釜炊き72

釜炊きオリーブ石けん(72)試用テスト

(文責:堀内)

 もくせい舎の釜炊きオリーブ石けんはオリーブ油100%の石けんですが、100%の石けんはマルセイユ石けんのオリジナル※には忠実なものの、必ずしも使い勝手が良いわけではなく、アルガンなど配合して肌触りを良くしていますが、その分価格に反映しているので、作り手にとっては作りにくく、買い手にとっては買いにくい石けんです。

※ルイ14世がコルベール卿に求めた石けん。

 何でそんな石けんを作ったのかといえば、それはオリジナルを尊重する作り手のプライドと言うべきものですが、そもそも現代の工房でもこの配合では作っていないことがあり、もう少しユーザーに妥協した製品が必要だということで、雑貨石けんの製作と並行してオリーブ油の使用を抑えた釜炊きタイプの製作も行っていました。先週に残留アルカリを測定し、試作品をテストしてみました。

釜炊き72の泡


見ての通り泡立ちもよく、持ちも良いのでパーム核油を配合した狙い通りという感じですが、雑貨石けんの方はまだ熟成中です。釜炊き・塩析型の石けんはコールドプロセスよりも早く製造できます。入浴した感想は河野に譲りますが、石けんとしては釜炊き同様、泡残りがくどくなく、使い勝手の良い印象です。釜炊き石けんの入門用としては理想的な出来です。

 お値段については「現在のデクレットと同等」を目標にしましたが、釜炊き100%より作りやすいこともあり、これは実現できるのではと思います。

河野のコメント
 釜炊きオリーブ石けん(72)は、見た目は釜炊きオリーブ石けん(100%)とほとんど同じですが、実際に使ってみると、やはり組成が異なっているために使い心地にはっきりとした違いがあります。
 釜炊きオリーブ石けん(72)は、オリーブオイル72%にパーム核油が配合されているため、オリーブオイルから作った石けん特有の泡の細かさに加えて、泡立ちの良さが特徴としてあげられます。泡持ちもよいため、体洗いには大変使いやすい石けんとなっています。
 一方で、パーム核油に含まれるカプリン酸にやや刺激があることもあり、洗顔で使うと、軽いピリピリした刺激を感じることがあるようです。ほぼ同様の組成で作られている、マリウスファーブル社のマルセイユ石けんにもあるもので、苛性ソーダが残留しているものではありません。この刺激は釜炊きオリーブ石けん(100%)にはないものです。泡の繊細さとやさしさでは、やはりオリーブオイル100%の石けんが勝ります。また、泡立ちが弱いとはいえ、洗浄力も釜炊きオリーブ石けん(100%)の方がすぐれているため、化粧を落とし、さらに肌をやさしくケアするには、釜炊きオリーブ石けん(100%)がおすすめです。

 

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