1.ライブ

この2ヶ月で、ライブを3本した。
8月16日に新宿LOFTで配信ワンマンライブ、先日NIPPON CALLINGというサーキットイベントのライブ収録、そして9月11日には渋谷O-Crestにて半年ぶりに人を入れてライブした。

やっぱライブってのは本当にいいもんだ。出した音が直接来てくれた人に届く。
それによって、笑ったり、興奮したり、泣いたり、腕をあげたり、顔には出さずとも心が震えたり、酒が飲みたくなったり、嫌いな奴のことを忘れたり、足踏みしたり、飛んだり、踊ったり、する。
その姿たちを観てバンドも、熱くなったり、叫んだり、音が大きくなったり、弦を切ったり、顔には出さずとも心が燃えたり、足踏みしたり、飛んだり、汗をかいたり、着ている服のことを忘れたり、する。

その奇妙な相互作用。楽しげな想定外に乗っかるようにしてライブは進む。バンドは、セットリストを知っていて、観客は、大体の終了時間を知っている。だけど、その両方がそうした枠組みを超えて、肩を組みたくなる瞬間がある。みんなで寄ってたかって、ありふれたオチから逃走する。一人だけ台本を渡されなかった役者のような戸惑い。そんな空気が、ステージの上にも、フロアにも充満して、「なんだこれは!」「どうしようどうしよう!」「あった!ここだ!」という活路に向けて、大勢で流れ込む。俺が思う、ライブの一体感ってそういうもんだ。孤独の累積。戸惑いの集合。一瞬の暴発。

こないだ会った友達と飲みながら話した。
「テレワーク続きで、ずっと家にいるとアクシデントが起きないんだよな。」
ベッドの角に足をぶつけたこととかが、一面記事になるくらいの生活だったらしい。
部屋の中では、全てが「こうなるだろうな」って想定に向けて進んでいく。
今年の春は本当に気が狂いそうになったと笑いながら話す。俺もそうだったわ。

やっぱり誰がなんと言おうと、ライブは必要だ。
思いもよらなかった考えを抱くために。
馬鹿げた結末を笑うために。
触れない世界に、ちょっとだけ触れるために。

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