見出し画像

おうちで部活を強くしよう。


新型コロナウイルスの影響で、Jリーグをはじめ、各競技のトップリーグが延期になっている。大学の部活も例外ではなく、その多くが、日々の練習までを禁止にされて、"おうち"でこの記事を読んでいることだろう。

ただ、みんな気づいているか?「外出自粛要請」は出ているけど、「チームづくり自粛要請」は出ていない。

平時であれば、練習と試合と運営で精一杯、チームについてじっくりと考えられなかったはず。これは空前のチャンス。この間に、少しでも部活を強くすることができれば、ただ Netflix漬けになっているライバルたちに差をつけることができる。勝てっこないと思っていた奴らの、寝首を搔ける。

何より、大学生の君たちには「期限」というものがある。世界がどうなろうが、スポーツで夢中になれるのは、4年生はあと1年、3年生はあと2年だけ、延期はナシ。

再開して、仮に上手くいかなかったとしても「コロナのせいで」という言い訳は使えるだろう。同情もしてもらえる。諦めても非難されない。


ただし、君の競技人生は 確実に終わっていく。それだけは、しっかりと覚えておいてほしい。


もし、いま、何かできることを探しているのであれば、おうちで、部活を強くしよう。僕にできることは、想いを持ったリーダーたちに、ちょっとしたチームづくりのアドバイスをすることくらいだ。


君の仕事は、(0)へ導くことではない。

ほとんどのリーダーが、チームにある問題を解決していくことを 仕事だと思っている。目に付く上手くいっていないことを片っ端から「こうすれば良くない?」だの「こっちのほうが良くない?」だのと、それらを潰していくこと、つまり、マイナスいくつか(−X) を(0)に近づけていくことに青春をかけて、そして引退していく。リーダーの仕事は、チームを(0)へ導くことではない。

リーダーの本当の仕事は、チームを"目指すべき姿"(+X)へ導くこと、それ以上でもそれ以下でもない。

深刻っぽく、緊急っぽく見える問題にも、手を付けてはいけない。最初にするのは 例外なく「自分たちが目指すべき姿とは何か?」を決めることだ。そうしてはじめて、何が深刻で 何が緊急で、そもそも何が問題かが決まる。

例えば 医者の仕事は、傷病者を健康にするために、それを妨げる原因に処置なり処方なりをすることだ。しかし、君の仕事は そうじゃない。チームというものには、人間でいう「健康」のような、普遍的な「良い状態」というものはない。それを、自分で考えることが必要だ。

とにかく、今の自分のやっていることが(0)に向かっているのか(+X)に向かっているのかを意識してほしい。部活をやっていれば、問題らしきものなんて 常時 700個くらいある。誰かのモチベーションが低いとか、技術が足りないとか、はっきり言ってどうでもいい。

非情に聞こえるかもしれないが、理解してほしい。ただ目の前にあったというだけの理由で、君がバリューのない仕事をやることは、それは、君がバリューのある仕事をやらない決断をしたということだ。

"目指すべき姿" (+X)へ導くために、しなければいけないことだけをする、それ以外は絶対にしない。そして(+X)へたどり着くための、最もインパクトのあるアクションを見極める、この見極めるという行為に、力を使ってほしい。時間は限られている。

ドリーム(夢)を追いかけていないか?

目指すべき姿とは何か? それは難しい。ただ、少なくともそれが、ドリーム(夢)でないことは知っておいてほしい。理念でもビジョンでもゴールでも、何でもいいけれど、それは理想郷について語ることではない。

口を開けば「チームが団結して」とか「最高の結果で」とか、ドリームについての説明をしたがる人が多いけれど、ドリームはあくまでドリームで、それは初詣で手を合わせるときに想うものだ。

目指すべき姿は、ただ 現在に立って、未来を眺めて妄想を膨らましていても生まれない。

画像1


目指すべき姿は、過去から未来を見通す視線の、その延長上にある。

画像2

これまでの、自分たちの人生はどうだったか、部活の歴史はどうだったか、きちんとリサーチする。孤立した現在というものはない。常に 我々は、過去から未来へと続く、継ぎ目のない線上に立っている。君も、君の組織もだ。

子どもたちの将来を「夢」と呼ぶのは、彼らには、過去がないからだ。こういう自分だったら → こういうことを目指す、という思考ができない。ひたすらにひらけた未来に対して、高揚することしかできない。降ってきた夢は、ただの思いつきであり、往々にして実現されない。

これまでの君の20年、あるいは組織の数10年をぶった切って、思いつきで 目指すべき姿を決めるのはやめよう。

ここにたどり着くまで、紆余曲折の人生だったはずだ。それを、君はどれくらい語れるだろうか? チームメイトたちの人生を、君はどれくらい知っているだろうか?

では、そんな君たちが目指すべき姿、スポーツを通じで表現すべきことはなんだ? 

もし、既にそういうものが決まってたとしても、しっくりこないのであれば、ひっくり返えせ、恐れるな。最も恐れるべきは、小学生の夢みたいなものを追いかける1年が、始まってしまうことだ。決まってないのであれば、今すぐ真剣に考えろ。

奇をてらう必要はない。過去から未来を見通すことができれば、行き先は、迷うほど多くはない。それが決まれば、あとは走るだけだ。

___

【今週の宿題】

・自分の過去を整理する、仲間の過去を聞く、組織の過去を調べる。
・目指すべき姿が何かを考える。そのためのアクションを見極める。


また来週、会いましょう。

___


「あまり語られないことだが、課題解決には大きく言って二通りある。一つが病気を治し健康にするタイプの課題解決。もう一つがあるべき姿(ゴールイメージ)から定める必要があるタイプの課題解決である」


「僕らは未来と過去の狭間に立っている。創造的なものごとの端緒は社会全体が見つめているその視線の先ではなくて、むしろ社会を背後から見通すような視線の延長線上に発見できるのではないか」


最後まで読んで頂き、ありがとうございました。