簡単アンドマゾい

「難しいゲーム」と「簡単なゲーム」を、もう少し深く対比してみよう


『SEKIRO』は条件を揃えるゲームである。

特定のボスに対し、特定の忍義手や戦略をあて、更に敵の攻撃の回避方法まで把握してようやく倒せる。そこには反射神経を含めたアクションへの技能も問われる。これらの条件を揃えずにボスへ挑む限り、何度も何度もプレイヤーは画面のど真ん中に赤い「死」の文字を見せつけられることとなる。

こうしたゲームデザインが難しすぎるから拒絶反応を起こす人もいるだろうし、同じフロムソフトウェアの『DARK SOULS』の、RPGとして寛容的なゲームデザインと比較すると、些かケツの穴が小さすぎるとも私も批評で指摘した。

だが遊びこむほどに、これはこれで良いと思うようになった。うん、懐かしい。20年以上前では、多くのゲームで我々ゲーマーは針の穴に糸を通していた。

針の穴が今ほど広くもなく、また多いわけでもない。ごく小さな孔に、糸を通そうと何度も押し込んではみたものの、糸は針それ自体に触れて不格好に幾度も曲がった。その度に、どうすれば糸が通るのか頭を抱えて悩ませた。

反面、『DARK SOULS』はそうではない。ボスを倒す方法はいくらでもある。Lv1でも攻撃を避けきれば良いし、それが無理なら近場の敵を倒してソウルを筋力にガン振りすれば避けることすらなく倒せる。それさえ面倒くさいなら、強力な両手武器をどこからか拾ってブンブンすれば倒せる。それも嫌なんてふざけた人間でも、オンラインで誰かに泣きつけば絶対に倒せる。

さっきの針の孔に例えるなら、根気さえあれば糸を数ミクロンの科学ファイバーに変えてしまうことも、溶接バーナーで糸の孔を広げることもできた。なに?山羊頭のデーモンが強すぎる?なら霧の上からウ○コを投げつけてやればいいのだ。(この攻略法、考えた人天才だろ……)


つまるところ、これら『SEKIRO』と『DARK SOULS』2つの作品は、単に難易度のスライダーを左右に動かしたわけではなく、作品を作る上での目的や思想が全く異なるように作られている。

「簡単」「難しい」というのは、単なる結果に過ぎない。何故『SEKIRO』が難しいのか、何故『DARK SOULS』は簡単なのか、そういう問いが欠けているのだ。

この辺をごっちゃにしてしまっているから、日本の「マゾゲー」に対する認識や理解は、「盲目的にヨイショする信者」と「反射的に否定するアンチ」に別れてしまう。

すなわち「難しいゲーム」と「簡単なゲーム」という対比はいささか浅い。ここではもう少し、この2つの対比を掘り下げてみようと思う。

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ジニ

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今日は『Grim Dawn』で異形を相手に屍の山を築かない?
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ゲームジャーナリスト。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」準レギュラー、著書『好きなものを「推す」だけ。』(KADOKAWA)https://www.amazon.co.jp/dp/4046047577 ご依頼:gamer.nichinichi@gmail.com

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