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30代さよならエントリ

今日でわたしの30代が終わります。

とくにやり残したことがあるわけじゃないけど、せっかくわかりやすい区切りの上にいるんだし、いっちょなんか書いてみよっかなと思ったわけです。

年齢はただの数字派閥に属しているので、40歳になることに対して別に憂いとかはありません。でも、やっぱ10年間付き合ってきた「3」という数字に対しては別れるのが惜しいかな。ほら、「4」に比べると丸っこくてかわいいじゃん……???


そんな丸いフォルムの「3」とは対照的に、30代はとにかくデコボコとした道の連続でした。ちょうど10年前はお腹に長男を宿し、出産を控えて実家に帰っていた頃。1月下旬が予定日だったからもっと遅くてもよかったんだけど、切迫早産ぎみだったので早めに帰っていたんです。

久しぶりに父と母と過ごす日々は穏やかで、まるで凪のような日々。このまま何事もなく出産し、キャッキャウフフと新しい家族を迎えるんだろうと思っていました。今思うとなんというフラグ!!!!

もちろん、と言うべきか、事はそううまく運んでくれず、初めての出産は真夜中の破水でスタート。そのままお産が進むかと思いきや、子宮口はなかなか開かず、促進剤を打たれ、子宮にはバルーン挿入。背中に硬膜外麻酔。腕にはにんにく注射。最後はわたしの上にまたがった先生に全力でお腹を押され、丸一日以上かけてようやく我が子とご対面できました。疲労困憊、満身創痍、半生半死!!!!

だけど、出産は単なる序章にしか過ぎなかったことをわたしは知ることになるんですね……。

会陰切開の跡はがジンジンと痛み、出ないおっぱい、切れる乳首。そして何より、寝ない我が子。抱っこしていないと寝ていられない、高性能の背中スイッチを実装して生まれてきたようで。そんな日々が続き、わたしはついにマタニティブルーで心身ともにギリギリまで追い込まれてしまいました。

30なのに両親の前でわんわんと泣き、もうだめかもしれないとしゃくりあげながら嘆いたのをついこないだのように思い出します。

それで完全に復活したとはまったく言えなかったけど、気持ちを吐き出して少し落ち着けたような気がしました。

とはいえ、いつまでも実家にいるわけにはいかず、お宮参りを終えた後、当時、夫と暮らしていたアパートに戻ることに(実家から車で1時間半ほど)。

いよいよスタートした親子3人の暮らしは綱渡りの連続。朝、夫が仕事に出かけるたびに心臓がバクバクして、不安で心が埋め尽くされてしまいそうになっていました。長男は相変わらず寝ないし、夜泣きもする。おっぱい飲むのも苦手。子どもに向き合う、なんて夢のようで、わたしはそのときの対応で精いっぱいでした。しかもその苦しさを伝える言葉を持たないから、夫にもうまく伝えられない。「子育てなんてできて当たり前」という思いで自分をぎゅうぎゅうと縛ってしまっていた。今思い出しても胸が苦しくなるな……うう。

そんなとき、わたしを助けてくれたのがインターネットでした。

当時はmixi帝国がじわじわと瓦解していっていた頃。Twitterもやっていたけど、今みたいに子育て垢、ママ垢みたいなアカウントはなく、ひたすらみんな「なう」としか呟いていない世界でした(偏見)。特定のジャンルとかクラスタに特化した掲示板みたいなのがまだまだいくつもあって、その頃わたしが出入りしていたのが妊婦さんとか子育てママが集まるコミュニティでした。

それまでずっとROM専だったけど、どこにも吐き出せない思いをそこに書いたら、たくさんの人たちが優しい言葉をかけてくれて、ほんっっっっとうに救われた。うん、あれは確かに救われた経験だ。

(まだスマホは今ほど普及していなかったけど、新しもの好きなわたしたち夫婦は早々にiPhone3を手に入れていて、わざわざPCを開く必要がなかったっていうのも幸いしたかもしれないな)

そこから一気に上り調子になったわけではないし、それからも大変なことは山ほどありました。なんなら今もあるし。でも、そんな自分を受け止めてくれる人がどこかにいるんだと認識できたのはすごく心強い体験でした。

あれから10年。何の因果か、インターネットを主戦場にして仕事をしているわけです。

「言葉のチカラで、次はわたしが誰かを救う番です!!!!」

……とか言っちゃったらきれいにまとまるんだろうなあと思いつつ、そんなことは露ほども思っていないので言いません。救いを求める人は、自分でどこかに救いを見つけるだろうし。

ひたすらでこぼことした30代を這いずってきて、40代になった途端にいきなり平坦な道がスタートするとは思えないし、やっぱり同じようにあちこちに頭をぶつけながら進んでいくんだろうなと思います。

老いていく体と、精彩を欠いていく心を引きずって、前を向きながらこれまでと同じようにままならないであろう40代をやっていこうかな。



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