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2022/2/27明治安田生命J2リーグ第2節 レノファ山口-ブラウブリッツ秋田 マッチレビュー

シーズン2試合目の今節もレノファはホーム維新みらいふスタジアムでのゲーム。先週行われた開幕戦は雪が舞う極寒のゲームだったが、今週は打って変わっていかにも暖かそうな晴天。公式記録によると前節の気温3.9℃に対して、今節は13℃。同じ会場なのに僅か1週間で気温が10℃近く違うという状況に。寒暖差の大きいこと…。
そんな今節の試合を私はDAZNでリアルタイム観戦。ということで、マッチレビューの方を書いていこうと思う。

試合展開振り返り

前半は両チームとも見せ場を作りつつも、ゴールキーパーからのロングポールを上手く活用するなどして比較的秋田ペースで試合が進む。そんな前半をレノファを無失点で凌ぐ。名塚善寛監督の檄が入ったのか後半からはレノファらしい繋ぐサッカーが上手くいくようになる。それが早々に結実し、後半開始5分にディフェンスラインからのパスワークの流れで最後は山瀬功治がシュートを決めてレノファが先制。山瀬功治は開幕2戦目にして遠藤保仁に次ぐJリーグ23年連続ゴールを達成。その直後、秋田にも枠内と捉えるシュートを放つシーンがあったもののキーパー正面というシュートコースに助けられる。その後、ややオープン気味な展開になる。そんな矢先、レノファがコーナーキックで渡部博文が競り勝ってゴール前に落としたボールを沼田駿也が押し込んで追加点。山瀬のゴールの興奮冷めやらぬ58分での出来事だった。後半開始10分少々で2失点を喫した秋田はその後ゴールポストを叩く決定機があったものの、前半に見られたような攻撃の勢いは徐々に弱くなる。試合終盤残り20分ほどは完全にレノファが主導権を握ったような形になり、クロージングも上手くいき2-0で試合終了。シーズン2試合目でレノファは今季初勝利。ベテランと若手がゴールを決めるという素晴らしいの結果となった。

雑感

前節対戦した熊本同様、秋田もどちらかと言えば前からプレッシャーに来るチームだったが、レノファの守備陣は前節ほどそこに手を焼いているようには見えなかった。この部分に関しては前節の教訓が活きたのだろうか。だとすれば、熊本戦を経た秋田戦という日程の並びはレノファ的に良かったということになる。一方で、秋田のゴールキーパー田中雄大のロングボールから秋田のチャンスシーンを何度も作られた。特に前半はそれにより比較的秋田ペースで進む試合展開となったが、そんな前半を結果的にレノファは無失点で終えられたことが非常に大きかった。前半に秋田が得点していれば試合展開は非常に難しいものになっただろう。そんな前半を終えて後半からはレノファらしいパスサッカーを展開。そんな中で後半の早い時間にベテランの山瀬功治の23年連続ゴールと、ルーキーの沼田駿也のプロ初ゴールという嬉しいゴール2連チャンもあって、以降の試合をかなり楽に進めることができた。75分ぐらいからは本当に安心して試合を観ることができた。こういう気持ちでレノファの試合を観られたのは、かなり久しぶりな気がする。そんなこんなで試合のクロージングも無事成功し、無失点で今シーズン初勝利を飾れて何より。
ベテランの山瀬が決めて、ルーキーの沼田も決めて、そして無失点。個人的には大満足の試合結果だった。おかげでこのレビューも心地よく書けている。そんな感じで気分が良いので今節の選手の採点は激甘だ(笑)。因みに、私が今シーズン購入したユニフォームの背番号と背ネームを山瀬にしたこともあって、山瀬のゴールはめちゃくちゃ嬉しかった。DAZNで観ていて大絶叫。毎度のことながら、レノファの試合を観ている時はご近所に迷惑をかけている…。それはさておき(笑)、まさか開幕2試合目という早い段階で山瀬のゴールが生まれるとは。感無量である。
あとこの試合、コイントスで秋田がエンドを入れ替えたのだが、これは後半での西日対策なのだろうか。実際、後半レノファの選手が眩しそうにしているシーンが映像でも何度か観られた。今節では、このエンド入れ替えが結果に影響するようなことはなかったが、この辺の駆け引きも観ていて面白い。

レノファのスタメンとフォーメーション

フォーメーションは前節同様4-3-3(4-1-2-3)。メンバーは1人入れ替えて田中渉のところに山瀬功治を抜擢。前節途中出場していたとはいえ、山瀬をスタメンで観れるとは。しかも点取った上で71分まで元気にプレー。すげーよ山瀬。レノファに来てくれて本当にありがとう。一方で、そのポジションで前節スタメンだった田中渉は控えにも入っておらずメンバー外。別に前節悪かった訳でもなく、寧ろ左サイドの攻撃の活性化に大きく貢献していた為、有識者の間ではケガの噂が立っているが果たして。因みに、前節途中出場したFWの梅木翼も今節はメンバー外。こちらは試合翌日に肉離れによる負傷離脱のリリースがあった。

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記入し忘れたが、71分の山瀬→神垣の交代の
時点から神垣と池上のポジション入れ替わっている

各選手の寸評・採点

前述の通り、今節はレノファサポーターとして非常に気分の良い試合結果だった為、採点はかなり甘め。まあ、その方がサッカー素人っぽさが出て良いよね、うん。
※採点は10点満点で6点を及第点として0.5点刻みで実施
※出場時間が15分未満の選手は原則採点なし
※採点対象はレノファの出場選手のみ

FW
大槻 周平:5.5 (84分out)
前節よりは最前線の起点として機能したか。先制点を生むきっかけとなった繋ぎにも絡んだ。とはいえ、無得点は物足りない。ますは残り2試合を目途にゴールが欲しいところだ。

沼田 駿也:(71分out)
今節も橋本と共に左サイドでレノファの攻撃を何度も演出。クロスは結実しなかった一方で、コーナーキックのこぼれからゴール前で冷静に決め、レノファに追加点をもたらした。プロデビュー2試合目でゴールという結果を残せたのはさすが関西大学リーグ得点王経験者といったところだろうか。

吉岡 雅和:6.5
レノファの攻撃の多くが左サイドで展開されながらも、右サイドの吉岡は多くボールに絡んだ。特に、吉岡から沼田の逆サイドへの展開だったり、持ち味である切り返しからの左足シュートなど観ていてワクワクするシーンを何度も演出してくれた。73分のイエローカードを貰った場面はスライディングがアフターに入るラフなプレーとなってしまったが、相手の出所を抑えるという点では効果がなかった訳ではない。

MF
池上 丈二:6
セットプレーでのキックやクロスなど持ち味を発揮した。コーナーキックでの流れから生まれた追加点も彼のキック能力あってのことだろう。
決してボールタッチが多かった訳ではないが、要所要所で仕事をしたという印象。

山瀬 功治:(71分out)
【個人的MAN OF THE MATCH】
ボールロストなどがミスが時折見られたが、前線への的確なパス供給など前節このポジションでスタメン出場した田中渉に対して大きく見劣りすることはなかった。そして何よりも、先制点となるゴールという結果を残したことが素晴らしい。非常に大きな仕事をやってのけた。Jリーグ23年連続ゴールは本当に素晴らしい。沼田、佐藤、橋本、渡部など候補は多かったが、レノファサポーターとしては今節のMOMには彼を挙げざるを得ない。開幕2戦目でのゴールはいい意味で予想外だったので、山瀬には今シーズンあと5点ぐらい取って頂きたい。

佐藤 謙介:(84分out)
先制点となった山瀬のゴールをアシストするパスを始め、効果的なパスを何本も供給。山瀬のベテランプレーヤーとしての奮闘、そして23年連続ゴールという点を考慮しなければ個人的には佐藤謙介がMOMだった。

DF
橋本 健人:6.5 (90分out)
渡部に次いでチーム2番目のパス(78本)及びシュート(3本)、チーム最多のクロス(5本)とスタッツからも明らかなようにサイドバックながらレノファの攻撃の起点となった。限りなく7点に近い6.5点。

眞鍋 旭輝:6
攻撃の多くが左サイドで展開された為、その逆サイドに居た眞鍋の影が薄くなってしまいがちな今節であったが、特に目立ったミスも見られず。また、時折見せる彼の攻撃参加は磨けばレノファの特徴的な武器になりそうな予感。

渡部 博文:7
先制点のきっかけとなるシーンの起点となるプレーなど持ち味のパス供給能力を存分に発揮した。また、追加点はコーナーキックで彼が競り勝って落としたボールから生まれた。加えて、シュートを3本放つなどディフェンダーながらレノファの攻撃の大きな武器となった。守備面でも安定したプレーを見せた。比較的秋田ペースで試合が進んだ前半を無失点で終えるなどクリーンシートでの勝利に大きく貢献した。

生駒 仁:6
センターバックの相方である渡部が活躍し過ぎて生駒の存在感が薄くなりがちな今節ではあったが、危ない場所でのミスが散見された前節よりは守備面の改善が見られた。46分に秋田の武が抜け出しそうになった場面での良い対応などが印象的だった。また、前線へのロングフィードを試みるなど可能性のあるプレーぶりだった。

GK
関 憲太郎:6.5
前節は熊本の前線からのハイプレスに手を焼いたシーンが散見されたが、1週間で修正してきたのか同じく積極的なプレッシングが持ち味の秋田相手に怯まないプレーを見せた。また62分のシーンではゴールポストに救われたものの、安定したセービングを見せクリーンシートを達成。

交代出場
FW
兒玉 澪王斗: 6 (71分in)
2点リードという試合展開とプレータイムもあって多くのチャンスメイクとはならなかった。一方で、左サイドでの橋本とのコンビネーションは悪くなさそう。また、大槻→高木の交代があった84分以降はセンターフォワードの位置でプレー。87分にはバイタルで前向いてシュートを放つなど今後に期待のかかるプレーを見せた。

高木 大輔:採点なし (84分in)
プレータイム的になかなかボールには絡めなかったが、ムードメーカーなだけあって彼の投入でピッチ内の雰囲気がより良くなったように映像で観ていても感じた。そして、例のマウスピースは今シーズンも健在のようだ。

MF
神垣 陸:(71分i分の
山瀬に代わりインサイドハーフに入る(池上とポジション入れ替え)。79分のシーンなど秋田の選手に対してフィジカルで負けずにプレーしたところが印象的だった。

佐藤 健太郎:採点なし (84分in)
クローザー的な役割として「サトケン」に代わって投入された「サトケン」。目立つプレーはなかったものの、チームのクリーンシートに貢献した。

DF
ヘナン:採点なし (90分in)
今シーズン初出場は久しぶりのサイドバック起用。非常に限られたプレータイムだったが、最終盤のライン際でのボールキープなど持ち味を見せた。

個人的印象に残ったシーン

今節個人的に印象に残ったのは、レノファの先制点となった50分の山瀬のゴールの直前のシーン。当該シーンについて簡単な図を作ったのでこれを用いて説明しようと思う。(こういう戦術ボード的なツールを初めて使ったので、図の分かりやすさ等々のクオリティはご愛嬌ということで…。)

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実践はボールの動き、点線は選手の動きを表す
また、以下の説明の【】内はDAZN中継映像での試合時間

当該シーンは自陣深い位置での橋本のスローイン【48:56】から始まり、アンカーの佐藤謙→センターバックの生駒へとボールが繋がる。そして、①の渡部へのパス供給【49:02】へと至る。その後、
②パスを受けた渡部がちょっと横にスライドして近くに居た佐藤謙に前向きのパス【49:05】
③佐藤謙から大槻へ相手の両ボランチの間を抜ける鋭いパス【49:07】
④大槻が相手センターバックを背負いつつ受けたボールを左サイドに出す【49:09】
⑤左サイドに居た山瀬が走り込み大槻から出されたボールをもらってちょっとドリブルしてウイングの沼田へパス【49:11】
⑥沼田が攻める【49:14】

何人もの選手が絡むこの一連の流れるようなパスサッカーこそがレノファが目指しているサッカーだろうし、私も観ていて非常にワクワクするシーンであった。圧倒的な得点力を誇りJ3優勝を成し遂げた2015年シーズンのレノファを彷彿とさせるプレーだった。今節、前節の選手採点を見て分かる通り、私は大槻に対して懐疑的部分が多いのだが、当該シーンに関しては大槻は良いプレーだったと思う。直接点を取られなくても、こういうプレーができることもセンターフォワードとして必要な能力だと思う。
当該シーンはその後、沼田が攻め上がって来た橋本とパス交換しつつクロスを上げて、そのこぼれをまた回して最後は佐藤謙から山瀬へと前向きなパスが渡って山瀬がゴールを決めることになる。結果に繋がる攻め上がりという点でも当該シーンのプレーは大きな意味を持つこととなっただろう。
是非とも今シーズンのレノファではこういった流れるようなパスサッカーで攻めるシーンをたくさん観たいものだ。


ヘッダー画像はレノファ山口FCホームページより

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