4月5日が終わった

4月5日が終わった。

日比谷野外音楽堂で復活ライブをやるはずだった日。
始まりは晴れの朝。
ちょっと肌寒くて、夜まで雨は降らなかった。
19時10分から始まる予定だった自分たちのステージのことを考える。
「実現しなかった方」の今を想像することは時に残酷だ。

何とかマイナスをプラスに変えよう、できることやろうと、
「パナフェス2020 TOKYO バーチャル」を企画した。
想像力をマイナスに使うんじゃなくて、プラスに変える試み、
中止になったフェスのセットリストを、みんなで「妄想する」配信だ。

出てくれるはずだったバンドのセットリストを、独断と偏見で組んでいく。
「俺がみたかった」夢のフェスが出来上がり、それを配信でベラベラ喋る。
自分たちがやるはずだったセットリストも発表して、その中から弾き語りしたり、
新曲のスタジオ録画映像を流したりしながら、1時間ちょっと。
あっという間に終わった。

ここに期間限定で残してるから見逃した人は是非。


インターネット上だったけど、実際に会った訳ではなかったけど、
あの場には沢山の叶わなかった夢が集まっていた。
これが観たかったなあ、これが聴きたかったなあ、楽しかっただろうなあ。
コメントや、Twitterの実況やなんかを観ながら、
なんだか本当にフェスをやっている気分になっていた。
「妄想セットリスト」なのに、本当に起こったことのようだった。

打ち上げと称して、配信終了後22時過ぎからインスタライブ。
出てくれるはずだったバンドのボーカリストが全員出演してくれた。
一人一人と、やりたかったなあ、絶対またやろうね、という話をしていく。
愛を感じた。

配信中にも、観てくれた皆と一人一人約束を交わす。
この騒ぎが収まったら、また会おう。
その時には、絶対この新曲をやるから。

未来に沢山の約束を残して、4月5日が終わった。



嵐のように、一日が過ぎ去って、
ネット上で沢山の人と触れ合って、なんだか疲れた。
けれど、本当にいい4月5日だったと思う。

叶わなかった夢ってのは、これから叶うかもしれない夢だ。
「実現しなかった方」をひたすら考えていた頭は、
一日を通して、「これから実現すること」を考えるようになっていた。

実際には、何も起こらなかった日かもしれない。
日比谷野外音楽堂では、塵ひとつ動いてないかもしれない。
けれど、バンドにとっちゃ大きな区切りの日。
過去から今まで、ピンと繋がれていたリードが切れ、
明日に走り出せそうだ。
悔しい朝にはもうおさらばよ。
これが収まったら何をしよう?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?