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52Hzの鯨とチューナー

海を漂う鯨

30Hzの鯨,52Hzの鯨

ふとした時に見えるその寂しげな表情.

海底3000m.
世界の深淵.
ブラックホール.
心の奥.

その寂しさを,飼い慣らせない孤独感を,何かが覆っているような気がして,距離を感じてしまう.

その周りだけ,周波数が違う.

分かり合えない.
声が聞こえない.
深海で発するもの全てが泡になって消えていく.

ぽつりとあるチューナー

ゆっくりでいい.
少しずつ周波数を修正していく.
孤独感を癒すように.
無理に変えようとせずに包み込むように.

世界に.
宇宙に.
独りだけなような気がして.
気づくと52Hz.

世界に2人の52Hz
孤独なふたりぼっち

列車が来る.
行き先は,寂しげで.朧げで.暗くて.見えない.
でも52Hzだから委ねたい.
透明で見えない身体が,風に飛ばされるように.
遠くへ対う.

どこでも行ける
いまから往ける
いつでも逝ける.

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