捨てられた猫と年越し
私には帰るべき実家がない。
友人のほとんどが故郷といわれる実家に帰省したり、同居家族と過ごしたりするというのに…。
それでも毎年、年越しくらいは誰かと過ごしてきた。
姉や弟を呼んだり、帰省しない友人を見つけて声をかけたりした。
だけど、昨年はじめて1人で年越しをすることにした。自分で選んだ事とはいえ、若干センチメンタルになった。
「はぁ〜、今年はひとりかぁ」
深いため息をつく。
ボリボリボリ…
家猫2匹がカリカリご飯を食べている音だけが響く、淋しい。
猫は年越し蕎麦なんて食べないしなぁ…
「はっ!」
そうだ、猫に年越そばやおせち料理、お雑煮なんて関係ないよね⁈
年末年始なんてなんのそのだよね?
それを思った時、笑えた。
猫は…
一年中キャットフード
そして、時計は腹時計。
年越しなんて概念はない。
捨てられたので実家もなし
なんだ、私、ちっとも淋しくなんかないじゃない!このニャンズ達がいるもの!
ということで、今年も一人な予感がしたので
2020年1月1日は、仕事を入れてみた。
私も猫のように年末年始を良い意味で気にせずに過ごそうと思う。
一つ幸いだったのは、3年半前からテレビがないことだ。
紅白歌合戦、除夜の鐘、などなど…
年末年始のテレビ番組は、観るだけで一人でいることが強調されてしまう。
しかし、テレビを観なければ年末年始の雰囲気を味わうこともない。
テレビが無いことを、こんなにありがたいと思った日はない。
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