したり攻撃的になったりすることはなく、本当に穏やかに暮らしている。
母(84歳)はかなり腰が曲がっていてもう何年もシルバーカーの世話になっているが、頭はすこぶる明晰で性格もキッチリし過ぎるくらいだ。毎日新聞に目を通し、ホームの請求明細や年金などのチェックも欠かさない。ホームで行う「脳トレ」や「体操」では物足りず、自らクロスワードパズルやルービックキューブをしたり、趣味の朗読や短歌を詠んだりしている。
そんな母の目下の望みは、自分と同じように自然なコミュニケーションが出来る友人が一人でも増えることだ。今は90歳を越えた女性ただ一人だそうで、互いに唯一の存在らしい。
私以外本音や愚痴を日常的に聞かせられる相手もおらず、ため込んだ思いを新聞に投稿したところかなり反響があったので、皆さんも見て貰えませんか。
新聞社の計らいでこの後も何度か投稿をくださる方が居たり、母にとってはコメントの内容もさることながら、自分の思いを言語化したこと、そしてそのことに興味関心を持って意見を返してくださる方が沢山居たことに喜びを感じている。やはりコミュニケーションが圧倒的に不足しているのだ。心が通じ合える友人があと少しでも増えると良いのだが。。
ホームの方も目にしてくれているが、偶にスタッフの方と話すとやはり全くもって人が足りていないようだ。基本的なサービスを一定品質を保って提供する以上のことはなかなか難しいのだろう。夜勤のエピソードなど聴くと頭が下がる。ホームの事情にも理解を示しつつ、入居者同士の繋がりを少しでも増やして貰えるよう、働きかけを続けていきたい。求む!茶飲み友達!!
頂いたコメントにもあるが、大切なのは自分に合った施設を探すことなのだとしみじみ思う。だが実際それが難しい。施設内や居室を一回りし、応接室で食事をした程度ではどんな人がどのように暮らしているのか、どんなアクティビティが日常的にありその内容に自分は満足出来るのか、なんてことは全く分からないのだ。なのでこれから施設を探す方やそのご家族にお薦めしたいのは、体験入居を可能な限り長くしてみることだ。そうすることで、これからの生活を大分リアルに思い描くことが出来るだろう。そしてその為には時間を掛けて探し、出来るだけ最適と思える選択をすることだと思う。焦って決めることは是非とも避けたいものだ。
両親を見ていて自身の30年後をチラリと考える。
頭で考えたことを全て自分自身で完結して行うことが出来る。そんな健康寿命を出来る限り長く続けたいと思う。
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