『ターミネーターニューフェイト』の感想

 封切り初日にシネプレックス幕張で見てきた。

 ターミネーターは1も2も大好きだ。
 3はちょっと「えーっ」って感じだけど、な〜に、エイリアン3ほどは嫌いじゃない。4に関しては「他のシリーズとは別物」というイメージが強いかな。そして、ひとつまえの5は結構好きだった。これが三部作になる話が消えたのは残念に思っている。
 ターミネーターって、3から先は「1と2で作った設定のどこを拾い上げてどんな未来(継続するべきストーリー)を作り出すか」を毎回やっていて、仕切り直しばかりしている。細かいネタか、ここを守らないとターミネーターではなくなるポイントだけ守って、前作までの流れは裁ち切られ、前作で示した方向性や設定も大半がなかったことにされ、そして「新たな三部作を作ろう」という目論見も毎回といっていいほど企てられて思わせぶりな話になっては残りの二作の予定は立ち消えて、常になにかしらの不満が溜まっていく……どうもそんな感じの弱点を抱えているシリーズに思える。
 ただまあ、その「仕切り直し」の中では、5が一番「面白い方向」に舵を切ったように思えていただけに(エミリア・クラークも素敵だったし!)、「キャメロンが仕切るといっても、また仕切り直しなの?」という感覚はあった。

 で、今回のニューフェイトである。
 3以降を切り捨てる――というのは今までで一番大胆な仕切り直しだ。
 ただ、「仕切り直し」という点では今までと考え方が変わっていない。2までの人気が一番高いだろうし、切るならここからというのもわかるが。
 結局のところ、他のシリーズものには当たり前のようにある「次はこう続くのか〜」という楽しみ方がほとんどないから、ターミネーターに共通する魅力を作品ごとに個々に評価する、という感じになってしまう。
 ターミネーターの魅力とは、「簡単には壊れないロボットが大暴れして追ってくる恐怖とアクションとそれに伴う軽いユーモア」、「時間ものとしてのストーリー上の仕掛け」、「女性主人公が強くなっていってロボットに立ち向かう姿」辺りにあると思っている。
 ジョン・コナー&カイル・リースの物語である4は、他とは違うなにか別物に感じられるのはそのせいだろう(舞台もロボットやメカがいて当たり前の未来だし)。
 で、まずそのターミネーターの魅力という点においても、ニューフェイトは素晴らしかった。
 さすが、って感じ。
 2と1のターミネーターの特性である「柔」と「剛」を同時に体現した新型ターミネーターの分身アクションも面白いし、サラ・コナーをどう扱うかであれこれ悩んでいた他のシリーズ作品に対して、「そのまま年老いたリンダ・ハミルトンがハードに戦う」というシンプルな答えを出してきて、これがばっちりハマって最高にカッコいい。
 もちろんアクション的にもストーリー的にも説得力を与えるために強化人間のグレイスが加わった上で、成長し母ではなく自分がリーダーになるヒロインを擁立している辺りも、ジョン・コナーの徹底排除(カイルのポジションも女性!)で、ロボットに立ち向かうメンバーから男性をなくしているのも面白かった。
 シュワルツェネッガーのT-800は、けっこう設定がアクロバット的だったが、まあ出てこなきゃつまらないし、べつにいいと思う。細かいネタや、軽いユーモアも楽しめたし。
 では、仕切り直したストーリーとしてはどうだったかというと……。
 ふーむ。
 ここからどう続けていくのかな。
 どうするつもりなのか楽しみにしていると同時に、これまで仕切り直されまくったファンとしては、「また仕切り直されちゃうんじゃないの?」って、どこか冷めた目で見てしまうところもあるんだけれども。
 だって、ねえ……。さすがに次はリンダ・ハミルトンとシュワルツェネッガーには頼れないでしょ?


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