見出し画像

旧税率8%と軽減税率8%は違うという話

 消費増税がスタートして一週間。税率よりも、ポイント還元や関連した企業独自のキャンペーン等でトラブルが続いていますね。

■ トラブル

ペイペイは1周年で5日、一日限りの還元策を実施していた。だが午前中から残高や還元額、レシート表示に時間がかかり、一部の利用者から「決済に利用できない」と不満の声が出ていた。データの負荷を下げるため、ペイペイは5日夕から、クレジットカードでの支払い、ヤフーカードからの入金(チャージ)の機能を停止。6日午前8時すぎに通常の機能に戻した。(記事より)

---

 小売業のお客様と打ち合わせをしたところ、やはり、私のお客様のお店でもトラブルが起きています。

 クレームです。

 例えばこんな話。クレジットカードで買い物した方が、レシートを見て

「あら?値引かれてないじゃない?キャッシュレス払いよ?」

 一緒に来ていたその方の友人も

「オタクは対応しているって書いてあるじゃない?今まで買い物したお店は、どこもレシートに値引額が出ていたわよ?」

と同調されたとのこと。

 キャッシュレスによるポイント還元事業と、コンビニなどで独自に実施されている即時還元サービスの区別がついていないケースですね。おそらくこのお二人組は、コンビニなどでキャッシュレスな買い物はしてきたものの、街の小売店では初めてだったのでしょう。

画像3

 原則、国からのポイント還元を付与する者は「決済事業者(カード会社等)」です。コンビニ等の値引きサービスは例外です。特にコンビニの話は、直営店とFC店で意味合いが異なります。詳細が気になる方は、以前、noteで書きましたので、ご参照ください。

参考 : 消費増税、ポイント還元策の話題(コンビニの対応について)

 この小売店には、同じような問い合わせが無いよう、簡単な説明書きの作成をお手伝いしました。既に、レジ前には色々貼られているので、ごちゃごちゃしますが・・。

---

 とにかく、○○ペイでもそれぞれ独自のポイント制度があったり、軽減か標準税率か?ポイントはどうつくか?値引きがあるか?など、なかなか皆がしっかり理解するには厳しい制度ですね。

導入された軽減税率について、仕組みを「十分理解している」「だいたい理解している」と答えたのはあわせて59%、「あまり理解していない」「まったく理解していない」は40%でした。(記事より)

---

■ 旧税率の8%と軽減税率8%

 また、私のような会計事務所の人間や、会社の経理担当の方にも、実はその他にも色々と影響があります。今回はそんなテーマです。

 例えば、表題の件。

「消費税の旧税率の8%と軽減税率の8%は、同じ8%ではない」

という話。なんでしょう、この気持ち悪い日本語は。

1+1は2じゃない。10にも100にもなるんだ!

・・というような、哲学的な話ではないです 笑。

 一般に用いられる「消費税」という言葉は、国の財源となる「消費税」と地方自治体の財源となる「地方消費税」というもので構成されています。正式には、消費税及び地方消費税であり、合計を「消費税等」と言います。大手コンビニのレシートとかはしっかり「消費税等」と記載されています。

画像2

そして、その内訳が以下、国税庁パンプレットの通りです。

画像1

旧税率は「国税の消費税6.3%」+「地方消費税1.7%」8%

軽減税率は「国税の消費税6.24%」+「地方消費税1.76%」8%

なのです。

「へえ~ へえ~ へえ~」

と、ボタンを押したくなる話ですね(古くてすみません)。

 これは軽減税率を、新しい標準税率(10%)と同じ比率で国と地方に振り分けるために、従来の8%と若干比率が変わります。我々は消費税等の税額計算、申告書作成上、8ではなく、6.3と6.24、どちらの比率に該当する取引なのかが重要になります。

 払う時は同じ8%です。ただ、最終的に国や地方の財源となるときには、若干異なる比率で清算されるということ。

 よって、当社も、消費税等については、「8か10か」という会話ではミスを招きかねないので、「旧8」「軽減」「10」みたいな呼び名が飛び交っています。

 もし、従来の8%と軽減の8%を区別できるように書類の提供や記帳をお願いしますと会計事務所に言われた経営者や経理の方は、上記がその理由です。多分説明はあったと思いますが、これだけ情報過多な状態ですと覚えきれないですよね。

---

■ まとめ

 まだ始まったばかりなので、当社もみんなであーだこーだ言いながらやっています。これから各企業独自のキャンペーンやポイントサービス等を展開したり、利用したりとなると、会計処理も煩雑になりそうだな~と、またあーだこーだしています。

 とにかく1つ1つのレシートレベルから情報量も多くなってきている(※下記note参照)ので、将来的にはますます自動仕訳機能などのクラウド化・AI化が進むでしょうね。

 軽減税率や関連制度には疑問符なところも多々ありますが、それは税制建議案として提出しましたし、noteでも何度か書いていますので一言。

 税の三原則は「公平」「中立」「簡素」。公平にスポットライトをあてるのは重要ですが、簡素が隠れすぎていないでしょうか。

(以下、国税庁HP「税の学習コーナー」より引用:)

画像4

---

※ 参考 : そういえば、軽減税率だけじゃない【 レシート表記・税制 】

#COMEMO #NIKKEI #日経活用術 #毎日投稿

お読みいただき、ありがとうございました。 FB:https://www.facebook.com/takayoshi.iwashita ㏋:https://ibc-tax.com/