見出し画像

なぜ、サッカークラブはモテるのか? /スーパースター都市・新宿は甦る

2021年の後半のトレンドになりそうな、サッカークラブが発行している "トークン" 。「聞いてもよくわからん」「聞いたことあらへん」など、感想は様々。

画像3

簡単に言えば「トークン」とは「株」みたいなもので、トークンを保有(購入)すると、3つの体験がついてくる。

[1]トークンの保有量に応じてサービスが受けられる(株主優待)
[2]トークンの保有量に応じて、投票に参加できる(議決権)
[3]トークンの価値が、需要に応じて上下する(資産っぽい)

日本では、まだ規模が小さく動きも読み切れないので、純粋に投資としてやるのは微妙(ただし、それだけ 伸びしろがある/ないは、お任せします)。ただ、"新しいサッカークラブとの関わりかた" としては、非常に面白いのではないか?と思っています。

なぜ、サッカークラブはモテるのか?

サッカー界の市場規模は、他のマーケットと比べると まだまだ。しかし、グッズを買ったこともない、試合を観に行ったこともない、サッカーにお金を落としてことがなかった 僕からすれば、十分に儲かっているし、モテていると感じる。

クリアソン新宿に対しても、たくさんの人が貴重なリソースを分けてくれる。クラブトークンを利用したファンディングでもそう。Jリーグにまだ参入していない地域リーグのクラブでさえ、お金が集まっている。

なぜだろう?僕は「ストーリーの想像しやすさ」に鍵があると思っている。サッカークラブづくりは、ルールが明確で、試合に勝ち続けさえすれば 例えば クリアソン新宿と浦和レッズの試合が、そう遠くない将来に実現する。ホームタウンという場も固定されているので、その試合が「いつかは新宿のスタジアムで〜」とか、ストーリーを描きやすい。

画像1

ここ数年で、何事においても「ストーリーが大事」と言われるようになった。なぜ、人はストーリーを求めるのか?それは「整合性を取りたい」という欲求だと思う。よくわからないものは怖い。

例えば、誰かが何かを成し遂げたとき「真面目にコツコツやってきた」のか「グレてたけど転機があった」のか「天才だった」のか、真偽はさておき、何かしらの理由を知っておきたい。できれば、それを自分の人生に照らし合わせてみたい。だから、ストーリーは求められる。

一方で、ストーリーがパッケージされて売られる時代。共感できそうな物語の背後には、代理店の気配を感じざるを得ない。それは、ストーリーではなく、"ストーリー調の商品" だ。

だから、乗っかるなら「早めに」である。クリアソン新宿のストーリーも、そのうち 売り物になってしまう(というか、なりつつある)。そもそも、強豪クラブになれば、ストーリーもクソもなくなってくる。できるだけたくさん投資したものが勝つ、そんなパワーゲームの世界に近づいていくからだ。

本当の意味で知り、語ることができるのは、早めに乗っかって実際に体験した人だけである。と、思ったので、僕は早めに乗っかった。

画像2

お年玉マネーロンダリング

父親が4人兄弟だったので、祖父母を除いて、3家族からお年玉がもらえた。親に預け、親が運用するタイプだったので、使うことはできなかったけど、母がことあるごとに「誰々おじさんのお金で、サッカー用品を買ったよ〜」など言うから、感謝はしていた。

しかし、中学生のときくらいにふと気づいた。僕の両親も、同じように 他の3家族にお年玉を渡している。兄弟の人数や年齢(傾斜がかかっていた)によって、負担には多少の差があるけど、本質的には親族内で数千円を回転させているに過ぎないではないかと。詐欺だ!と思った。『クロサギ』で覚えたばかりの言葉を使って「お年玉マネーロンダリング」と呼んでいた。

しかし、大人になって考えると、これは非常にクールなシステムである。お金は 実際には動いていないわけだが「どうぞ」「ありがとう」という贈与の形式があることが、親戚のつながりを形成する。少し遠くに住んでいる親戚は「お年玉をくれるだけの存在」で、子供心に居心地の悪さがあったが、それで良かったのである。居心地の悪さこそ、人間関係の現れである。

「贈り物というのは、与えなくてはならないものであり、受け取らなくてはならないものであり、しかもそうでありながら、もらうと危険なものなのである。それというのも、与えられる物それ自体が双方的なつながりをつくりだすからであり、このつながりは取り消すことができないからである」マルセル・モース『贈与論』 

何となく選んだ社会学部で、何となく受けていた授業で、モースの贈与論をやった。本も買ったし、レポートも(適当に)書いた。まったく覚えていないが、ここ最近の本屋では、関連書籍が非常に潤っている。限界を迎えつつある資本主義経済の対抗馬としては一番人気っぽい。僕は、勉強しなおしてとっても好きになった。

金額に見合った商品交換ではない、贈与、贈り物は、人と人に関係性を生じさせる。FiNANCiEというサービスも「お金を払って、何かもらう」という世界観ではない。お金を使ってもらった分だけ、すぐにふさわしいリターンを返せるかでいえば、少なくともクリアソン新宿の場合は、全然 返せない。

だからこそ、僕たちは 少し うしろめたい気持ちを抱える。でも、その "うしろめたさ" こそ、応援する人との間にある確かな関係性だ。都合の良い解釈だけど、僕たちは、そこで生まれた気持ちを抱えて、クラブをつくっていく。乗っかった人たちは、そこで体験したストーリーを語る側になる。親戚のおじさんが、僕のことを「俺が育てた」と言わんばかりに 自慢げに語るように。

クリアソン新宿に、お年玉を贈与する価値があるかについては、詳しくはこちらをご覧ください。

スーパースター都市は甦る

最後にもう一つ、僕たちがホームにしている新宿について。コロナ禍で、新宿駅の利用者数、外国籍の居住者数は減少した。しかし、新宿は、僕たちクリアソン新宿以上にポテンシャルのある存在です。

「19世紀のペスト流行も、都市のインフラ整備、住宅の改善、さらには近代都市計画/モダニズム建築の隆盛につながり、(中略)スペイン風邪(当時の新型インフルエンザ)の時のアメリカでは、流行の収束後、『狂乱の時代』と呼ばれた消費文化が乱舞し、路面電車が延伸されて郊外居住/ニュータウン開発が行われ、公園やグリーンベルトが造られた」『コロナ禍で都市は変わるか』p20

この本では、ニューヨークのような都市を "スーパースター都市" と呼ぶ。そして、それは必ず甦るという。

スーパースター都市のアーバンアメニティ(環境)は、コロナ禍である程度は劣化する。実際、僕が住んでいる西新宿でも、飲食店が潰れたり、クリーニング屋の営業日数が減ったりしている。都市が衰退しはじめると、資本は新規投資をやめる。家賃は下がる。

しかし、大都会・新宿が積み重ねてきた歴史は厚い。多少、景気が悪くなっても、徒歩で何もかもが完結するコンパクトさ、どこへでも行くことができるターミナル駅、何より "新宿" というブランド。

画像4

撤退したお店の跡地には、安くなった家賃にうまみを感じて、尖った、新しいプレイヤーが参入してくる。実際に、僕の周りには、専門性の高のそうなジム、変わった形態のラーメン屋、(なぜか)ダーツバーなどが入り、都市の新陳代謝を感じる。

マクロで見ても、新宿区は 2040年を念頭に置きつつ再開発を行う計画がある。東急は、歌舞伎町にエンタメビルを建設中で、小田急もメトロも動きはじめている。再開発といえば、渋谷がひと段落したところだが、東口と西口がビルの上でつながる新宿も、また楽しみである。

画像5

クリアソン新宿と、新宿は、この時間軸を共有している。サッカークラブの未来だけではなく、新宿という街の未来も想像してみてください。できれば、そのストーリーを語る人が、たくさんになればいいなと思っています。

ファンディングページ(初期サポーターは 9/19まで)
https://financie.jp/users/CriacaoShinjuku/cards

※スマートフォンアプリをダウンロードし、トークンを購入いただけます


最後まで読んで頂き、ありがとうございました。