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オンライン・ワークショップを実現する(3)

コロナ禍によって、さまざまなワークショップや教育がオンライン化しています。そこで「今までのクラスルームと同様にできなくなってしまった!」というのではなく、オンラインだからこそ、可能なことを考えて、取り組んでみました。

オンラインだから可能なこと、実現しやすいこと

大きく分けて下記5つが挙げられます。この記事では4と5について書いていきます。

1. 物理的な距離を気にせず参加できる
2. 自分のペースで参加できる
3. 他者の目を気にすることなく対話ができる
4. 声以外にもテキストや映像をミックスしたコミュニケーションができる
5. 成果物を同時編集でき、それを即時共有したり記録を残せる

声以外にもテキストや映像をミックスしたコミュニケーションができる

オンラインの場合は、テキストチャットなどを活用した「文字だけのコミュニケーション」もあれば、ビデオチャットを活用することで音声や映像をミックスしたコミュニケーションができます(さらに補足するとミックスだけでなく意図的な選択も可能です)。

オンライン ホワイトボードのサービスであるMiroを使うと、ポストイットを活用したディスカッションやマインドマップのような成果物をつくることもできます。

また投票機能を使うと、あるテーマの理解度や経験の確認を、正確な数値で把握することが可能です。例えば「○○という言葉を知っていますか?」という問いかけを、クラスルームで実施した場合、意思表示を手上げで行うと「半分くらいは手が上がりましたね」というように、なんとなく把握することは簡単ですが、正確な数字はカウントをしないと難しいですね。

一方、オンラインの場合は投票機能を使えば、正確な数値や回答率なども把握できます。

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これはZOOMの投票機能を使った様子です。

「コロナ騒動になてから何か新しく始めたことは?」というような経験を問うような場合は、テキストチャットを活用すると、受講者がどんなチャレンジをしているのか「なんとなく確認」することもできます。

このように目的にあった適切なツールやメディアを使い分けることで、参加者の特性に応じた意見や視点を引き出すことも可能になります。

クラスルームでグループディスカッションなどを実施した場合、どうしても声が大きかったりディスカッション慣れしている参加者だけが輝く傾向にありますが、オンラインの場合は、テキストだけのアウトプットの時間、音声によるアウトプットの時間という使い分けが容易です。

質疑応答の時間など、クラスルームの場合は「誰も手を挙げない問題」や、「それ質問じゃなくて演説じゃない? 問題」に出会った人は多いと思いますが、GooleフォームやUMU、Sli.doなどのツールを使うことで、疑問などの意思を表明するハードルを下げることが可能です。

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このようにUMUやSli.doを活用すると参加者の質問をリアルタイムに回収できます。UMUでは、他の参加者のコメントを見て”いいね”などを押すことも可能です。またZOOMウェビナーのQ&Aにも”いいね”の機能があります。

実際に、オンラインプログラムを受講した方の感想アンケートの中に、「話すことが不得意だったけど、今日は意見や意思を言いやすかった」「チャットやGooleフォームがあったので誤解を恐れず意見を書けた」というメッセージを書く方は、結構いらっしゃいます。オンラインだからできることの「2. 自分のペースで参加できる」や、「3. 他者の目を気にすることなく対話ができる」といった特徴との相乗効果でしょう。

また10~20代の方はLINEやTwitter、Instagramなど、日常の中でテキストや映像を活用したコミュニケーションを、当たり前のように活用しています

ひょっとしたら、話して意思を表示することよりも、テキストやイラスト=スタンプ、写真などで意思表示をすることの方が多いかもしれませんね。

対話と言えば「話し合うことだ」という固定観念も、オンライン プログラムを設計する上で(特に若手の方を対象とする場合)、外す必要があるかもしれません。

成果物をリアルタイムに同時編集でき、それを即時共有したり記録を残せる

ポストイットやワークシートを活用したディスカッションや、模造紙にまとめた成果物の発表などは、クラスルームでのワークショップではよく見る光景です。しかし、いざ受講者が成果物を発表する時になって、発表する用意ができていなくて、いたずらに時間が過ぎていくこともあると思います。

オンラインプログラムの場合、成果物はGoogleスプレッドシートやMiroなど全てオンライン上にありますので、その場で即時共有することができますし、編集作業をリアルタイムに見ることもできます。

さらに記録は常にオンラインに残すこともできるので、「あの班のワークシート、回収し忘れてない?」という問題もありません。

また、成果物を共同で制作する際の「意思の疎通」の方法は、音声だけに限りません。

例えば下記画像は、Youtube liveを視聴している参加者向けのGoogleドキュメントを活用したワークシートです。

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この成果物を制作したメンバーは、YouTube liveを視聴しているので、Zoomなどビデオチャットでコミュニケーションができない環境にいました。

しかしテキストだけでも意思を同期できるメディアやツールがあれば、音声が届かない環境でも互いの意見を出し合いながら成果物を共同で制作することが可能になります。

オンラインだから提供できる価値を発見しましょう

他にもオンラインだからできること、実現しやすいことはありますが、まずはこの5つに絞って紹介をしました。また、中には必ずしもオンラインだからというわけではなく、クラスルームなどのオフラインの場でも提供できることはあります。

しかし、オンラインにはオンラインならでは特性があることは事実です。

オフラインで実践してきたこと、提供してきたことを、ただ単にオンラインに置き換えるだけではなく、オンラインの特性を理解した上で、目的に応じたツールを選択・設計することで、オンラインならではの価値を提供することが可能になります(手段の目的化は避けるべきです)。

新型コロナの影響が仮に収まったとしても、学びや対話の場が、昔のビフォー コロナの時代(BC)に戻るとは思えません。クラスルームだからこそ実現できること、オンラインだから実現できることを見極め、クラスルームとオンラインのブレンディッドな学びが日常になると考えています。

せっかくオンライン プログラムを実施することも参加することも、ハードルが下がりましたので、この機会に、ぜひ自分が得意とする領域を活かしたオンラインの場作りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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