自信と謙虚さの狭間で(2024.10.13 アスルクラロ沼津vsカマタマーレ讃岐)
1.昇格争いをリードしていた沼津の状況
7月のはじめにJ3を圧倒的首位で独走していた大宮アルディージャに高質な試合を展開して勝利を収めたアスルクラロ沼津(以後、沼津)。
この時はこの試合を続けられれば順調に勝ち点を重ねて自動昇格枠となる2位以内をリードする存在になると思っていたが、
この試合を境にチームは下降線を辿り始めて今や自動昇格枠争いどころか昇格プレーオフに入るギリギリの6位まで順位を落としている。
リーグ半ばまで勝率の良かったホーム愛鷹の試合でも勝ち点を取れない試合が増えこのままだとプレーオフすら危うい状況にある。
2.秋晴れの中、盛り上がる愛鷹
10月初旬までの暑さも落ち着き秋の心地よい気候の中迎えたのは後半戦調子の良いカマタマーレ讃岐(以後、讃岐)。
秋晴れのサッカー観戦にはもってこいな気候に加えこの日はホーム沼津市を舞台にした「ラブライブ!サンシャイン」の声優さんが二人来るとあって、
早い段階から沼津公式SNSでスタジアム敷地内の駐車場が満車になっているとの案内があった。
この日はイベントも目白押しで試合前に元日本代表の本田泰人さんと沼津の伊東輝悦選手とのトークショー。
本田さんからは伊東選手に三浦知良選手超えの58歳までサッカーを続けて欲しいと話があり、
現在50歳の伊東選手は「あと8年!?汗」とリアクションしていました。
この日は本当に気候が良く芝生席で寝転がって観ようとゴール裏をチョイス。
沼津サポーター席のすぐ近くでした。
JFL時代から観に行っている身としてはかなり増えたなぁという印象。
冷静に考えて地元沼津にこういったサッカーを通じた娯楽があるって凄いことだなぁと感慨深くなる。
三連休ということもあって遠い香川からも多くの方が来てくれていた。
3.膠着状態の前半
声優さん二人による沼津の選手紹介とキックオフセレモニーが終わり試合開始。
試合は両チームの中盤での凌ぎ合いが目立ちゴール前に迫る場面が少ない試合。
決定的なチャンスどころかシュートの少ない膠着した展開にもどかしさを感じていたが、
43分沼津がロングボールを受けた津久井がファールを得たところから素早いリスタート、
FWの和田が相手選手を置き去りにし最後はキーパーをかわして冷静にフィニッシュ。
得点の気配のなかった試合が突然と動き出し熱を帯びたまま前半終了。
ハーフタイムには声優さんが沼津サポーター席に向かいながらファンサービス。
私の周りはいつものサッカーファンと違った毛色の方々が陣取り声優さん二人に声をかけていた。
4.思い切りの良い讃岐がゴール連取
讃岐は後半開始と同時に選手を二人交代。
流れを変えようと後半開始からギアを上げその効果はすぐに結果に表れる。
48分にサイドからのクロスが流れたところを森川がダイレクトで良いコースへのシュートを決め同点。
さらに64分に中盤でデュエルに勝った森がDFに囲まれながらも左足を振り抜いたシュートが決まり讃岐が逆転。
その後沼津は中野、森、齋藤ら攻撃の選手を投入するが最後までギアを上げられず。
プレーオフ争いに踏みとどまりたい沼津には手痛い逆転負けとなった。
5.勝負の終盤戦へ
讃岐戦前、今シーズン沼津は先制した試合の勝率は100%だった。
しかし、この日は先制しておきながら今季初の逆転負け。
それでは調子の良かった前半戦と比べて何が変わったかと言われたら、
私は戦術の深耕化による戦術以外の部分の意外性や大胆さが欠けてしまったと考える。
私が今季、讃岐戦前までに観戦した沼津の3試合は仙台戦(⚪︎3-2)、札幌戦(⚫︎1-3)、大宮戦(⚪︎3-1)といずれも格上と言える存在。
自分たちの力がどこまで通用するかというチャレンジャー精神を持ち、
自分たちのサッカーで戦いながらも時に自分のポジションを崩して攻撃参加したり、
意外性のあるミドルシュートを打って規則に囚われすぎないサッカーを展開して仙台戦や大宮戦はそれを結果に結びつけていた。
しかし、讃岐戦は上記の強い3チームに通用したサッカーがさらに深耕化されパス回しが始まったら止められなくなる一方、
そのパスサッカー以外の攻め手がなくなり選手たちもポジションを崩す事がなくなってしまった。
守る方もプロでさすがに前半45分戦えば対策もしてくるし決められた規則に則った攻めにブロックを敷いてくる。
沼津の戦術に対する自信を立てやすい状況にしてしまったように思えた。
沼津の選手が決して謙虚でないというわけではないがチャレンジ気質を持って、
もう少し遊び心を持って規律を壊してサッカーするのもありだと思う。
試合後、ゴール裏に挨拶に来る沼津の選手たちの眼は諦めていない。
私の推している津久井は涙を流していたがこの熱い気持ちはこのあとの最終盤戦にきっと活きて来る。
J3は残り6試合。
現実的には少しでも上の順位でプレーオフに臨むという目標になると思う。
選手たちには開幕当初〜中盤戦に見せていた楽しくサッカーをすることをもう一度思い出して、
この緊張感を楽しみながら終盤戦を戦って欲しいと思う。
おじゃ