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砂糖、代用甘味料とむし歯菌の関係

今週は砂糖、代用甘味料とむし歯菌(ミュータンスレンサ球菌)の関係をご紹介したいと思います。
飲食をすることで砂糖(スクロース)が口の中に取り込まれます。すると口の中にいるむし歯菌の酵素の働きでスクロースはグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)に分解されます。分解されてできたフルクトースもむし歯菌やその他の口腔内細菌のエサになります。
むし歯菌はグルコースとフルクトースをエサにしますが、さらに酵素の働きでグルコースが繋げられてグルカンというものを作り出します。グルカンはネバネバした物質でむし歯菌を守る防護服のような役目を果たします。しかもこのネバネバの力で唾液にも流されないように歯にしっかりとこびりつきます。グルコースが多ければより多くのグルカンが作られネバネバ層の厚みが増していきます。このネバネバ層には様々な細菌が住み着きますが、これこそが「バイオフィルム」と呼ばれるものです。バイオフィルムは砂糖が供給される限りどんどん成長してより強固なものになっていきます。
むし歯菌にとってスクロースはエサになるだけでなく、むし歯菌を守る防護服を作り出し、さらに量が増えることで住みかにもなります。むし歯菌と歯周病菌の住みかとなるバイオフィルムを作らせないことがむし歯と歯周病どちらの予防にも繋がりますので、飲食で砂糖を口に入れたらきちんと歯みがきをして口の中に残る砂糖の成分を減らすことを心掛けてください。
次にスクロースの代わりに用いられる代用甘味料とむし歯菌の関係です。
スクロースの代わりに代用甘味料を用いた飲食物を摂取しても代用甘味料ではむし歯菌はグルコースとフルクトースに分解することができないのでエサにすることもできません。なのでむし歯の原因となる酸も作られません。
さらに、むし歯菌はスクロース以外からネバネバしたグルカンを作ることができません。代用甘味料にはグルカンを作るのに必要なグルコースが含まれていなかったり、含まれていても分解できないような組成だったりしています。ネバネバのグルカンが作られないのでグルカンが層になってできるバイオフィルムも当然作られません。代用甘味料を用いるということはむし歯菌のエサも防護服も住みかも何も作られないということでむし歯も歯周病もそのリスクを軽減することができます。
さらに代用甘味料を用いることでのメリットがもう一つあります。それは代用甘味料とスクロースが同時に摂取された時にむし歯菌はスクロースをグルコースとフルクトースに分解します。むし歯菌はグルコースを繋げてグルカンを作ろうとしますが、この時、代用甘味料のパラチノース、マルトース、マルチトールなどがあるとグルコースを繋げることができずにグルカンを作ることができなくなります。
ガムの商品名にもなっていて皆さんも名前は聞いたことがあるかと思いますがキシリトールも代用甘味料の一つです。キシリトールはむし歯菌のエサにならない、グルカンを作らせないという効果があります。ただ、スクロースを一緒に摂取した際にスクロースからグルカンを作らせないという効果はありません。
代用甘味料にも色々ありますが、その効果はどれもが同じではなく、むし歯菌のエサにならないもの、グルカンを作らせないもの、スクロースを摂取してもグルカンを作らせないものなど様々です。ご使用の際は、その効果をよく確認してから使うようにしましょう。
いずみ中山歯科では付いてしまったバイオフィルムを除去するための歯科衛生士による機械的歯面清掃PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)にも重点を置いています。PMTCを受けて清潔な口を取り戻してむし歯と歯周病の予防に努めるようにしましょう。

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